熱海旅行に 6
降りたって、まず眼に飛び込んできたのは、日本庭園風なお庭と、その後ろに広がる青い海、そして青い空。
10月お昼の太陽がさんさんと庭園と海を照らす。
道路から庭園に降りて歩いてみると、すぐにニューアカオ創業者赤尾蔵之助像があった。
旅の初めってなんだかなんでも写真に撮りたくなっちゃうので、iphoneでぱしゃりと撮った。それにつられて杉くんもぱしゃりと撮っていた。
像の下には、こんな言葉が書かれていた。
人の通りにくい道を進む
森の中で道が二つに分れていた。
そこで私はあまり人の通らない方の道を進んだ。するとそこには全く別の世界があった。
ほう…。
なんだか旅の高揚であんまり言葉の意味が入ってこない。
道なりに進むと、カフェがあった。この秋できたとるるぶにも書いてあったし、フロントでもらったチラシにも書いてあった。
角材を重ねた柱と、ガラス張りの壁が印象的で不思議な建物。著名な建築家が設計したんだそうだ。
座ってて、と言われてガラス張りのテーブルの、カウンター席に座った。壁はガラスで出来ていて、海が一望できる。
「ホットかアイスか聞かなかったから…」
隣に来た杉くんのお盆を見ると、ホットコーヒーとアイスコーヒーがひとつずつ。それからフロマージュが一つ。
杉くんはアイスコーヒーが好きだもんなあと思って、
「ありがとう。」
とホットコーヒーを受け取った。
「フロマージュも買ったんだね。」
「うん。気になっちゃって。」
フロマージュを半分もらった。レモンの風味、酸味と甘さ。お店の雰囲気とあっている味だった。
ガラスの外では、海をバックに自分のスマホでお母さんに写真を撮ってもらっているハタチぐらいの女の子もいれば、愛犬を木に繋いで海をバックに写真に撮っている人もいた。
写真を撮られている犬たちは、写真という概念を完璧に理解しているようにしかおもえない、とても人間的なポージングだった。