パンの中には(後書き)
このお話は、ある二つのものを表現した作品です。
一つは
「どらやきの皮だけ」
という近くのケーキ屋さんの商品。娘が好きな商品なのですが、どら焼きの皮だけで売っている、なかなか面白い商品なんです。皮だけでも十分に甘くて美味しいということがわかるんですが、普通のどら焼きを食べてしまうと、その皮の美味しさがわからない。中の有る無しで美味しさが変わるなんて、不思議ですよね。
もう一つはフォロン展で展示されていた
「秘密」
という作品。一見普通の男性の銅像なのですが、正面から見てみるとコートを少し開けており、体はなく空っぽ。私はこの作品を見て、クスッと笑ってしまいました。重々しい銅像の中が空洞で、それを秘密にしてちょこっと見せている。面白くて可愛い!という感覚が湧いてきてしました。きっとこの作品を見て重々しく考える人もいると思います。私の作品もそんなふうに読み取る人もいるかもしれませんね。でも本当は、「ちょっと面白いかも」くらいで読んでもらいたかったりします。
私は、身の回りのことを観察して、色々なものを連想する癖があります。「これって〇〇みたいだな」といったように。私の妄想であり、シャレのようなものなのです。なので、私の作品読んで生き方や哲学的に重々しく考えるのではなく、
「面白がってほしい」と思っています。