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【法制審】法務省の資料から漏れ出たシングルマザーへの偏見

法制審議会家族法制部会第31回会議(2023年10月3日)では、家族法制の見直しに関する要綱案の取りまとめに向けたたたき台(1)が検討されました。

法務省が作成した資料には「法定養育費として支払われた金銭を父母の一方が自らの遊興などのために費消することを許容する趣旨ではなく」との記述があり、委員から「偏見をもたらす」「シングルマザーに対する差別感がある」等の指摘が相次ぎました。

また、委員からは「ケアをするということは、ケアをする人がきちんと健康に生きているということが前提」との発言もありました。
離婚後共同親権をめぐっては、子を監護する人の健康や安心があまりに軽視されており、あらためて、確認しておくべき視点と考えます。

なお、以下、太字は引用者による強調です。


法務省資料

部会資料30-2 P19

(補足説明)
2 法定養育費請求権の要件及び効果
(2)法定養育費の行使主体及び相手方
なお、この資料では法定養育費の請求権者を父母の一方としているが、そのことは、法定養育費として支払われた金銭を父母の一方が自らの遊興などのために費消することを許容する趣旨ではなく、そもそもそれが子の監護のための費用に充てられるべきであるとの考え方を前提としているものである。


法制審議会での議論

議事録(PDF

(戒能委員)

部会資料30-2の19ページを御覧いただきたいと思うのです。そこに法定養育費の額、その前の18ページから始まる(2)のところで、誰が請求権者か、父母の一方としているということなのですけれども、そこに、これは削除していただきたい、法定養育費として支払われた金銭を父母の一方が自らの遊興費に費消することを許容する趣旨ではなく、というのは不要な一文だと考えております。かなり偏見をもたらすものでありますし、先ほどのゴシックの方の、支払能力がない、それから窮迫するというような二重に守られるというような立場と著しく対等性、平等性を欠いておりますし、偏見をもたらすということで、この補足説明の19ページの記述は削除していただきたい、不要なものだと考えています。

(大石委員)

今議論になった遊興費関係の話ですけれども、そういった例を列挙するよりは、こどもの福祉、福利厚生あるいはこどもの厚生のために使われるべき趣旨であるといった書き方に変えていただくのが、よいのではないかと思います。また、遊興費が何を具体的に指すのかとかいったことについても誤解、混乱を招くということもありますし、例えばこどもを遊園地に連れていったりするために使ったとして、それは遊興費になるのか、ならないのかとかいったような、少し趣旨から逸れた議論を招きかねないということもありますので、むしろこどものために使う趣旨であるということさえ書けば、わざわざ遊興といった言葉を使わずとも済むのではないかと考えます。

(落合委員)

法定養育費について発言したいのですが、その前に先ほどの遊興費という話が少し気になりますので、一言言わせていただきます。やはり遊興費のような言葉が入っているのは、シングルマザーに対する差別感があると思うのです。それを感じないという方がいるのは少しおかしいと思います。やはりその言葉が入るべきではないと思います。それと、こどものために使うというのを強調すると、それは大事だと思うのですけれども、こどものためというのはどういうことか。ではお母さんはそれで食べてはいけないのですか。法的にはどうなのですか。私はお母さんはそのお金から絶対に食べるべきだと思っています。こどもの監護をする、こどもの世話をするということは、そのケアをする人も生きていなければいけないからです。その心身の健康を保ちながらお母さんが生きる、これはこどものためなのです。ケアをするということは、ケアをする人がきちんと健康に生きているということが前提です。だから、子の監護のために使うというのは、お母さんはそれでしっかり食べるし、着るし、あと遊興というけれども、そうですね、メンタルな安定を保つためにも使っていけないことはないと思うのです。ケアをする人がきちんと生きていなければいけないというのを考えて、そこを解釈してほしいと思います。

(赤石委員)
遊興費のところで、重ねて言うほどでもないのですけれども、やはりいろいろな福祉受給者に対する差別的な発言がこの10年、20年あったのと、どうしても少しリンクするような書きぶりだったかなと思っております。生活保護受給者はパチンコに行っているのだろうみたいな、それを連想させてしまうのはやはり少しよろしくないのかなと思います。

(柿本委員)
「自らの遊興費など」の書きぶりについてですが、落合委員がおっしゃったところに私も賛成でございます。そもそもこどもの福祉というのは、やはり父母が幸せでなければこどもも幸せになり得ませんので、ここの表現は変更すべきと考えます。


なお、本記事は、こちらの投稿に触発されて、まとめたものです。
お読みいただき、ありがとうございました。


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