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&hereKyoto 私にやさしい金継ぎセットの使い方 その1

京都のギャラリー&hereで金継ぎ教室を担当しています。
以前よりリクエストのあった金継ぎセットをやっとやっとご用意できました。

「&here Kyoto 私にやさしい金継ぎセット」です。
私にやさしい5つの理由
*本漆を使って身体にやさしく
*初心者の方へ分かりやすく簡単に
*なおす作業で気持ちが整う
*自分でなおして未来にやさしく
*最小限セットで気軽に始める
この5つをテーマに考えました。

現在、こちらのセットは&hereにて1DAYWORKSHOPにご参加いただいた方、通常のクラスを受講して下さっている方へ向けてのセットとなっております。またご興味のある方が増えてくれたら他での販売も考えたいなーとは思っています。

&hereの金継ぎセットを使って、金継ぎの流れや方法を今までよりも詳しくご説明していきます。
金継ぎ初心者の方へとてもシンプルにしていますので、必要最小限の方法や道具の種類にしています。


金継ぎとは

漆と金や錫、真鍮粉などを使った日本の伝統的な修復方法です。
「伝統的な修復方法」と聞くと敷居が高く感じますが、触れてみると手法はシンプル。器を繕う作業に没頭する時間は緩やかです。
「金継ぎ」を施すことでお気に入りの一点が増えることをお楽しみ下さい。

欠けた器を繕ってみよう①

用意するもの

〈セットに入っている物〉
生漆

ガラス板
〈各自用意してもらうもの〉
マスキングテープ
ティッシュ
ゴム手袋

下準備から始めます

繕う器の汚れをきれいに洗い、乾かしてから始めます。
直したい欠けの周りをマスキングテープではり、保護します。

ゴム手袋をつけ、生漆をガラス板に少し出し、筆にしっかり漆をしみこませます。欠けた部分に筆で塗ります。
塗った部分をすぐにティッシュで押さえてふき取ります。
こすったりせず、そっと押さえます。

この工程を二度繰り返し、生漆を欠けに染みこませます。
下塗りのイメージです。これで下準備が完了です。

欠けた器を繕ってみよう②

用意するもの

〈セットに入っているもの〉
生漆
砥の粉
スポイト
ヘラ(大)
ヘラ(小)
ガラス板
〈各自用意してもらう物〉
ゴム手袋

漆風呂(段ボール箱など)
*漆風呂については別項目で詳しく説明しています

錆漆を作ります

欠けた部分を埋める為の「錆漆」を作ります。
ガラス板に砥の粉を少量出し、ヘラ(大)で細かくつぶします。
さらさら粉末にした砥の粉にスポイトで水を加え、混ぜます。
マヨネーズ位が目安です。
砥の粉と水を混ぜた物の半分量位の生漆を加えます。
ペースト状になるくらいまでよく練ります。
「錆漆」の完成です。

錆漆を欠けた部分に塗り込みます

錆漆を器の欠けた部分にヘラ(小)を使って塗り込みます。
表面がきれいに出来なくても大丈夫です。
少しオーバーめに塗っておく方が後で直しやすいです。

錆漆を塗りこんだ器を漆風呂に入れて一週間ほど乾かします。
*漆風呂については別項目で説明しています。

欠けた器を繕ってみよう③からは次回「&hereKyoto 私にやさしい金継ぎセットの使い方 その2」にてお伝えしていきます。

漆風呂について

「漆風呂」とは木製戸棚型の漆の乾燥設備の事を指しますが、現代生活においての代用品としては木箱や、段ボール箱がおすすめです。段ボール箱は中を湿らせつつ、適度に湿気が逃げる為、失敗が少ないです。
プラスチック製の箱は湿気がこもってしまいますので、避けましょう

漆が乾く(硬化する)のに適した状態は
温度20~25度
湿度70~85%
です。段ボール箱に濡れたタオルや雑巾などを入れます。
湿気が逃げないように必ず蓋をして下さい。
タオルが常に湿っているように毎日タオルを湿らせるようにして下さい。
霧吹きで段ボール内を湿らせるのも効果的です。

日本の気候では梅雨時や夏場は多少忘れていても大丈夫。湿気も温度も十分ありますので、硬化していきます。
冬場は乾燥気味ですので、いつもより漆が硬化するのに時間がかかります。
少し慣れない作業ですが、あまり神経質にならなくても大丈夫です。

新しい筆を使うとき

セットに入っている筆は、まず食用油で洗い、油をなじませます。
筆が柔らかくなったらしっかり油をふき取ります。
その後、漆を使用していきます。

筆、道具類の洗い方

食用油を用意します。ゴム手袋もつけておきます。

〈筆の洗い方〉
ガラス板に食用油を適量出し、筆にしっかり浸します。
ヘラ(小)を使い、筆の毛の中に入った漆をしごき出します。
これを筆がきれいになるまで油を変えながら、繰り返します。
漆が残っていると筆が固まってしまい、筆が使えなくなってしまいますので丁寧に作業しましょう。
筆に油をしみ込ませ、ラップを巻いて保管します。

〈道具の洗い方〉
ガラス板に食用油を適量出し、ヘラで漆を溶かし、ティッシュでふき取ることを繰り返します。ガラス板とヘラをティッシュで拭いても何もつかなくなったら完了です。
自宅では食器用洗剤などで洗って綺麗にしておくと良いでしょう。

漆を使うときの注意点

乾いていない漆が皮膚についた場合、体質や体調によってかぶれる事があります。
説明に書かれていない時でも作業をする時はゴム手袋をつけて下さい。
作業中に漆が付いてしまった時は、ティッシュに食用油を含ませ、油でふき取って下さい。すぐに水などで洗うと逆に漆は固まってしまい、取れずらくなります。
すぐにふき取った場合、かぶれる事は稀ですが、もし皮膚に異常を感じた時は皮膚科を受診して下さい。






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