【イノベーティブな企画は「Think Wrong」から生まれる】日々の掃き溜め No.64
人間は、常に正しく考えるようにプログラミングされている。その理由はおそらく数多くあるはずだ。外敵から身を守るため、環境に適応するため、恥をかきたくないため・・・・
僕たちの頭は、常に「Think Right」で考える。
しかし、何か新しい企画を考えるときには、ここが大きな落とし穴になる可能性が高い。
例えば、飲料業界で働いているAさんがいるとする。働き始めてから数年が経ち、業界の理解も十分に深まっている状態だ。そんな時に、新しい商品開発の仕事を任され、「何かイノベーティブな商品を作ってくれ」と頼まれる。興奮しながら今まで学んだ知識を総動員し、情報を集め流行をつかみ、一生懸命に「Think Right」で企画をする。
おそらくそうやって出来た企画を見た上司から言われることは、「どこかで見たことがあるような企画で面白くない」。肩を落として、トボトボと部屋を去る。
僕が敬愛する濱口秀司さんが提唱するイノベーションの3つの要件がある。これは、この3つの要件を満たしていれば、イノベーティブである確率が高い、というものだ。
1.見たことも聞いたこともない
2.実現可能である
3.議論を生む
Aさんは、「Think Right」で企画を作った結果、1の要件を満たすことができなかった。それはなぜか。
人間の脳は、知らず知らずのうちに「バイアス」にかかっている。Aさんの場合、十分な業界経験を積んだことで、本人も気づかないうちに飲食業界のバイアスにかかっている。そして、当然Aさんの上司の脳もバイアスまみれだ。
その状態で、「Think Right」の結果出てきたバイアスに沿った企画を見ると、「見たことも聞いたこともある」となってしまう。
では、どうやって見たことも聞いたこともない企画を生み出すのか。答えは簡単で、「バイアスと逆の方向に考える」、つまり「Think Wrong」してやれば良いのだ。
みんなが正しいと思っている方向と逆の方向に行ってみる。この時に自分の脳で起きる反応は、「いやいや、こんなのありえない」というもの。当然である。自分自身もすでにバイアスにまみれているので、直感的にこの方向に何もアイデアなんて無い、と思ってしまう。
しかし、それが実は良いサイン。そこに必ずイノベーティブなアイデアがあると信じて強制発想する。自分の脳との闘いを始める。そうすると、世の中を驚かす圧倒的な企画が生まれるのだ。
「Think Wrong」で濱口さんが生んだ商品の1つが、「USBフラッシュメモリー」。詳しくは下記の記事を見てほしいが、当時、界隈の業界人たちが絶対にありえないと思った方向で考え続けた結果、世界中で大ヒットする商品が生まれた。
そのほかにも、マイナスイオンドライヤーやイントラネットなど、数百のイノベーティブな企画を世の中に届けているが、どれも根幹にあるのは、「Think Wrong」。
その「Think Wrong」について語った下記の動画はめちゃくちゃ面白いので、ぜひ観てほしい。
企画作りの参考になれば幸いだ。
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本日も読んでいただきありがとうございます。
では!
西川恭平