金継ぎは一周回って楽しくなる
京都のギャラリー&Hereで金継ぎ教室を担当しています。
おかげ様で金継ぎ教室へのご参加人数が増えています。
ありがとうございます。
金継ぎに興味を持っている方がとても増えているなー、と
最近とても感じます。テレビで芸能人の人が体験へ行っていたり、
外国の方も金継ぎ体験をしてみたいという方が
増えているようですね。
私が行っている金継ぎは「本物の漆」と自然素材である砥の粉、小麦粉、米粉などを使用した日本の伝統的な方法で行う金継ぎです。
とにかく時間と回数がかかるのが伝統的な金継ぎです。
最近は、一日で仕上がる金継ぎもよく目にしますが、こちらは科学的な接着剤やパテ、漆ではない偽物の漆を使用している事が多いです。
かぶれない漆などと言われていますが、つまり漆ではないのですね。
別に漆が正義ではないですが。ややこしいですよね。
漆ではない金色の液体を使用している、と
思っていいかと思います。
では、いったい金色液体のお前は誰なんだ?ということですが、各教室にもよると思うので、はっきりとは言えません。
とにかく、なぜ、漆を使用した金継ぎはそんなに時間がかかるのか?
&Hereで行っている金継ぎ教室は最低でも4回、器によっては6回位来て頂かなくては完成しません。
それは、漆というものは、乾くというのですが、湿気と温度を与えて暗い所で寝かせてやっと固まるのです。
その時間が一週間位かかります。
全ての作業工程の後に、この「寝かせる」時間が必要になります。
割れを接着して一週間待ち、欠けを埋めて一週間待ち、漆を塗って一週間待ち、金の粉をふりかけて出来上がりかしら?!と、思ったらまた一週間待ち、その後また漆を塗って一週間待ちます。
それが漆との付き合い方です。とにかく待っています。
そして、気温、湿度にも左右されます。
漆のお椀で有名な輪島塗も124もの工程があるといわれています。
その様な行為が外国の人が「禅に通じる」と言って金継ぎに興味を持って下さる理由かもしれませんね。
教室に来て下さる方は初心者の方が多いため、この「なんで何回もかかるの?」という事を何度も説明したり、進めていく中で、「そういう事か!」と分かって頂く事が多いです。
その為、一回全ての工程を終え、器の金継ぎ修理が仕上がった時、最初からの作業がやっと「そういう事だったのかー」という事になります。
最初はとにかく慣れない漆という物、いつ終わるんだという作業、
せっかく塗ったのにまた削るのか?という事を経て、次の器を直してみようと思って取り掛かっていただくと、とても楽しくなると思います。
一周目は「???」の中で言われるままに進めている感じがするのではないでしょうか?
ぜひ、2周目を楽しみにご参加頂ければと思います。
さて、&Hereでの金継ぎ教室は毎回決まったメンバーではない為、その時によって色々な会話があり気楽な感じで行っています。
一番多いのは京都のおすすめのお店の情報交換でしょうか。
もちろん食べ物屋、飲み屋さんの話が多いです。
禅の境地にはまだまだ遠そうです。
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