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本棚:『いまさら翼といわれても』

いちいちタイトルがかっこいいよなぁと思う古典部シリーズ第6弾。「いまさら翼といわれても」と思ったのは、はたして誰なのか。

本書は長編ではなく短編集でして、一番印象に残ったのは主人公の折木奉太郎の「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」のモットーの原点がわかる「長い休日」というお話。なんだか切なくなりました。
本書とは全然別の本なのですが(著者も違います)、主人公が「不器用な人が嫌い」と思う場面があって、その理由として、不器用だから、やっていることとしては残念な結果なわけですが、本人は一生懸命やっているのだから、その残念な結果に対して文句を言うのは心が狭い、文句を言う方が悪いと思われてしまうことに、モヤモヤとしているのです。
あぁ、たしかにそういうことあるよなぁと思って印象に残ったのですが、同じように「困っている人がいたら助けましょう」っていうのも、なんだかなぁと思います。例えば、道に迷っている人に道を教える、落とし物に気づかなかった人に教えてあげる等の、その場限りの小さな親切はいいのですが、学校や職場、親戚・ご近所付き合いなどの閉鎖的な空間だと、一部のまじめなお人好しに負担が偏る可能性はあるよなぁ…と。「〇〇さんに頼めばやってくれるだろう」というのは、頼む側としては悪気はないかもしれませんが、その人を甘く見ている、つけ込んでいると捉えることはできるよなと。
「みんな仲良くしましょう」と同じように「困っている人がいたら助けましょう」も、子どもの頃からの刷り込みがあるけれど、「本当に?」と一度立ち止まってみようと思いました。


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