2023年制作同人誌記録①(特殊紙・箔多め)
数年ぶりに二次創作に復帰して色々同人誌を作成したので、一部を記録として残しておきます。
特殊紙+箔や、あまり作例を見なかった箔についての覚書です。
木下龍也のオールアラウンドユー(布張り+箔押+角丸)を読んでこういう装丁の本がやりたい……! に取りつかれた年だったので、手触りや箔押しのことばかり考えていました。
「B6なら一段組に挑戦」というのが個人テーマだった(いつもはB6/二段組)ので、組版はかなり本ごとにブレブレ。
ちなみに基本的に「少部数」「早割・フェアは可能な限り最大限利用」
「そもそも安い印刷所から選ぶ」でやっています。
なので大体の本はイベントの一か月前あたりに入稿。
素材・フォントはBoothやDesign Cuts(のセール)で購入することが多いです。
1.ミニッツGA+RGB再現+ジャングルセレクト(透明)箔押し
ミニッツGAに箔押しすると紙の布地が箔に反映されて可愛い、という記事を昔みたので実践。
PPをするかしないか悩んだのですが、手触りが好きなのでこの本はなし。
結果的には「マットPPをした方がよかったかも」と思っています。
ミニッツGAは手触りが好きな紙なので選択。
ジャングルセレクト(透明)を選択した理由:
この本は短編集なんですが、そのうちの1編に「シャボン玉の中に思い出が見える」という話があり、箔押しをシャボン玉っぽくしたかった。
2.マットPP+マグマセレクト(透明)箔押し
二次創作元の作品が「炎」「中世」がテーマのため、陽炎+レトロ(クラシック)かつ主人公の家名に薔薇が入っているので薔薇をいれた本が作りたい! と思って作った本。
マグマセレクト(透明)は恐ろしく輝きが控えめで、特に屋内照明下では角度によって箔押しをしているのかしていないのかわからない…ぐらいだったので、思いっきり広範囲で使った方がいい&恐らく色の上に乗せない方が目立つ。
控えめな輝きが好きな方にオススメ。
3.OKミューズパール+フルカラー口絵
さざ波のような模様の入った紙です。
おたクラブさんの無線綴じ印刷の特急印刷(2023年12月現在は繁忙期のため受注停止中)で利用。
特急印刷にしかない紙がかなりあるんですが、通常の印刷プランよりかなり色が沈むので、調整がやや必要かと思います。
4.マットPP+アバロンセレクト箔押し
螺鈿のような輝きを持った箔です(写真にほぼほぼ本来の輝きが映らないのであまり参考にならないかもしれません)。
箔自体に模様が強く存在するため、1冊1冊微妙に見え方が違います。
この箔は題字に使用するより、ある程度の範囲にベタッと押した方が綺麗に模様が出て映えると思います。
2冊目の本(マグマセレクト箔押しの本)が短編集その1なんですが、この本は短編集その2なので「レトロ(クラシック)」、1冊目が「赤」だったので「青」、作品に「月」の要素が強くあるため「月」がデザインコンセプトでした。
5.銀箔紙+白抑え+クリアPP+角丸
おたクラブさんのオリジナル用紙で、メタルシルバー系の紙に白抑えが標準でついています。
文庫で作成しましたが銀箔紙はかなり硬いので、正直文庫ではめくりづらく、B6以上の本での使用をおすすめします(本文用紙をなぜか90kgにしてしまったのも恐らく要因)。
また、クリアPPにしましたが、マットPPでもメタル感は意外と薄れないので、この紙はマットPPの方がいい気がします。
白抑えデータ作るのが初めて(&多色刷りの版作りも苦手)だったのでイマイチ感覚が分からず、版ずれがあまり考慮できていません。
表4はかなりずれていたので写真が載せられないのですが、細すぎる版は普通に避けた方が無難。
遊び紙印刷や口絵をいれる代わりに3p目を装飾してみる
カラー口絵や遊び紙をいれる予算はない(あるいはコンセプトにあわない)けど装飾をいれたい場合、3p目(や最終p)に絵やテクスチャ等を入れるのも可愛いのでおすすめです。
