衆議院選、〇〇〇〇を忘れてませんか?/#公民がすき をつけたので政治経済の話も
問:
衆議院選挙までもうすぐですね。
衆議院選挙の投票所で記入する用紙は3種類あります。
「衆議院選挙小選挙区の投票用紙」「衆議院選挙比例区の投票用紙」とあと1つは何の投票用紙でしょうか?
答えは後ほど。
45才公務員👉無職おじさんの「ありのこ」です。
2023年に潰瘍性大腸炎という病気(=難病)のため国家公務員をやむを得ず退職に追い込まれました。
今は無職・無収入でお金はありませんが、時間だけは無限にあります。
時間があるのでいろいろなことをnote記事に書いていきたいと思います。
自己紹介が終ったので問1に話を戻しましょう。
一般的には単に国民審査と呼ばれます。
国民審査って「よく分からない」という方も多いと思います。
簡単に言えば「国民が気に入らない最高裁判所の裁判官をクビにできる」制度です。
でもなじみがないですよねぇ・・・。
今回のnote記事は大多数の人になじみがないからこそ国民審査を知ってもらおうと書きました。
・最高裁判所裁判官の国民審査を身近に!
国民審査になじみがない人が多いと思うのでもうちょっとなじんでもらいましょう。
国民審査に関するクイズを続けます。
このクイズで国民審査になじんでください。
2問出しますのでちょっとだけガマンして解いて頂きたいです。
問2
今まで国民審査でクビになった裁判官は何人?
問3
国民審査の投票用紙は鉛筆で記入します。
記入方法で正しいのは①~⑤のうちどれでしょう?
①〇の記号のみ記入できる
②✖の記号のみ記入できる
③〇と✖の記号のみ記入できる
④〇と✖と△の記号のみ記入できる
⑤投票した人の意思がわかれば記号でも文字でも良い
クイズ2問、いかがでしょうか?
簡単でした?
難しかったですか?
それでは答え合わせ。
驚いちゃいますよね。
誰もクビになっていません。
クビを難しい言葉で罷免と言います。
今まで国民審査で罷免された裁判官は0人です。
なんで誰も罷免されないのでしょうか?
国民審査制度があまり知られていないのが大きな理由です。
また国民審査を知っていても「どの裁判官がどの裁判でどのような判断をしたのか」まで分からないとクビにしてよいのかわかりません。
A裁判官はこの判決で合憲に票を投じた。
B裁判官はあの判決で違憲に票を投じた。
最高裁判所の裁判官だけ(高裁や地裁の裁判官は関係ない)とは言え、そんなマニアックなことを知っている人は皆無だと思います。
制度はマイナーだし、制度を知っていても誰を罷免して良いか分からない。
だから罷免された裁判官は0人。
ただもう1つ罷免された裁判官が0人である理由が考えられます。
その理由に関係するのが問3です。
国民審査の投票用紙は✖しか記入できません。
ココは勘違いしている人も多いと思います。
じゃあ〇とか△を書いたらどうなるのでしょうか?
無効です。
✖以外のモノを記入しないように気を付けてください。
NHKのサイトも次のように「注意しようねー」と言っています。
総務省のサイトでもちゃんと説明しています。
でもこの「✖の記入だけ有効」って良いのでしょうか?
国民審査の投票で有効なのは次の2パターンのみです。
「✖の記入」=その裁判官は罷免すべき!
