SCUからICUへ
朝を迎え、病院へと車を走らせた。
弟の軽自動車が移動の足になり、役立った。
実は弟は沖縄に住んでいた。
沖縄には何回か来た事があるが、観光で華やかな場所しか知らなかったが、ここ沖縄那覇は車社会で、びっくりするくらい車の往来が多い。そして、道路際にも駐車中の車が。
また、思っていたより上り下りの多いこと。
弟の車はなんとミッション車なので、乗り始めはヒヤヒヤしながらの運転になった。坂の途中で渋滞に巻き込まれた時は、サイドブレーキを引きながら必死だったが、何回か乗ってると慣れてくるから不思議だ。
さて、病院について弟の様子を見、一旦父を連れて帰るとの報告を伝えた。
明日の朝、那覇を立つ予定にした。
帰りの準備をしていた夕方、病院から連絡が入る。様態が悪化したので、SCUからICUに移りますので、至急来てくださいと。
父と今後何かあったら、覚悟を決めて、延命処置は行なわないでおこうと話あっていたところだった。
足腰が悪くなってしまった父は、気力もなくなり、お前一人で行って来てほしいと言われ、私一人で病院へ向かう。
ICUに入る前部屋に通され、待っていたら、担当医師がやってきた。
「様態が悪化して、酸素値が危険な状態になっています。人工呼吸器を取付ますか?取付けたらもう外せませんが、どうされますか?」 これは延命治療だ。
私は父と話あって決めた自然療法をしてほしい、酸素と点滴だけおねがいしますと伝えた。心が苦しかった。
弟に会えると言われたので様子を伺うが、呼吸が苦しそうで見るに堪えなかった。
“頑張れ!”っと声掛けするしか出来ず、自分の無力さに悲しみが湧き上がる。
後ろ髪を引かれながら、看護師に明日帰るのを見送る事にすると伝え、父の待つハイツに帰った。
延命処置をするかどうか、皆さんならどうする?多分答えは見つからないのだろう。
何が正解で不正解なんて誰にもわからない。
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