コスモスのお花畑で風に吹かれたい

ありんごです。

お花畑に行って風に吹かれたい。そんな気分だ。お花といえばどちらかといえば春に咲くものだというイメージが私にはある。それなのに、なぜか秋の方がお花畑に行きたくなる。少し冷たくなり始めた風に吹かれながら眺めていたい、そんな気持ちになる。

小さい頃近所の原っぱに、コスモスが一面に咲いていたことがあった。可愛らしくて、でもどこか野生的で、わくわくしたものだった。植物は会話しているかもしれないという研究を見かけたことがあるけれど、あのコスモスたちは間違いなく会話しているんじゃないかと思った。それほどに生き生きとしていた。

あの時見たのはピンクや白のコスモスだった。その後、オレンジのコスモスも見かけることがあった。コスモスを見かける時、晴れている日もあれば、曇っている日も雨の日もあった。日中のこともあれば、夕暮れのこともあった。でもそれはいつも、秋だった。

秋は暑かった夏が過ぎ去ったことをほっとさせてくれる。一方であの夏を失ったことを気づかせてくれる。そして秋は、涼しい日々の訪れを喜ばせてくれる。一方であの凍える冬の予感も感じさせてくれる。

コスモスのお花畑は一度にたくさんの感情を体験させてくれる。それらを抱きしめて、私は大好きな夏に別れを告げる。そして、冬を迎える覚悟をする。四季は恐ろしくも愛おしい。コスモスは女々しくも雄々しい。私は強がっても弱い。でも、そんな私も、絶対できないと思っていたことがあっさりできるようになる日だってある。

一つの物事に一つの側面しかないなんてことはありえない。光と闇。陰と陽。白と黒。ちらちらひらひら入れ替わって、私を色んな気持ちにさせる。

コスモスは儚いなと思う時がある。風が冷たくなり始めるからか、切ない気持ちになる。

コスモスは野性味に溢れているなと思う時がある。来るべき冬に備えて暖かみを感じられる自分でありたいと願う。

生きる。またコスモスの花畑で風に吹かれるその日がまた来るまで。歳を重ねる。また秋が来るねと笑えるように。


ありんご



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