「何も書かない=空欄」=その裁判官は罷免しなくて良い
A裁判官をクビにしたい。
有効投票が5000万票だったら、A裁判官を罷免するためには✖と書いたのが2500万票を超えないといけません。
「よくわからないよー」って空欄で投票用紙を出す人はたくさんいます。
その空欄の票を抑えて✖が2500万票を超えないとA裁判官をクビにできません。
(有権者は約1億人。投票率はたいてい50%台→投票総数はおおざっぱに5000万票と仮定)
国民がA裁判官をクビにするのはかなりハードルが高いです。
でもね。
この「国民審査 ✖だけ記入方式」を最高裁判所が合憲だと言っています。
すごいですね。
身内にすごーく甘いw
・最高裁が「国民審査 ✖だけ記入方式」を合憲だとする理由(難しいので読み飛ばしてもOK)
最高裁判例の前に憲法の条文を見ておきましょう。
#公民がすき をつけてます。
だから大学受験生の方も読んでいらっしゃるかもしれません。
政治経済で大学受験をする方は憲法の条文は読んでおきましょう。
政治経済の参考書、巻末に日本国憲法の全条文が載っています。
ここに2冊の参考書があります。
「蔭山の共通テスト政治経済」「蔭山克秀の政治・経済が面白いほどわかる本」
2冊ともちゃんと巻末に日本国憲法のすべての条文が掲載されています。
ここから「国民審査 ✖だけ記入方式」はなぜ合憲なのか?について書いていきます。
かなりマニアックな話です。
#公民がすき (大学受験の政治経済)の範囲を超えています。
興味がなければここは飛ばして構いません。
次の「国民審査制度の話をしよう(#公民がすき/政治経済)」まで読み飛ばしてもOK。
興味があればここも読んでください。
一生懸命書きましたので。
長尾一紘「日本国憲法 第3版」というクソ分厚い本を参考にしました。
(こんなクソ分厚い本を皆さんは読む必要はありません)
クソまじめな本なので、本の内容をそのまま書くと意味不明です。
私が超絶にかみ砕いて書きます。
「おおまかにこんな感じ」だと理解してください。
「国民審査 ✖だけ記入方式」は合憲~最高裁判所の言い分
👇
①国民審査は解職(リコール)の制度である
②「積極的に罷免してほしいと投票する人」と「そうではない人」の2つに分かれる
③「積極的に罷免してほしいと投票する人」が「そうではない人」より多いのかどうかを知るための制度
④罷免する方がいいか分からない人は「積極的に罷免してほしい人」ではないから「そうではない人」に入るのは正しい
国民審査は解職(リコール)の制度、解職したいのなら「積極的に罷免に罷免してほしいと投票する人」で過半数を取りなさい。
これが最高裁判所の理屈のようです。
よく分からない人はA裁判官を積極的に罷免したいと思ってない。
A裁判官を積極的に罷免したいと思ってない人はまとめて空欄にぶち込んで良い。
だからこの分け方(vsの分け方)で良い。
A裁判官をクビにしたかったら、この分け方において「積極的に罷免してほしいと投票する人=✖と記入する人」が過半数を取りなさい。
以上が最高裁判所のお考えです。
なるほどー、さすがは最高裁判所。
法理論も完ぺきで納得できる説明だ。
って・・・思うでしょうか。
最高裁判所の裁判官たちってすっげー自分たちに甘い。
法律の世界と関係ない大多数の一般人はそう思うでしょう。
皆さんはどうでしょうか?
少なくとも私は「最高裁は何を言ってるんだよ!」と思います。
ちなみに私は中央大学法学部法律学科卒業です。
・国民審査制度の話をしよう(#公民がすき/政治経済)
マニアックな最高裁判例の話は終わりにします。
#公民がすき をつけています。
だから社会科の政治経済っぽい話をしていきます。
「大学受験なんて関係ない!」という大人の皆さんにも読んでほしいです。
お子さんに「国民審査ってなに?」と聞かれた時、答えられるように。
え?子供はいないって?
はい、私も子供はいません。
私は45才無職ぼっちおじさんですから。
お子さんがいなくても「一般教養として読んで頂ければ」と思います。
国民審査が行われるのは衆議院選挙の時だけ。
参議院選挙では行われません。
国民が誰を審査するのか?
最高裁判所の裁判官です。
高等裁判所や地方裁判所の裁判官は審査されません。
だって人数が多すぎて審査できないですよね。
では衆議院選挙の時、国民審査は最高裁判所の裁判官全員に対して行われるのでしょうか?
いいえ、一部だけです。
ではどの最高裁判所裁判官が国民審査の対象になるの?
先ほど憲法の条文を載せました。
別の箇所を太字にしてもう1度載せます。
Aさんが最高裁判所の裁判官になりました。
その後、初めて衆議院選挙が行われます。
この時、A裁判官は国民審査を受けます。
国民審査を受けてから3年後に衆議院選挙がありました。
A裁判官はまだ国民審査を受けません。
10年経ってませんからね。
A裁判官、初めての衆議院選挙(=国民審査を受けた)から10年経ってまだ最高裁の裁判官だった。
そして衆議院選挙が行われた。
A裁判官はやっとここで国民審査を受けることになります。
総務省のサイトでも説明しています。
総務省が難しく書いた説明は以下の通り。
でもね、、、
最高裁判所の裁判官が2回目の国民審査を受けることはほとんどありません。
なぜか?
