何でも食べる人にバームクーヘンをあげた話
ありんごです
以前、”良い意味で何でも食べる友人”に何をあげるか迷っている話を書いた
あの日悩んだ挙句、乗り換えに失敗して百貨店のある駅の改札外に出られず、友人の待つ駅に直行することになり、その時点で手土産ゼロという危ない事態に陥った
しかし起死回生、友人が部屋の掃除が終わらず遅れると言うので待ち合わせの駅で降りて周りを見回した
「なにも、ない、、、」
心でつぶやいたつもりが口に出していたらしい。すれ違った女性がちらりと私を見た
いや、なにもないって本当に荒野の中にあるとかそういうことではないんだけどね
そう、その駅は百貨店がなく、手土産感のあるものを獲得するのは厳しそうだった
酷暑に耐えきれず、私はカフェに入った
人間、なんだかんだ言って暑さ寒さの前には無力、自分を優先しちゃうよねなんて言いながら、ちゃっかりホットココアを注文する
ココアへの愛、そして涼しい中熱い飲み物を飲むことへの愛については別で語りたい
店員さんに笑顔で注文し終えそうになった時、気づいた
「お土産買ってない」
周りを見回すとショーケースの中、バームクーヘンがあるではないか
バームクーヘンは、お借りしたヘッダー画像のような美しい輪っか型ではなく、既にカットされて包装されているものだったが、それでも輝いて見えた
「バームクーヘンをください」
店員さんがお皿を持ってきて、包装された状態でお皿に置いてくれた
そうか、イートインだからそうなるよね
「あ、あとそのチョコレートブラウニーもください」
友人はチョコレートが好きだから
ブラウニーもそのお皿に載った
なんか、すごい甘党だと思われてそうだな
お皿にはバウムクーヘンとブラウニー(包装済み)、その横にホットココアだもの
笑顔で送り出された私は、ココアを飲み進めつつ、「ちょっと一個くらい食べちゃいたいな?」という邪心を早々に抑えてバウムクーヘンとブラウニーをバッグに仕舞い込んだ
手土産といっても、お祝い事があったわけではなく、お部屋に遊びに行かせてもらうので、驚かせたかったのだ
思いの外カジュアルな手土産となったが、友人は喜んでくれた
言わなくても良いことなのかもしれないけれど、事の顛末も全て話した
友人と私はけらけら笑った
幸せな休日だった
次はヘッダーのようなバームクーヘンをもっと落ち着いて、いただこうと思う
ありんご