深夜の魅力-暗さと創造性【ウェルビーイング手帳】
生活リズムは規則正しいに越したことはないけど、深夜に本を読んだり、考え事をする時間には何とも言えない魅力がある。そうした夜の魅力の理由の一つは、おそらく体内のリズムに由来します。身体には「サーカディアン・リズム(概日リズム)」と呼ばれる24時間周期のリズムがありますが、夜が深まるにつれて、覚醒を促すホルモンが抑制されて、リラックス効果のあるメラトニンの分泌量が増えていく。夜に落ち着いた気分で過ごしやすいのは、体内のリズムのおかげでもあるわけです。
サーカディアン・リズムは、光によって、外の環境の周期との同調が行われる。眼の網膜にある「メラノプシン」が強い光を受けると、その刺激が脳の体内時計に伝わり、体内のリズムが覚醒のモードに入る。僕は朝起きたら、体に自然と活動を促すためによく窓の外の空をぼーっと眺めています。
ヒトは強い光の下ではより覚醒した状態となり、メラトニンの分泌も抑制されます。覚醒状態の方が生産性は高まります、オフィスなどが一般に明るく設定されているのはそのためです。スーパーやコンビニの照明が明るいのも、その方が購買意欲が刺激されるからです。ただ、近年では、「暗さ」が持つ可能性が少しずつ注目され始めています。単純な知的活動は明るい環境下の方が成績が良くなる傾向がありますが、ヒラメキを要するある種の創造的な課題の場合には「暗い」環境の方が成績が良くなるようです。
その理由は、リラックスしている時の方が、想い出すことや連想といったより探索的な知的活動が活性化するためだと考えられます。暗い環境では意識がより内側へと向かう傾向がある、暗さが創造性を促すのはそうした理由によるのでしょう。バーやカフェなどで暗めの照明が好まれるのも、リラックスした柔軟な思考が対話にとっては重要だからなのかもしれません。
どうせなら夜更かしするなら、部屋の照明を少し暗くした方が夜の魅力をより味わうことが出来るのかもしれません。ただし、サーカディアン・リズムの乱れは体には良くないので、あくまで時々、贅沢として。
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