最高裁判所の裁判官も日本社会の縮図です。
任命される時にもう高齢なんです、みんな。
Wikipediaには最高裁判所裁判官の項目があります。
現在の最高裁判所の裁判官15人がいつ任命され、いつ退官予定か載っています。
15人全員が10年未満で退官していきます。
短いと5年未満の裁判官もいます。
10年経たないで定年が来ちゃうんです。
法律上は40才以上であれば最高裁判所の裁判官に任命することができます。
だから規定上は45才の私が任命されても良い。
でも実際は45才で任命されることがありません。
私が最高裁判所の裁判官にふさわしかったとしても任命されない。
日本が大好きな年功序列です。
今までの話を踏まえてかなり意地悪なクイズを出しましょう。
(今回はクイズが多くてすいません)
問4:以下の文章は正しいか?間違っているか?
最高裁判所の裁判官は定年までに死亡・退官しなければ必ず国民審査を受けることになる
どうでしょうか?
大学入試の正誤問題。
5つくらいある選択肢の1つとしてありそうな文章です。
正解は・・・・・。
こんな細かい選択肢が試験で出題されたらかなりイヤらしいと思います。
というか根性が悪い。
高校入試
大学入試(浪人したので2回)
行政書士試験
公務員試験
社会保険労務士試験
これらの試験を受験してきた私から見ても、もしこんな問題が試験問題で出てきたら「ひどいなぁー」って思います。
じゃあなんでこんな問題を出したのか?
有権者として考え欲しかったからです。
だってついに出ちゃったんですよ。
国民審査を1回も受けてないで定年退官した最高裁判所裁判官が。
3年半だけ裁判官をやって定年を迎えた最高裁の裁判官。
この3年半に衆議院選挙がなかったので、国民審査を1回も受けなかった。
2021年に退官。
最近の話です。
女性の裁判官でした。
法曹界ではちょっとざわついたらしいです。
「ついに国民審査を1回も受けないで定年退官する最高裁裁判官が出た」と。
高齢者差別はしませんが、定年まで3年半の人を最高裁判所の裁判官にするってどうなのでしょうか?
さすがに任期が短すぎだと思います。
逆にアメリカの最高裁判事は在任期間が長すぎ(終身=自分から辞めなければ死ぬまで)なのが問題になっています。
話がそれすぎるのでアメリカの最高裁について触れませんが。
政治とか行政に比べて司法ってあまり気にしません。
でも司法は完ぺきではありません。
司法だっていろいろな問題があります。
みなさんもちょっと司法のことを考えてほしいと思います。
・国民審査をまとめよう(#公民がすき/政治経済)
長々とnote記事を書いてきましたが・・・もし政治・経済科目で受験する方は必ずご自分でお調べください。
私は受験の専門家ではありません。
・今回のおすすめ~政治・経済の参考書(#公民がすき/政治経済)
今回のnote記事でも取り上げたのが「蔭山の共通テスト政治経済」「蔭山克秀の政治・経済が面白いほどわかる本」。
かなり読みやすいし、分かりやすいです。
政治・経済を勉強している大学受験生の方におススメめです。
社会科を勉強し直したい大人にもおススメです。
45才のおじさん(=私)が勉強のためにこの2冊を買ったくらいですから!
・今回のnote記事 箇条書きのまとめ
ChatGPTによる今回のまとめです。
<国民審査についてのまとめ>
衆議院選挙の時のみ実施される(参議院選挙では行われない)
審査対象は最高裁判所の裁判官のみ(高等裁判所や地方裁判所の裁判官は対象外)
任命された後に初めて行われる衆議院選挙、さらに10年ごとの衆議院選挙で審査を受ける
罷免された裁判官は今までに一人もいない
投票用紙に✖を記入した場合、その裁判官を罷免したいという意思を表す
何も記入しない場合は、罷免しないという意思を示す
記入可能な記号は✖のみ、それ以外(〇や△)は無効となる
国民審査はリコールの制度であり、罷免したい場合は✖を記入して過半数を取る必要がある
最高裁判所の裁判官は任命時に高齢であることが多く、2回目の審査を受けることはほとんどない
特に3年半で定年退官した裁判官は、国民審査を経ずに退官した例もある
note記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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現在、私は潰瘍性大腸炎という難病のため無職・無収入です。
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