夜の学校
中学1年生の冬、友人と冒険をした。
夜の学校に足を踏み入れることを決めたのには、
深い理由なんてなかった。
なんとなく、先生に見つかって怒られる予感はしていたが、躊躇しなかった。
教室は重く、暗かった。
怖くなって明かりをつけた。
いつも授業を受けている教室のはずだが、
いつもとは全く別の場所のように思えた。
気づいたら黒板に文字を書いていた。
なんと書いたのかは覚えていない。一瞬、青春を謳歌できたような気がした。嬉しかった。
小学生の頃は、友達がいなかった。孤独だった。
でも、今、横には友人がいる。幸せだ。
しばらくすると、足音が聞こえた気がした。
音はどんどん近づいてくる。
「やばい、見つかる...。どうしよう...。」
隠れるという方法もあった。
後ろにはロッカーがある。
カーテンにも隠れられる。
ベランダに出て、そこに隠れることもできる。
でも、そうはしなかった。
隠れるのは違う気がした。
怒られてもよかった。
そして、案の定、見つかってしまった。
人生で初めて怒鳴られた。
だけど、嫌な気はしなかった。
何故か嬉しかった。
一瞬、ほんとに一瞬だけ青春を味わえた。
映画のような出来事だった。
補足⤵︎
怒鳴られて嬉しいのは多分、無視されたり、存在を認めてもらえないというのは大袈裟かもしれないけど、そういう小学生時代を過ごしたからだと思う。