4p目はノンブルのみの白紙。なにか文字を入れても良いのですが、印刷所によっては全面ベタ塗りだと裏映りする可能性があるので、印刷所に相談したほうがいいかもです。
おまけ:しおり
久々に作成したのでサイズ感を間違えて文庫よりちょっと大きかった…。
おたクラブでしおりを作る際は「名刺サイズ」にするか、新書(B6)以上の本で利用したほうがいいと思います。
6.エンボス・サンバ【シルク】+角丸+色付き本文用紙
Hope21さんのオリジナル用紙<エンボス・サンバ【シルク】>+角丸の本です。
とにかく「布っぽい」と「角丸」に取りつかれている。
※エンボス・サンバ シルクは「エンボス布目」とほぼ同じ質感です。厚みは135kgより厚い気がします。
明るい夏・いちゃいちゃほのぼの・海に行く な本なので黄色+水色を基調。
素材はやまなし様
夏の本なので本文用紙を青にしてみました。コミック紙はやわらかいので100p程度までの本なら特に問題なく利用できると思います(100p以上はややめくりづらくなります)。
7.ミニッツGA+マットPP+サンセットオレンジ箔押し
ミニッツGAに箔押しの本をもう一度やりたかったのでリベンジ。
・色付き箔押しはエンボス感が分かりやすいらしい
・マットPPをミニッツGAに貼ったことがないで試したい
本記事の冒頭で記載した通り木下龍也のオールアラウンドユー(布張り+箔押+角丸)みたいな本が作りたい……に囚われ続けた一年だったので、安価にそれを再現する手はないかと模索していました。
ミニッツGAにPPが貼れて箔押しもできる印刷所が意外と少ないので色々検討した結果、予算的にHope21さんを利用しています。
紺~藍色あたりで小口染めをしたほうがいいんじゃないか…とかなり長く悩んだ本なんですが、さすがに本の印象が暗くなりすぎるぎかな……と思ってやめてしまったで、小口染めをそのうちリベンジしたい。
リマインド:以下覚書にはデザインコンセプトを説明するために、FF16のエンディングムービー冒頭についての言及が【若干】あります。はっきりとした言及はありませんが、予めご留意ください。
この本は「ED後if」で「いろいろ揉めたけどハッピーエンド」という話で、デザインコンセプトは「EDで落ちた星空の下の浜辺」/「揉めてる時のバチバチ感」/「夜から朝に向かう」/「石化」/「後悔・葛藤・迷いのネガティブ感情」/「光・輝き(幸福感)」/「疑似心中」あたりをまとめてみました。
ハッピーエンド本なんですが、だいぶギスギスしたり想いがすれ違っているパートが長いので、ぱっと見は少し暗い印象にしています。
表紙画像はInky Design様の素材を加工。
サンセットオレンジ箔はhope21さんの「のせのせキャンペーン」を利用しています。
このキャンペーンは締め切りが5日早まる代わりに箔押し(10cm×10cmまたは15cm×5cm)が無料というおかしいキャンペーンなんですが、のせのせキャンペーンは締め切りを何日か前倒しにするだけで、他の加工も無料で組み合わせることが可能なので、早めに入稿できる場合はかなりお得に特殊加工ができます。
(角丸無料やカラー口絵無料等いろいろ。セットやフェアによって利用できるものが違います)
参考:Hope21の秋キャンペーン
そして肝心のミニッツGA+マットPP+箔押しですが、エンボス感が箔の表面に出て非常にかわいい! 大満足です。
サンセットオレンジは「オレンジ」というより「コッパー(銅色)」っぽさが強いです。
キラキラ太陽っぽく輝くので名前の通りだなと思いました。
金はちょっと違うんだよな…と思っていたので選んでよかった…!
Hope21さんの箔押しは範囲が広い(10cm×10cmまたは15cm×5cm)ので、背表紙にも押せるんでは? と思い、背にも箔押しを入れてみました。
以上、ご参考になれば幸いです。
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