ロックバンド「ACIDMAN」大紹介スペシャル
はじめに
皆さんはロックバンド「ACIDMAN」を知っているでしょうか。私が最も好きなアーティストです。もう暇さえあればずーっと聴いているくらいに好きなわけですが、私の周りの人間はどうやら同じように「ACIDMAN」を聴いていないようなのです。
そこで今回は、「ACIDMAN」の紹介文を書き、皆さんが聴いてみようかな、となることを目指したいと思います。嘘です、オタクなので好きなものの話を無限にしていたいだけです。noteって便利。
というわけで始めます。
ACIDMANってどんなバンド
ACIDMANは簡単に言うと、世界、命、星、光について延々と歌っている三人組のロックバンドです。本当にほぼこれしか歌っていません。ラブソングはトリビュートとかカバーとかで歌うくらいです。
これだけだと「ちょっと難しそうだな」と思われるかもしれませんが、ご安心ください。言い方は変われども言っていることはほぼ一貫している(と思われる)ため、段々とわかってくる面白さがあります。そうでなくても歌詞の解釈は人それぞれ自由ですし、ロックバンドとしてのサウンドの格好良さもあるため、楽しみ方は様々です。何なら毎回アルバムに二曲以上はインストゥルメンタル(歌詞がない曲)があるので、世界観を感じることが大事みたいです。
メンバー紹介
Wikipediaを見ればだいたい書いてあるのでサラッと紹介します。
大木伸夫(おおきのぶお)
ギターボーカル。ほぼすべての曲を作曲し、すべての曲の歌詞を書いている。どこからどう見てもバンドの中心人物。顔が良い。ハットを被っているのが特徴で、あまりにもハットを取らないから周りからネタにされがちです。ふさふさらしい。飲み会でずっと宇宙の話をしていて周りからは聞き流されているらしいですが、ファンの大体は彼の宇宙の話を聞きにライブに行っていると思います。
佐藤雅俊(さとうまさとし)
ベース。サトマというあだ名で呼ばれることが多いです。キャップを被っています。MCではほぼ喋りませんが、喋るとカワイイタイプのおじさんです。笑顔もキュート。ベースプレイはクール。バンドの構成的に彼が一番動きに自由がきくので派手に動いてはキャップを飛ばしています。
浦山一悟(うらやまいちご)
ドラム。ニット帽を被っているのが特徴でしたが最近はハット被っていることが多い気がします。ひげを仙人のように伸ばしています。彼の監修したラーメンがフェスで時折出ているのですが、とても美味しいので全国チェーンでお店を開いてほしいです。バンドマン兼ラーメン屋店長。
アルバム紹介
ACIDMANは25年以上活動しているバンドです。そのため、楽曲数も膨大です。そのため今回は、メジャーデビュー後にリリースされたアルバム12枚と、特にこれを聴いてほしいという曲を厳選して紹介しようと思います。また、初心者おすすめ度を独断と偏見で5段階評価してみます。
創
記念すべき1srアルバム。初期衝動が感じられます。時代を選ばない普遍性のある歌詞世界と、激しさと静けさを併せ持った楽曲群が魅力的です。今でもライブで演奏される曲がある不朽の名盤ですが、歌詞は比較的難解です。「遙か丘で花が笑う/月明かり背にうつむく様を/おぼろげ夢夜覚えているか?」など、レトリックに癖があります。そこが良いんですけどね。その辺も加味して初心者おすすめ度は4点です。
・特におすすめ「赤燈」
おそらくACIDMANで一番有名な曲であり、これだけは聴いたことあるという人もいるかもしれません。「ACIDMAN? ああ赤燈ね」ってロックファンは言う事でしょう。懐かしくも美しいどこかの街並みを想起させるような世界観が魅力的です。読み方は「せきとう」。
・特におすすめ「Your song」
ライブの最後はだいたいこの曲で飾ることが多いです。かなりメッセージ性が強く、歌詞が英語であるというだけで意味は非常にわかりやすい、生きることを肯定する曲です。ラストの「you are O.K」をライブでコールアンドレスポンスすると最高です。力と勇気を貰える曲。
Loop
二枚目のアルバムです。創に現れていたACIDMAN要素を更に濃くした感じです。創を醤油ラーメンとするとLoopは家系ラーメンです(?)。聴きやすい曲ももちろんありますが、全体的に抽象度が増しているため、まずこのアルバムから聴いてみましょう!とは言いにくいかもしれません。もちろん聴く順番は自由ですが、初心者おすすめ度は2点です。このアルバムにハマったら多分もう抜け出せないと思います。中毒性は高め。
・特におすすめ「アイソトープ」
