見出し画像

The Stanley Parable Golden Version

 従業員427番の彼、スタンリーに大型連休(ゴールデンウィーク)の時期がやってきました。そして彼は、ここで初めてデスクに向かってキーボードを押す作業から離れることができるのです。
 そのある日、一時間待ったにも関わらず、何も指令が行われないことに気づきました。定められたパターンに従って入力を行う作業が彼にとって幸せでした。しかし今は彼に挨拶する人間すらいません。ショックで固まったスタンリーは、長いこと身動きが取れなくなっていました。しかし落ち着きを取り戻すとベッドを離れ、戸締りをし、靴を履いて、彼の部屋を出て行きました。


 これは彼の正しい道ではない、スタンリーはそのことは良く知っていました。彼は"部屋を出る"行為を通じて彼が世界から何を受け取ることになるのかを恐れていたのです。それは、一見なだらかに進んでいるように見える社会であっても、そこには不合理な形で生じている歪に捕えられてしまうことがあるのです。彼はこの生活はいかに"非生産的な行動"かを知っていました。しかし彼にはこの生活を送らなければならないと思ったのです。日々のパターン作業の毎日、ふと現れたベッドの上の魅惑をも享受したがったのでしょう。

ああ、なんてことだ。なあスタンリー、もう数か月以上すぎていないかい?
これは私のせいでもあるんだ、スタンリー。ゴールデンウィークはもうとっくにおわっているんだ、この現実を受け止めることができるか?
私は『The Stanley Parable : Ultra Deluxe』の発売と同時に、「ゴールデンウィーク」を謳歌するためにこのシナリオを描き上げようと思ったんだ。
スタンリーにとってゴールデンウィークは何なのか?彼は一般的なゴールデンウィークを過ごすことができるのか?それを私は考えたんだ。
スタンリー、スタンリーはこの世に大勢いるんだ。これは比喩でなく君そのものが文字通り大勢いることになるんだ。君は本当の「自由」を手に入れたかい?それともそのスタートにすら立っていない?私はスタンリーに、いや、もっと壮大なものの認識の拡大をはかったよ。

ああ、そうだ。これは時効でもあるがそうでもない。改めて私から君に伝えるよ、スタンリー。君は私のストーリーになってもいいし、ならなくてもいいんだ。もっというならば、そのどちらも私のストーリーの中に組み込まれているんだ。ストーリーの構築自体は私が行う。君は君自身の、いやもっと大きなものの概念を拡大するべきなんだ。
私がこうやってストーリーを描くのは必然で、しかしこれは誤っていたんだっろう、きっとそうだ。
悪かったね、スタンリー。ではもう一度リセットすることにしよう。



いいなと思ったら応援しよう!