プール撮影会中止と自分の過去と
“撮影会界隈”という小さな枠を飛び越え、Twitterのトレンドに入るほど話題を集めているプール撮影会。私も昨年は2回プール撮影会に出演し、たくさんの方に写真を撮っていただいた。
2回目の出演時に紫外線アレルギーの症状が悪化してぶっ倒れ、ファンの方やスタッフの皆さんに心配とご迷惑をおかけしたことを今でも大変申し訳なく思っている。(にも関わらず、今年も複数のプール撮影会にオファーをいただけたことは本当に嬉しいです。さすがに去年のような大迷惑をおかけしたくないので、お断りしましたが。)
本件については、ローティーンモデルの水着出演や、開催2日前の急すぎる中止命令など、撮影会運営側・行政側双方にさまざまな問題点が挙げられる。これらはいずれ、関係各所や有識者に取材を行い、どこかの媒体でまるっと記事化する予定なので一旦触れないでおく。
というわけで、ここから先はすべて私の“お気持ち”である。長いし、自分語りが9割なので、興味のない方、ヲチ目的の方はそっとブラウザを閉じていただきたい。
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本件最大の争点は、ローティーンモデルのグラビア撮影に対する是非であると思う。かくいう私も15~16歳で水着撮影会デビューをし、17歳でグラビアDVDを出し、水着姿でさまざまなメディアに出演した。
私は小学生の頃に子役事務所に所属し、売れるために死に物狂いでオーディションやレッスンを受けまくった。親に強制されていたわけではまったくない。どうにかして芸能の仕事で生計を立てていきたいと思っていたから、なんとか生き残る道を模索していた。
自分で言うのもなんだが、私は子役事務所の中で芝居や歌がかなり得意なほうだった。お喋りが好きなので、自己アピールも上手だったと思う。でも、私はなぜかまったくオーディションに受からなかった。理由は簡単で、映像の仕事に耐えられるような美しい容姿ではなかったからだ。
それに気が付き、受け入れられたのが14歳くらいの頃。幸い、昔から異常に強靭なメンタルを持っていたので打ちひしがれることはなく、かといって芸能界への夢を諦めることもなく「じゃあどうすれば自分のようなモンでも表に出られるようになるのだろう?」と考え、行きついた先がグラビアの仕事だった。
耳年寄りだった私は、とにかく若く身体がある程度綺麗であれば、特別顔が整っていなくてもそれなりのウケは狙えることをよく知っていた(当時の主な情報源は2ちゃんねるだった)。それが性搾取的なものであるとうっすら理解はしていたものの「自分が大丈夫なのだからそれでいい」と割り切り、グラビアDVDの出版を決めた。もちろん親には大反対されたし、きっと私が親の立場でも反対していたに違いない。でもあの頃は、1日でも早くグラビアアイドルとしてデビューしなければ自分の価値が下がってしまうと、17歳の時点ですでに焦っていた。
※誤解が生じないようにお伝えすると、事務所からグラビア活動を強要された経験は一切なく、すべて自分の判断で行ったことである。
こういうふうに書くと、私が過去のグラビア活動を後悔しているように思われるかもしれないが、そういうわけではない。私はグラビアのおかげで自分の顔や身体がほんのちょっとは好きになれたし、女の子のグラビアを見るのも、撮るのも大好きだ。
私はグラビア時代の経歴を一切包み隠さずに就活を行い、それなりの企業に就職できた。今はフリーライターとして無理なくのんびり働きながら、憧れだった漫画原作の仕事もできている。特にフリーランスになってからは、グラビア時代の経験が生きていると感じる場面もたくさんある(日刊SPAで撮影会の記事を書いたりしている)。企業案件などで大手のクライアントと仕事をすることもあるが、水着だらけのインスタアカウントを記載した名刺を堂々とお渡ししているくらいだ。グラビア活動をしていた(している)自分を恥じたことは、一度もない。