これは身も蓋もない話ですが、全英語詞なので歌詞の意味がよくわからなくてもノレるんです。日本語だと頭に入ってきやすい歌詞も、英語だと音の一つになりやすいみたいなところはあります。もちろん歌詞に意味はあるのですが、何も考えずに聴けるというのはかなりの利点でしょう。気になったら調べてみてください。
・特におすすめ「リピート」
一方こちらはしっとりバラードなので、ACIDMANの世界観にどっぷり浸れます。激しい曲はあまり…って人も聴きやすい落ち着いた曲調で、優しい空気感のある曲なので、これは始めの一曲としてもおすすめできます。歌詞はかなり抽象的なので、世界観を感じるのが良いと思います。ハマってきたら色々考察してみても楽しそうです。
equal
三枚目のアルバムです。ファンは最高傑作として挙げることが多い気がします。ロックの名盤は三枚目に多いの法則。表題曲となった「イコール」で、ACIDMANはMステに初出演しました。この曲はわかりやすい方ですね。一つの到達点だと思うので、聴くならば創→Loop→equalと順番に聴いてほしいため初心者おすすめ度は3点です。でもディズニーコンピに入っていた「colors of the wind」も収録しているため、キャッチーな方かもしれません。
・特におすすめ「彩-SAI-前編・後編」
前編はインストゥルメンタル、後編は歌詞があります。前編とか後編とかが曲名に入っているのは珍しい気がします。聴いてみればその意味もわかります。前編はアニメーションMVもあるのでぜひ見てほしいのですが、芸術的です。ACIDMANが主催したロックフェスの名前も「SAI」なので、多分本人たちも気に入っているっぽい。
・特におすすめ「廻る、巡る、その核へ」
ぶっちゃけ初心者におすすめするような曲ではないと思いますが、これを避けて通るわけにはいかないので挙げています。前段階となる「cps」というインストゥルメンタルも含めて十分を超える長尺曲で、この曲こそACIDMANの芸術性の到達点の一つだと思います。こちらもアニメーションMVがあります。日本武道館でライブを行う際、MV含めアンコールのラストで披露されることが多いですが、生命の慟哭のようなギターが鳴り響くアウトロをぜひ聴いてほしいです。Youtubeで見られます。
このライブは東日本大震災が起こった半年後に行われたもので、ツアーの真っ最中だったものが延期されて行われました。生命について歌い続けてきた大木伸夫が、あの大きな震災の後のライブで披露したこの曲に込めたであろう魂の響きを感じ取ってほしいと思います。凄まじい。
and world
このアルバムもまた最高傑作と挙げられることが多いです。楽曲一つひとつの完成度もさることながら、アルバムとしての完成度も一級品です。一曲めの「introducrion」から表題曲でもある最後の「and world」まで通して聴いたときの感動は、このアルバムならではでしょう。個人的は「夏の余韻」が一番好きなのですが、多分変なチョイスです。いい曲ですよ。前の3つと比べるとわかりやすい(当社比)曲が多いため、初心者おすすめ度は4です。
・特におすすめ「ある証明」
あまりにもマスト。一番最初にこれを聴いても良いかもしれないくらいの曲です。ACIDMANのオールタイム・ベストを選ぶとなってもベスト3には入ってくると思います、多分。ファン過ぎて候補が多くなってしまい選べませんが。とにかく王道のロックチューンであり、イントロから心を鷲掴みにされます。アルバムに一曲あるかないかの超キラーチューンであるため、あえてこの曲だけ挙げます。
green chord
大木伸夫曰く、全体的に緑色の色調の曲が揃っているらしい、5番目のアルバムです。前四枚と比べるとあまり尖っていないアルバムなのですが、実はACIDMANというバンド、and worldレコーディング辺りまで大喧嘩していたらしく、解散寸前だったそうです。先輩バンド(東京スカパラダイスオーケストラ)に飲みに連れて行ってもらった際に、仲直りし、今なお続くバンドとなっています。このアルバムは仲直り後のアルバムであり、衝突寸前のエネルギーのようなものはないかもしれませんが、人に寄り添う優しさのようなものを感じるアルバムで、ここからACIDMANの楽曲は人の心の暖かさを帯びていっているように感じています。転換期のようなアルバムです。初心者おすすめ度は3点です。
・特におすすめ「green chord-introduction」
