職場に音楽は流れる。しかしそれは聞き流されなくてはならない。
「音楽は、よくわからない」
正直、音楽についてはその良し悪しや好き嫌いを通り越して、あまり執着がない。
モノを作るのが好きな人なので、明確に形が見えないものにはあまり興味が惹かれなかったり、小学生の頃にリコーダーの演奏が本当に嫌いだったのが遠因だと思っている。
同じ手を動かす作業でも、譜面に従うのに比べ、お題を好きに解釈して木を彫り粘土を捏ね筆を走らせるほうが楽魅力的だったのだろう。
なお合唱などは普通に好きだったが、楽譜や記号類はリコーダー嫌いの延長で全く理解するつもりがなかった。
なので職場でBGMとして音楽が流れていても、特に気にすることがない。さすがに急に爆音流されたりするのは勘弁してほしいが。
BGMはあくまでBGMで、その場が無音であるより都合がいいから流すのであって、流れてること自体に意味がある程度の認識だ。
BGMの近似値として、随分昔は作業中にラジオをつけていた。
数年前にスマホのアプリで在来局の番組を聞いてみたが、いつの間にか通販に侵食され、番組の半分が通販の紹介になっていた。
番組中のトークや今どきの曲を右から左に聞き流すどころか、紹介していた通販商品は全く覚えていないが、やたら押しの強い通販トークが延々残ってしまい、ラジオはもうBGMにはならないのかーと、それ以来通販紹介が少ないFMしか聞かなくなった。
似て非なるものが仕事中の雑談で、特に絡みもないし自分と関係のほぼない話を聞き流すしていると、急に話を振ってきた相手に変な顔をされる。
「なんで?」と不思議そうな顔をするな。
寧ろ今の流れでこちらに話を振る貴方に「どうして?」と顔を向ける事が自然なのを何故理解できないのか?ただしこれらが特段悪いというわけではない。仕事をする際に聞くBGMとして私が「勘弁してほしい」と言うだけの話だ。
テレワーク以前は、職場で先輩S氏が「作業効率が上がる系」の曲を自分のPCから流していたので、それを聞きながらの作業だった。どこかで聞いたけど曲名は知らない(と思う)曲を毎日リピートしていたのだが、特に飽きることもなく聞いていた。
なんなら無音でもいいのだが、それだとふと耳に入る周囲の生活音が際立つので、それを中和するには丁度良いという認識だ。
テレワーク後はjazzを延々流すスマホアプリでとスピーカーをつないで、それを聞きながらの作業。こちらはほぼ初見で一見さんの曲が延々流れている。海外のアプリなので時々英語のCMらしきものが入るが、内容が聞き取れなければ「単なる音」なのでラジオの通販トークの様な違和感は感じない。
最近だと朝食後に近所の海岸まで散歩しているので、その際の波の打ち寄せる音や海面を走る音もいいかなと思う。
スマホのみで音を録音してみたいと思うが、多分マイク性能のおかげで別物になること請け合いなのだが、それもまた面白そうだ。
本日もBGMはjazzが聞こえている。
次々と誰かの曲かも判らないままに延々と流れていくのだが、ただ心地よく聞こえればそれでいい。