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知らない街にふたりぼっち

腕時計をしていた部分だけ白く残った左腕と、文通しているひととのある夏の日について。

電車に揺られて海の近くの美術館に行きました。車で行く方が楽だけれど、電車から眺める景色もすてがたい。美術館じたい、ひさしぶりに行ったんだけれどもこんなにいい場所だったっけ。余白たっぷりで静謐で涼しくて(夏だし)、心がみたされた気持ちになりました。

館内には画集がたくさんある、美術図書室もあって、こんな場所が家の近くにあったなら通ってしまうな。展示、よかった。あたらしくいいなあとおもう方もできて、ちゃんとメモした、またみることができたらいい。ちょうどいまのわたしと同じ齢の、25歳で亡くなった画家の方の絵が、うまくいえないけれど心にひっかかった。

敷地内にはお庭があり、そこになんとリスがいた!リス!小学生以来かもしれない。
お昼はカレーを食べた。ビールも飲んで(給水ポイント。天国のようにおいしかった…)さいきんいいと思った音楽や映画の話とか、さっきみた展示の話とか、仕事の話とかをとりとめもなくした。

午前中はかんかん照りだったけれども、午後は陽射しがやわらいできたので、人もまばらな海辺で立ったままぬるいロゼワインを飲んだ。こういうめちゃくちゃなことをできるひとを、わたしはずっと待っていた気がする。

途中、うまいこと流れ着いていた流木をみつけた。あのひとはスピーカーを持ってきてくれていて、それですきな音楽をひたすら流してまたいろんな話をした。だんだん夕暮れになっていく空だとか、地元のひとがぽつぽつと犬を散歩しにくる感じ、満ちていく潮だとか、どれもこれもが、なんというかありきたりな表現だけれども、映画のようだった。

あのひとは生産性とは真逆のことがすきみたいで、それはこのご時世で時間をかけて丁寧につくられたものに、心を動かされるみたいだった。持ち物の革製品にきれいに艶がでているのが、その言葉が言葉だけではなくきちんと行動に出ているようで、わたしはそれがうつくしいなとおもいました。

夜はきりっと冷えた白ワインを1本開けて、そのあとまた海辺でおしゃべりしました。海は思ったよりも波の音が大きかった。

帰り道、また街に誰もいないような夜だった。知らない街にふたりぼっち、ですね、サニーデイ・サービス。という話をしてちょっと笑った。

知らない街にふたりぼっち / サニーデイ・サービス

サニーデイ、このアルバムに入っている「週末」という曲がとにもかくにもすきで、このアルバムいいなあと思います。うまくいえないけれど、なんだかなつかしい気持ちになる旋律がいいです。「ふたりぼっち」て歌詞、チャットモンチーの「恋の煙」においてもしかり、だいすきです。

長くなってしまった。想いの丈がついつい。それでは!

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