しかしながら、当然、私のように自分の望むキャリアを自分の意思でのらりくらりと歩んできた元ジュニアアイドルばかりではないことは、想像に難しくない。原宿あたりでスカウトされて言葉巧みに事務所に勧誘され、あれよあれよという間に水着の衣装合わせが行われ、アイスを舐めたりオイルマッサージをされるようなDVDを出し……。ある程度成長した頃に、あれがどういう意図で撮られたものかを知ってショックを受ける子も多いだろう。
実際、撮影中に控室にこもって出てこなくなってしまった子や、DVD発売イベント出演前に泣きじゃくっている子を見てきた。水着撮影会でも、同様の場面に出くわしたことがある。
それに追い打ちをかけるのが、ネットの誹謗中傷だ。私は先日、カップラーメンに関する記事を“週4ラーメンを食べる現役グラドル”として執筆したのだが、とある男性アカウントから「こういうブスは特殊な肩書きを付けないと世に出られない。グラビアなんてタレントとしても最終局面だしな」(ほぼ原文ママ)などといったツイートを、ご丁寧に渡辺ありさのハッシュタグ付きで投稿された。普通にちょっと、腹が立った。
29歳で、過去には加害予告までされたような私でさえ、こんなちょっとした中傷にもしっかりイラつくのだ。ローティーンの女の子が自分への誹謗中傷を目にしたら、相当な心の傷を負うだろう。もちろんグラビアに限らず、表に出れば中傷されるリスクは免れない。しかし、グラビアの場合それが特に苛烈であると感じる。私の時代はソフマップイベントに出演していたグラドルへの誹謗中傷が酷く、ネットのオモチャ状態であり、一周回って事務所やグラドル側もそういった炎上を面白がっていた風潮まであった(今はさすがにそうでもないのかな?)。普段はグラビアアイドルを好んで見ているのに、なぜかグラビアの仕事を馬鹿にする男性が一定層存在するのは本当に不思議な話である。
で、話を冒頭に戻すが……
プール撮影会の中止をめぐり、Twitter上ではあらゆる界隈で舌戦が繰り広げられている。急な中止にモデルやファン、関係者が憤る気持ちもわかるし、ローティーンモデルの水着撮影を不安に感じる人々の気持ちもよくわかる。
しかしながら「プール撮影会中止はブスとババァの僻み」だの「水着撮影会に出るレベルの底辺グラドルに嫉妬するわけないだろ」だのといったツイートをたびたび見かけ、頭が痛くなる。こういった投稿は1件や2件ではなく、しかもこんな暴言ツイートたちにかなりの数のいいねが付いていたりする。もはや本件とは何の関係もないただの悪口合戦であり、場外乱闘であり、結果として流れ弾が罪のない出演者にぶち当たっている。
「自分にとって気にくわない発言をする女は全員ブスかババァ」とのたまうヤツは、現実社会でもたまに見かける。こういった愚か者には下手に触れず、即ミュート・ブロックなどするのが正しいだろう。
一方で私がとてもショックだったのは、影ながらツイートを楽しみにしていた女性ツイッタラーの方が「男の本音はどんな女にプロポーズするかに表れている。自分は家風の堅い家柄の男と結婚したが、エロカメコに向かって中学時代からM字開脚しているような女だったら結婚の許可が下りなかっただろう」(ほぼ原文ママ)といった投稿をしていたことだ。
彼女の発言は時に過激だが、勉強になることも多く、趣味のアカウントからフォローし毎日ツイートを拝読していた。そんな彼女から、地位の高い男性に支持されない生き方をしてきた女性は醜い存在であるかのように語られたのは、とても悲しかった。すべての女性の人生は、どこかの偉い男性の妻候補になるためにあるわけではないのに……。
と、まあ、本件を通じてこの数日間で本当にさまざまな意見を目にし、受けなくてもいいショックを受け、勝手にちょっと落ち込んだ。そして、過去の記憶を手繰り寄せつつ、仕事もほったらかして悶々としながらこの乱文を執筆しているのである。正直、補足したいポイントもたくさんあるし、ざっと見直して誤解を招きかねない表現も散見されるが、ちょっと疲れてしまったので今回はこの辺で締めくくらせていただきたい。
※この記事に対して色々なご意見はあるかもしれませんが、私は本件について誰かと議論するつもりはありません。冒頭でもお伝えした通り、本件に対する客観的な考察についてはどこかの媒体で記事化する予定なので、興味のある方はぜひそちらをご覧ください。
以上です。長文をお読みいただきありがとうございました。