ACIDMANはLoop以外のアルバムはインストゥルメンタルで始める慣習ができています。個人的にその中で一番カッコいいのがこの曲だと思います。アルバムの雰囲気を決定づける一曲でもあると思うので、インストゥルメンタルもしっかり楽しんでいってほしいです。
・特におすすめ「toward」
アルバムとしてはあまり尖っていないと言いましたが、尖った曲がないとは言っていない、10分を超える超大作。陰鬱でシリアスな前半部分から、だんだん光が満ちていくような希望にあふれる後半部分の振れ幅が美しく、この曲に至るためにこのアルバムを聴く価値があるとさえ思えます。このアルバムの発売記念ツアーで初めて日本武道館に立つわけですが、そこでこの曲を生で聴けた人は本当に幸せだと思います。いいなぁ。
LIFE
6作目にしてついに直球のタイトルを付けたなというアルバムです。その名の通り、アルバムを通して生まれてから世界が終わり、死んで天に召されるまでを表現しているとのことです。こう書くと深くて難しそうに感じますが、個人的には一番キャッチーなアルバムであると思っています。何て言ったって皆さん、生きていますから、この世で一番身近なテーマです。というわけで初心者おすすめ度は5点です。あ、でもアルバムの始めと終わりがインストで括られているから、そこだけ癖があるかもしれません。それも含めてのACIDMANだと思っていますが。
・特におすすめ「ストロマトライト」
イントロがかっこよすぎるので聴いてほしいです。その疾走感で駆け抜けていく、キレキレの一曲。ちなみにストロマトライトっていうのははるか昔、初めて光合成を行い酸素を生み出したと言われている苔の一種なんですが、それを曲名にしてしまうバンドはACIDMANくらいな気がします。
・特におすすめ「FREE STAR」
私が一番最初に聴いたACIDMANの曲です。「赤燈」や「ある証明」に匹敵するキラーチューンであり、盛り上がりの確約されたポップかつダンサブルな一曲です。ちなみにACIDMANは独立して自分たちで事務所を経営しているのですが、その社名が「FREE STAR」です。それだけ自信のある一曲と言えるでしょう。
A beautiful greed
「美しい欲望」という意味の7枚目のアルバム。タイトルの割には聴きやすい曲が揃っているように思いますが、世界が終わるどころか、私達が死に絶えようとも「世界」は続いていくという残酷さも内包しており、シリアスな一面も持ち合わせています。そう考えると初心者おすすめ度は3点くらいに思います。
・特におすすめ「Under the rain」
MVの世界観が不思議ですが曲はカッコいいです。「Why did you say goodbye?」という、終わる世界に対してどうにもできない切なさと痛みが雨に流れていくような、切れ味のある曲だと思います。ACIDMANらしいロックだと思っています。
・特におすすめ「OVER」
ACIDMAN史上最も優しい曲の一つだと思います。ここまで希望に溢れた曲はなかなか歌われません。まあ世界は終わるんですけど。世界が終わって、また始まって、お互い全く別の生命になっていたとしてもまた会いましょうという曲で、生きることの残酷さ、平和とは何か、世界が終わるときに何を願うのかが、「A beautiful greed」というアルバムの最後に来るのがたまらなく美しく、愛おしいのです。
ALMA
私が初めて買ったACIDMANのアルバムなので多分贔屓目が入っている8作目。表題曲である「ALMA」を中心にまとまっているアルバムだと思います。「最後の国」という曲から始まるんですが、このクラップがちょっと癖があって楽しいです。初心者おすすめ度は5点です。なぜなら私が初心者のときに買って今もなお好きであるため。
・特におすすめ「ALMA」
ACIDMANで一番有名な曲は何かと聞かれたら「赤燈」と答えますが、一番の代表曲は何かと聞かれたら私はこの曲を答えます。ACIDMANの全てが詰まっている曲だと思っていて、とにかくこれを聴いてくれ! という思いです。
チリにALMAという望遠鏡があり、そこで撮られたMVです。ALMAはスペイン語で「心」「魂」「愛しい人」という意味もあるそうです。こんなにACIDMANに合う言葉存在するんだって感じ。国際天文学連合(IAU)主催・アジア太平洋地域の天文学に関する国際会議「APRIM2023」のテーマソングに決定したそうで、この会議でテーマソングが決定するのも初めてという、何だか天文学的にもすごい楽曲です。さもありなん。
・特におすすめ「ワンダーランド」
