本棚:『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』
2012年に発行された本なので、いまから12年前の本になります。最近では「ゆるブラック企業」という言葉をよく聞くようになりましたが、そもそもブラック企業とは…。
なんとなく、ロシアンルーレットのように運悪くブラック企業に入社してしまった人が、心身ともにすり減らし、退職できればいい方で、自ら命を絶ってしまうこともある、というイメージでした。でも、直接の被害者だけでなく、社会全体にとっても悪なのだと認識しました。
もうだいぶ昔にはなりますが、自分が就活していたころでも、求められる人材として、コミュニケーション能力の高い人というのがありましたが、コミュニケーション能力ってなんとも抽象的ですね。以前読んだ本で、たいていの人は自分のことを「人見知り」だと思っているとありました。同じように、自分はコミュニケーション能力が高いと思っている人も少ないのでしょう。「コミュニケーション能力が低い」とか「気が利かない」とか言われたら、客観的な判断は難しくて、鵜吞みにして自分がダメなんだ…と思ってしまいそうです。
本書では、ブラック企業から身を守るために「戦略的思考」が必要だとのことで、具体的には「自分が悪いと思わない」「会社のいうことは疑ってかかれ」「簡単に諦めない」「労働法を活用せよ」「専門家を活用せよ」とのこと。
中野信子さんの『科学がつきとめた「運のいい人」』では、ブラック企業にとって使い勝手のいい人材とは「まじめ、人を疑うことを知らない、人の話を素直に聞ける、責任感が強い」とありました。
今でこそ、企業のいうことは基本、企業にとって都合のいいことで、私にとって都合のいいことではないよね?とか、アンケート結果はだいたい疑ってかかるので、良くも悪くも「疑う」ことを覚えました。でも「人の話はちゃんと素直に聞きなさい」という社会規範みたいなものはあるでしょうし、学生の頃はそれがよしと評価されたと思うので、まだ新卒の頃に「疑う」というのは難しいかもしれません。