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ハンガリーにおける⽇本⼈DV 被害⼥性の殺害についての声明(ちょっと待って共同親権ネットワーク)

ハンガリーにおける⽇本⼈DV 被害⼥性の殺害について、ちょっと待って共同親権ネットワークが声明を発表しました。

日本政府・外務省に対して、「⼦のパスポートの発給に係る共同親権者の同意について、DV・虐待等の事情がある場合にはこれを要しないものとする運⽤を明確にし徹底すること」等を求めています。


2025年2⽉16⽇

ハンガリーにおける⽇本⼈DV 被害⼥性の殺害についての声明

ちょっと待って共同親権ネットワーク                        

2025年1⽉、ハンガリー在住の⽇本⼈⼥性がアイルランド⼈の元夫に焼殺されるという⼤変痛ましい事件が起きました。この⼥性はDV被害者であり⼦どもを連れての⽇本帰国を望んでいたものの、⼦どものパスポートを取り上げるなどした元夫に阻まれ、⼦どものパスポート発給などにつき⽇本⼤使館からの有効な援助が得られなかったことが当地の⽀援者などから明らかにされています。

現地警察は当初、事件をタバコによる失⽕と判断しており(⼥性は喫煙者でなかったにもかかわらず)、⽀援者らの抗議、情報提供を受けて改めて捜査し元夫の逮捕に⾄ったとのことです。
警察は過去にこの⼥性からの被害届を受理しなかったことを含めて謝罪し、関係者の処分を⾏ったと発表しました。ハンガリー政府報道官もDVへの「ゼロ・トレランス」を宣⾔し、DV対策を深めることを表明しました。

この事件の背景には「ハーグ条約」とこれに対応したハンガリーの国内法、警察実務があることは明らかです。
離婚後の⼦の親権/監護権が「共同」であることがDV被害者の⾏動と選択肢を厳しく縛っています。
⾃⾝と⼦どもの安全のために出⾝国である⽇本に帰国、避難することが被害⼥性は叶いませんでした。
現地⽇本⼤使館も⼦どものパスポート発給には共同親権者である夫の同意が必要とし、元夫と話し合うように
と⾔ったとされており、DVへの認識の⽢さ、ハーグ条約などを背景にした萎縮が窺われます。

同様に、⽇本帰国が阻まれたまま何年も居住国に⽌まらざるを得ず、多額の弁護⼠費⽤・裁判費⽤を負担して帰国のために争わなければならない⽇本⼈DV被害⼥性は各国にいます。
⽇本⼤使館・領事館に相談をしても、当地の弁護⼠や⽀援機関のリストを渡される場合がほとんどです。
国境を越えた移動はおろか国内での移動すら刑事・⺠事のペナルティの対象となる国もあります。
DV対策が⽇本よりも進んでいる国であっても、DV被害が認められない、認められても加害者に親権・監護権・⾯会交流権が与えられてしまうのが現実です。

国際結婚の場合に限らず、DV・虐待加害者(多くは男性)が親権・監護権・⾯会交流権を得、その結果としてDV被害⼥性やその⼦ども(虐待被害者の場合もありますし特に性待は潜在化しやすいです)が殺傷される、性虐待を受けるといった悲惨な事件は「共同親権」の各国で起きており、オーストラリアなどDVの観点からの法改正などを⾏った国もあります。

このような海外事情を顧慮せずに⽇本において離婚後共同親権を導⼊する⺠法改正が拙速になされ、DV被害者と⼦どもを守る⼗分な裏付けがないということについて改めて憂慮を表します。同時に、ハーグ条約がDV加害者に利⽤され、被害者に過酷な状況をもたらしていることを⽇本政府が認識し、ハーグ条約の⾒直しの議論を先導すべきであると考えます。そして、居住国からの⽇本帰国が叶わず⼤変苦しい状況に置かれているDV被害者を⾒殺しにすることは許されません。そのため、⽇本政府・外務省には以下を求めます。

  1. 政府・外務省は2022年の被害⼥性からの⼤使館へのDV等相談から殺害事件に⾄る経緯について、⼤使館でどのような対応が⾏われたのか調査、検証し、報告を⾏うとともに速やかに改善策を実施すること。

  2. ⼦のパスポートの発給に係る共同親権者の同意について、DV・虐待等の事情がある場合にはこれを要しないものとする運⽤を明確にし徹底すること。

  3. 在外邦⼈のDV被害者への在外公館による相談⽀援を早急に拡充すること̶̶特に、裁判費⽤・弁護⼠費⽤等の援助(⺠事法律扶助に準ずるような形や、当地の扶助制度への紹介・便宜の拡充など)、⼼⾝に不調をきたし⽣活困窮する被害者への経済的援助等(償還免除条件付きの貸出、現地の援助制度への紹介・便宜等含む)、現地関係省庁・機関・警察との経常的な情報交換・連携の強化、個別ケースでの連絡調整の強化といったことなど。

  4.  在外公館にDV、ジェンダー課題に係る専⾨性を有する職員を配置すること。


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