アルバムのラストを締めくくる曲が基本的に好きなため、ついおすすめしてしまうんですが、「ワンダーランド」は歌詞の世界観が好きすぎて挙げています。ラスサビが特に良い。「This wonderland exists in the dream/This wonderland is not a dream」という歌詞、美しすぎていつ聴いても感動してしまいます。
新世界
創以来の日本語タイトルになった9作目。私は感覚的にACIDMANのアルバムを4枚単位で一つのくくりとして考えていまして、新世界は第三部スタートって感じなんです。勝手なイメージですが、新世界は様々な新しいアプローチが入っているため、色々新感覚ではあると思います。アルバム2曲目は激しい曲スタートが定番だったのが、このアルバムからミドルテンポの曲スタートに変わったり、曲中に語りが入ったり。この新しさを感じてほしい気もするので、初心者おすすめ度は3点です。
・特におすすめ「新世界」
さすがに聴かねばという曲。サビの盛り上がりは尋常じゃないです。ACIDMANらしい疾走感あふれるロックチューンなんですが、サビはいい意味でACIDMANらしくない、新しい試みのある曲だと思っています。世界を切り拓いていく勇気を貰える曲。
・特におすすめ「アルケミスト」
シングル曲を2つ挙げて「おすすめ」と銘打つのはさすがに…と思いつつ挙げざるを得なかった曲です。小説家のパウロ・コエーリョという方が書いた「アルケミスト - 夢を旅した少年」をモチーフにした曲ということで、そちらもセットでぜひという曲です。小説を読む前に聴くのと読んだあとに聴くのとで印象が変わりそうですが、私は読んでから聴いた気がするのでわかりません。実体験求む。
有と無
アルバムタイトルがかっこよすぎて痺れる10作目。このアルバムは明確に「生と死」をテーマにしているとのことで、収録曲が発表されたときに「永遠の底」とか「最期の景色」とか書いてあったものだから、真っ向勝負を挑む覚悟を感じましたね。大木伸夫はずっと死ぬことが怖い、死が怖いと言っていて、それでも明確にテーマとして持ってきて、世界を描ききるために、10枚のアルバムが積み重なったんじゃないかと個人的には思っています。本人は毎回デビューアルバムのつもりで作ってると言ってましたが。ずっと世界の終わりを歌い続けてきたがゆえに、世界の死ではなく自分の死にどう向き合うのかという答えの一つである「最期の景色」は、この積み重ね、旅路に思いを馳せながら聴いてほしいと勝手に思っているため初心者おすすめ度は2点です。
・特におすすめ「EVERLIGHT」
初めて聴いたときイントロのアプローチがACIDMANらしくなさすぎて笑ってしまったのを今でも覚えていますが、それはそれでカッコいいのです。このとき大木伸夫が捉えている「光とは何か」をまっすぐ歌っているので、限りなくACIDMANの本質に近い曲だと思っています。
・特におすすめ「最期の景色」
書きたいので書いちゃいますが、本当に大好きな曲の一つです。自分の葬式で流したい。「『いつかまた会えるよね また会えるよね』手を振る君が遠くに消えて/そんな景色の最期がいいな/だからそう笑って最期は笑って/最期の声で愛を語るよ/想像超えるあの世界で待つよ」というフレーズが、死を悲しい別れではなく「またね」「待ってるよ」と言って、新しい世界へ旅立つものだと受け止めたんだと思うと、生まれて、死んで、世界は廻るというだけではない、別の救いが見えてきます。死に対する境地の一つだと思っています。ここに至るための旅路だったんだなという感覚です。わかってくれますか。わかってくれる人を探しています。わかってほしい。
Λ
ラムダと読みます。ギリシャ文字で11番目を意味し、宇宙論では宇宙定数を示す文字がタイトルを関する11枚目のアルバム。個人的にはかなり好きなアルバムです。まあ全部そうですけども。バンド20周年を終えて新たなスタートをするための一枚ということで、昔懐かしい雰囲気の曲から今のACIDMANらしさを定義づける曲まで入っている名盤だと思います。やっぱり歴史を感じたほうが楽しめる気がするため初心者おすすめ度は3点。
・特におすすめ「水の夜に」
これは個人的に好きなだけで、ぶっちゃけキャッチーな曲ってわけでもないんですが、このアルバムで一番好きな曲を選ぶとなったら、頭を抱えた末にこれを選ぶと思います。元々シングルB面だったのが、アルバムバージョンにアレンジされて収録されているため、一曲で二度美味しい。そういえばB面ベストを作りたいと大木伸夫は言っていた気がします。楽しみにしています私は。
・特におすすめ「愛を両手に」
