熱海旅行に 7
カフェを出て、坂をくだって次はイングリッシュローズガーデンへ。名前を知らない小さな紫色の花や、様々な色の薔薇。でも一番印象的なのは庭園一杯に生い茂る緑だったかもしれない。
眼に映る何でもをとにかくぱしゃぱしゃと写真に収めた。
私のiPhoneより杉くんの新しいデジカメは何倍も画質がよくて、花も緑も綺麗だった。
私より後ろを歩く杉くんが立ち止まった気配があって振り返ると、カメラのシャッターを切られた。
不意打ちに笑うと、笑っているところをまた撮られた。
撮った写真を見せてもらうと心底楽しそうだった。私ってこんな風に笑うのか…。
花が全然咲いてなかったり、全然剪定されていない区域もあったりしたのに、庭園を二人でただ下って行くのは楽しかった。
道に小さく小さく「順路」と書いてあるのに気付いた。小さすぎて誰も気づいていない。
その「順路」の表示に従って下ると、斜面沿いに作られた細い通路に出た。そこを下っていき、少し広いところに出た。
看板には『夜の女王の庭』と書かれていた。
「なんだろうね、夜の女王の庭って。」と杉くんを振り返ると
「さあ…。」
と言いながら、杉くんはその看板の横に咲いている、大輪のとげとげした白い花を撮った。中央に近い花弁の縁が赤く色づいている。
庭園の終わりに近づくと、木製のおもちゃで遊べるコーナーがあった。
人が管理している様子もなくさびれていたが、ビー玉ゲームコーナーでちょっとだけ遊び、石鹸づくりなどが出来る体験ブースを横目に順路を下り、庭園を出た。
入口にあるカフェも気になったけれど、まだ微妙にお腹もすいていなかったので通り過ぎた。
香りのいいものや、薔薇にまつわるグッズが多く扱われているお土産屋さんで一通りの商品を眺めた後、ホテル行きのバスに乗り込んだ。