別冊ジュリストで、民法の判例(家族法)が取り上げられていたので、ざっと読んでみました。
※当方は法律の専門職ではありませんので、あくまで素人の読書メモです。
別冊ジュリスト No.264
民法判例百選Ⅲ 親族・相続[第3版]
大村 敦志・沖野 眞已 編 (有斐閣 2023年)
父母別居中の面会交流権
最高裁平成12年5月1日第一小法廷決定
関西学院大学教授 山口亮子
本書の記述だけでは事実関係が明らかではありませんが、「離婚訴訟の和解案をXが拒否」の争点は何だったのでしょう?
いずれによせ、「下校時の待ち伏せ」「自宅訪問」などは、さらに状況を悪化させたのではないでしょうか。
別居中についても、民法766条を類推適用し、面会交流の内容を審判で定めることができると、平成12年(2000年)に判示されています。
しかし、共同親権運動においては、子連れ別居した妻を「誘拐犯」「児童虐待」などと誹謗中傷しながら、一方で面会交流の申立ては拒否するといった行動が賞賛されています。
2012年からの「面会交流原則実施論」の運用により、DV・虐待ほか、子どもと同居親にとって過酷な状況での面会交流が、裁判所によって命令されてきました。
むしろ、「子と別居親との適切な面会交流は,基本的には子の健全な成長に有益なもの」という固定観念を問い直すべきでしょう。
いわゆる「フレンドリーペアレントルール」の思想に基づく決定が出されていたことを示しています。
「子と別居親との交流を促進させる寛容な親を監護者・親権者に相応しいととらえる」という思想が、裁判官らに先入観を与え、DV・虐待の実態を見落としてきた。これが、海外の被害実態から、日本が学ぶべきことです。
面会交流の間接強制
最高裁平成25年3月28日第一小法廷決定
早稲田大学教授 髙田昌宏
「原審は、子の心情等を踏まえた上で決定されているはずだ!」というタテマエが展開されていますが、家裁でそのように丁寧な運用ができているのでしょうか? 審判決定後、子どもの状況の変化は、どう確認されるのでしょうか?
このような「間接強制」が、子どもと同居親を、どれほど追い込んできたことでしょうか?
2012年の「面会交流原則実施論」以降、当該の子どもたちも成長し、無理に決定した面会交流のひずみが露わになってきています。
法制審議会で、離婚後共同親権について議論をするのであれば、「面会交流原則実施論」以降の実態調査が不可欠です。