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大いに語りかけてくる存在

本ってすごいよね。
まぁいろんな人がいるけど、人ってあんまりよっぽどのことがない限り語りかけてこないものだ。
名前と顔を知っていて会えば挨拶をする程度、それとかお天気の話とか…。
まぁ家族とか友人とか会社の同僚とかだったらなんやかんやと話をするものだけどね。
例えば初めて会ったばかりの人にいきなり「先月の水道代はいくらでしたか?」なんて聞かれると面食らってしまう。(人の話によると、そんな人が本当にいたのだって。びっくりだ!)
だけどそれが「本」の世界だと別に面食らわなくなるから不思議だなぁと思う。
「水道代について彼らは大いに語り会っていた」というはじまり方とか、
「ところで、あんた家の先月の水道代、いくらだったの?」というセリフではじまる小説があったとしても別に驚かない。けっこう普通だね。
なんだろうね、それって…。
ホント、現実の人々はけっこう寡黙。
その反対は「本」の世界。
ものすごく饒舌に話しかけてくる。
聞いてもいないことまで「ああだこうだ」と語りかけてくる。うるさいくらい…なんだけどうるさくない。
それが「人」だととてもうるさくて煙たく思えるのにね。
もちろん「話す」ことを生業としている人もいるが。学校の先生だとか、落語家さんとか色々あるが…。
だから「人」のことで何か気になることがあったらとりあえず「本」を読めばいいんじゃないかな、と思う。当然「人」と語りあうことはとても大事なことだけど。言うまでもなく。
「本」には「ああだこうだ」と書かれているから「本」を読めば「なるほど、この作者はこんなことを考えているんだな」ってことがよく分かる。
「本」は大いに語りかけてくれる。
(当然、人も何かきっかけがあれば大いに語りかけてくれますが)
3年ほど前だったかな…20代前半の若い女性が私につぶやくように「男の人の気持ちが分からない。分かるようになりたい」と話しかけてきた。
なので私は「じゃあ、とりあえず男の人が書いた本でも読んでみては」と答えるとその女性は「私、本なんて読まない」と言ってプイッとその場から去って行った。
私は「は?」と思いましたが気の効いたことが言えない自分にがく然ともしましたね。
でもまぁ「何なのだあの思わせ振りなセリフは!?」とも同時に思いましたね。ただあの女性は思わせ振りなセリフを言いたかっただけだったのかな?よくわからない。
だって本当に「本」を読めばイヤというくらい解ってくるものである。
反対にますます解らなくなることもあるが…。
「本」って本当に大いに話しかけてくれるものだ。
だから「本」ってすごいな、と思うのである。
もちろん「人」と語りあうことも、もっとすごいことである。

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