クリープハイプの好きな3曲
「好きな3曲を熱く語る」というハッシュタグを見つけてしまったからには、いてもたってもいられなかった。
わたしは音楽を聴くのがひとよりもすこしだけ好きだとおもう。部活動レベルで楽器などやってきたものの楽譜はまともに読めず、音楽をつくりだすことはまったく想像すらできないけれども、聴くことについてはそう。
この世のすべての楽曲から3曲選ぼうとすると気づいたら墓の下という事態になりかねないので、だいすきなクリープハイプの楽曲から3曲、えらびました。
クリープハイプの音楽はたぶん、みんなでわいわい盛り上がって聴くような音楽じゃないのだと思う。目の前にいるたくさんの人と共有できるインスタントな感情(インスタント、としか言えないのがはがゆい。インスタントなんだけれど、もっと適した言葉がないかな)ではなくて、でも世の中には自分と同じような気持ちでいる人が必ずやいるのだ、という安心感を感じる。きゅうくつだけれど一生懸命生きている。そんなところがすきです。
1.手と手
アルバム「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」の3曲目です。
さわやかな疾走感ではなく、汗だくで走ってきた、みたいながむしゃらな気持ちよさ。アルバムで聴くと、「イノチミジカシコイセヨオトメ」からなだれ込んでくる感じがまたいい。
歌詞はもちろんだけれど、この曲はユキチカ氏の、ちゃらちゃらしていて軽い男みたいな、でもなんだかなつかしくてぎゅっとなるようなギターがたまらない。
Aメロの尾崎さんの歌い方で、"本当のことを言えば毎日は"の語尾が1回目はちょっと投げやりな感じ(いい意味で)がする。でも2回目のAメロはちょっと語尾が下がって、そっとおくような感じがしてやさしい。そんな微妙なニュアンスの違いもいい。
Bメロの"大切なものを無くしたよ"の後ろでしゃらしゃら鳴ってるギターもいい。"そんなこと言えないけど"の後から入ってくるリフのことが今のところ、世界でいちばんすきです。
「手と手」が離れて「手」になる、という、のちのアルバム「世界観」に収録されているアンサーソング?の「手」もまた、すきです!
2.サウジアラビア
シングル「破花」のカップリングです。一発録りらしいです。
キラキラ輝いて光っていてね
サウジアラビアにいても
わかるように
なぜこんな歌詞が書けるのだろう、と頭を抱えてしまう。だいすきです。まず、サウジアラビア、サウジアラビア!?この意外性がすごくいい。あとサウジアラビアってなんだか語呂がいいですよね。口に出したくなります。これ、オーストラリア、とか、フランス、とかじゃだめなんです、サウジアラビアでなくては。
ぜんぜん関係ないですが、わたしは「エンパイアステートビル」も口に出したくなります。これはぜんぜん関係ないです。
極めつけはここです。
ちょっとオレンジのまぁるい気持ちになるんだ
ちょっとオレンジのまぁるい気持ちってなんでかすごくわかる、すごくよくわかる。「あったかい気持ち」と言ってしまわないところがいいなと思います。むかし、どなたかのTwitterのつぶやきでみたのですが、うれしい、かなしいといった直接的な表現を使わずに感情を表現するところが、クリープハイプの、尾崎さんの歌詞のすてきなところです。
あと、とがった曲調にこういう歌詞が入ってくるいい意味でのちぐはぐさがまたいい。どこにいてもすぐに見つけるからね。
3.明日はどっちだ
「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」のカップリングです。(これ配信してないので画像だけ貼ってみました)
この曲をはじめて聴いたのは、ファンクラブに入っていたときに行った「クリープハイプの日」ライブでした。その日は人気投票10曲をやる、みたいな日で、1位になったのがこの曲。当時わたしは「手と手」がいちばんくらいに好きで、実をいうとこの曲のことはそれまで知らなかった。
言いたい放題言われて 言い返す言葉も無いけれど
イライラするよりキラキラしてたいから
感情の行き着く先は満員電車に揺られて
がんばれアタシ 明日はどっちだ
たぶん、こういう気持ちがわかる人はクリープハイプが好きな人なのだとおもう。このフレーズを聴いたとき、一瞬でだいすきになった、この曲のこと、そしてクリープハイプのことがもっと。自分がたいせつにしている小さくてきらきらした世界を、わからないやつにどう言われようと守りたい気持ち。
最低限の何かをちょっと見せてみろよ
ガンバレ!ガンバレ!という応援ソングが胸に響くこともある。でもそうじゃないときもある、というかそうじゃないときの方が多い。明日はどっちだも立派な応援ソングだと思う。こちらは激しく燃え上がる炎というより、ちろちろ燃え続けているろうそくの火をずっと眺めていたい、みたいなそんないとおしさがある。
うえの写真はその日、撮った写真です。きれいでとっても気に入っています。明日は良い日だ。