『機動戦士ガンダム 水星の魔女』感想
2期は毎週地獄が更新されてしんどかったですが、
最終回まで観てよかったです。
※プロローグ〜本編最終回までのドネタバレを含みます。
●「手に入れる」物語だった
最終回でようやく気付いたんですが、
物語全編に通して
「手」のアクションが重要視されているんですね。
“お母さんが言ってました。逃げたら一つ、進めば二つ手に入るって。”
作中で繰り返されるプロスペラの言葉にもあります。
これは作中で一度スレッタによって
“何も手に入らなくても できることをする”
と否定されますが、
作中で「手」や「手を取る」アクションは象徴的に描かれています。
ラストシーンも、手を取り合うスレッタとミオリネ。
「いけません!」のシーンも手。
銃などの武器ではなく、自らの手を汚す、というのを視覚的 物理的に示しています。
エラン5号とノレアの関係を示唆するのも手。
見返したらもっとありそうです。
作中で象徴的なのがトマトですが、
手の平で掴める野菜であることは必須だったのでしょう。
ゴマとかカボチャとかネギではダメなのです。
●ペイル社と影武者技術
ペイル社はエラン様の影武者を少なくとも4人葬り、人体実験と顔の改変を少なくとも5人やっているという結構とんでもない会社だと思うのですが、
最終回ではおばあさま達は4人でカメラ目線のティータイム、
エラン様はビジネスで活躍となんか良い感じに終わっていました。
強化人士の製造より他人を別人に作り変える技術の方がヤバいと思うのですが、
そういうものとしてあっさり出てきてあっさり物語りも終わってしまった。
これは水星の魔女の世界線では一般的な技術なのかしら……?
「顔が同じでも同一人物とは限らない」って考察する上でかなり厄介な要素で、
アニメ前半では
「プロスペラも実は中身は別人では……」と思ったりしていたのですが
エラン様以外は影武者はいなかったようです。
●エルノラはいかにしてプロスペラになったか
プロスペラは最終回ギリギリまでわかりやすく視聴者のヘイトを集めていたので、
「本当は良い人なんです!
エルノラはどうしてもプロスペラに成らざるを得なかった……!」
みたいな過去編の挿入があるかと予想していたのですが、そういうシーンもありませんでした。
水星のシーンがもう少しあるかと思っていました。
プロスペラ側についているプロスペラ以外の人の動機もイマイチよくわかりませんでした。ゴドイもエリィの居場所作りを切望していたんでしょうか。
●謎のスーパーお母ちゃん ノートレット・レンブラント
ミオリネの母、ノートレットさんも謎のままでした。
ノートレットさんはなぜあんな軍事兵器クワイエットゼロを考案したのか?デリングはどこまで関与していたのか?
結局、ノートレットさんは植物の品種改良もできて遺伝子工学もできる、クワイエットゼロの構想もしちゃうお母ちゃんということでした。どんな人や。
●百合に挟まる男達
ネットスラングで「百合に挟まる男」というのがありますが、
水星の魔女は複数いました。
いやぁもう挟まる挟まる。
スレッタとミオリネの間に挟まる
グエル、エラン4号、シャディク。
ソフィとノレアの間に挟まるエラン5号。
チュチュとニカ姐の間に挟まるロウジ。
ノレアなんて挟まる余地無さそうでしたけど
しっかり挟まってきました。
●モビルスーツかっこいい
今作品が人生で初めて通してみたガンダム作品でした。ファーストガンダムをチラッと見た程度。
正直、ロボットアニメのロボットのかっこよさがイマイチわからなかったのですが
エアリアルの無双っぷりはかっこよかったです。
最終話のキャリバーンも素晴らしかったですね。
作画が良すぎて泣きそうでした。
●エリクトちゃん達の謎
プロスペラがクワイエットゼロまで作って実現しようとしていたエリクトの存在できる世界が、まさかのマスコット封入により実現しました。
エリクトがマスコットの中に入り、キュウベエみたいな小姑化するとは誰が予想できたでしょうか。
最終回では
「スレッタもエリクトもプロスペラも失わなくて良かったね」みたいな雰囲気でしたけど、
おそらくエリクトだけ老いないので
これはこれで悲劇なような気もします。
複数いたのは、リプリチャイルドがスレッタ以外にもいたということでしょうか。この辺は本編で説明があったかも?
プロローグでは「エリィ」が一人称だったのに僕になったのはいつなんでしょうか。
●大人の責任とは(加筆)
完成度の高いアニメだったと思いますが、
「大人は何やっているんだ」というのが自分の中で少しひっかかりました。
『モブサイコ100』履修者あるあるだと思うんですが、少年少女が最前線に立つ展開になると脳内の霊幻新隆が大暴れしてしまうんですよね。
霊幻「嫌な時はなぁ!逃げたっていいんだよ!」
霊幻「大人に任せとけ!」
ケナンジさんがちょっぴり霊幻ポジションでしたが、罪は少年であるシャディクが全部おっかぶる形になりましたし、霊幻さんだったら怒ってるんじゃないかなぁ。
シャディクやグエルの側に霊幻師匠がいたら、他の選択肢も選べたかもしれません。それはもはやガンダムの話じゃなくなっちゃうとは思いますが。
●全体を通して
24話で終わらせるには内容詰め詰めで、
政治パートはなんだかよくわからんと思いつつ見ていました。面白くはあるのですが。
オススメかというと途中がしんど過ぎるので万人にオススメはしかねるのですが、
見応えのある良いアニメでした。
セセリア懺悔室卒業生のマルタンが、今後の恋愛に物足りなさを感じるのではないかと少し心配です。
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