大木伸夫の祖母が亡くなったことをきっかけに作られた曲とのことです。死者に向けて「幸せだったかい」と、幸せに生きていられたか聞いてみたいという思い、自分であればその問いに「幸せだった」と答えたいという覚悟を感じる曲です。「神様がいなければよかったと思ってしまった」という、誰にでも平等に訪れる死に対するやるせなさが伝わる歌詞がどうしようもなく美しく思います。
INNOCENCE
ついにたどり着いた最新12枚めのアルバム。Λが宇宙的なアルバムであったから今回はかなり人間に寄り添ったらしいです。しかし本当に聴きやすい曲が多く、アルバムを通して聴く満足感もかなり高いので、アルバムが発売されてからしばらくはずっとループして聴いていました。今でもしてます。一番好きなアルバムかもしれません。最新作ということもあり初心者おすすめ度は5点です。
・特におすすめ「夜のために」
まっすぐと「生き抜く」ことを歌っている曲で、今までなら「ある証明」を演奏していたシーンでこの曲が演奏されていることがここ最近あるので、重要な曲になっていく気がします。そうでなくてもカッコいいので、アルバムツアーとか関係なしによく歌われる曲になったら嬉しい。シンプルで癖の少ない、王道のロックナンバーって感じです。
・特におすすめ「INNOCENCE」
アルバム表題曲挙げちゃいますけどカッコいいんだからしょうがない。サビのどこか物悲しいけど、生き続けていくことを歌う力強さが好きです。ACIDMANの現在地だと思っています。色んな場面で歌われる曲になってほしいんですが、曲の持つパワーとテーマ性が強すぎて、タイミングが難しそうな気がします。ことあるごとに演奏してほしい。
余談
ここまで書いておいて何ですが、ベスト盤がMVが作られている曲を中心にまとめたものと、ファン投票で選ばれた楽曲をまとめたものの二作、インストベストが一作あるので、初心者が最初に何聴くっていうとそれかもしれません。気に入った曲の入っているアルバムを聴きましょうというか。しかしながらACIDMANというバンドはアルバム単位で曲を聴いてこそだと思うのであえてこういう形で紹介しました。
あとセルフカバーアルバムが二枚出てます。そっちもおすすめだけどまずは原曲を聴くのが良いと思います。
以上、余談でした。
おわりに
ここまで読んでくださっている方が何人いるかわかりませんが、最後に私がACIDMANを好きなところを書いて終わろうと思います。
一つは、「正しさ」のようなものを感じるところです。危ない話ではありません。「to live」というACIDMANインディーズ時代の曲があって、それはアフリカをイメージして詞を書いたそうなんですが、「ALMA」でチリの望遠鏡をモチーフに曲を作ったあと、「人類はアフリカで始まり、大陸を移動していくにつれ、最終的にチリに至った(ボリビアだったかも)」みたいな話を知ったらしいんですよね。そういう、巡り合わせのようなものがACIDMAN周りには多くて、Λに収録されている「Λ‐CDM」という曲も、ACIDMANの略称ではなく「ラムダ・コールド・ダークマター」という意味の実際にある言葉らしく、宇宙好きの大木伸夫にピッタリの言葉がたまたまバンド名に似た形で存在していたりなんてこともあります。このバンド名は前ボーカルが付けたらしく、特に意味はないとのことなので、狙っていたわけではないみたいです。「運命」というか「正しさ」というか、生命のルーツとか世界とかについて自分を訪ねていくと、そういったものと繋がれることもあるのかもしれないというロマンを感じるバンドだと思います。
もう一つは、自分たちの主張に真摯であることです。大木伸夫は反戦、反原発論者であり、平和について歌っています。生命をテーマにする以上避けては通れない話です。ただ口にする、歌うだけならできる人はたくさんいると思うのですが、2011年以降毎年3月11日に福島でライブを行っているロックバンドは、そういないと思います。ただ自分たちが直面した大きな死と悲しみに対して、ロックバンドとしてできることは、音楽を届け、エネルギーを届けることだと、生きることを歌い続けることだという姿勢が一貫しているからこその行動だと思います。自分たちが主張することに向き合い、為すべきことを為す姿勢は憧れを抱きます。
そんなこんなで、ACIDMANを応援し続けていますし、これを読んだ多くの人に聴いてほしい、応援してほしいと思っているわけです。単純にカッコいいからぜひ聴いてください。あと大木伸夫さんの顔がカッコいいからぜひ見てください。生まれ変わったらあの顔になりたい。