証券アナリスト2次対策 コーポレート・ファイナンスと企業分析 用語集
6月5日(日)の証券アナリスト2次試験に向けて勉強をしています。
4月10日(日)に模試を受けたのでモチベーションが高い状態です。
今回は「コーポレート・ファイナンスと企業分析」の用語をまとめました。
記憶の定着を目的として自分向けに記事を作成しています。
良ければ参考にしてください。
機関設計
ガバナンスが強い順
①指名委員会等設置会社
②監査等委員会設置会社
③監査役設置会社
日本取締役協会の資料によると組織形態は以下のような推移になっています。最もガバナンスが強力な①指名委員会等設置会社はあまり変化せず、②監査等設置会社が増え、③監査役会設置会社が減っています。
①指名委員会等設置会社
指名委員会(役員指名)、監査委員会(職務執行監査)、報酬委員会(報酬決定)の3委員会で構成
各委員会の構成員は取締役3名以上で過半数が社外取締役
②監査等委員会設置会社
監査等委員である取締役により監査委員会が設置
取締役3名以上で過半数が社外取締役
③監査役設置会社
監査役が3名以上で半数以上は社外取締役
スチュワードシップ・コード
日本版スチュワードシップ・コードは2014年2月に公表されました。
試験で問われる可能性があるのは以下の3点。
①スチュワードシップ責任
機関投資家が出資先企業やその事業環境等に関する深い理解のほか運用戦略に応じたサステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)の考慮に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、顧客・受益者(最終受益者を含む。)の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任。
②プリンシプルベース・アプローチ(原則主義)
機関投資家が各々の置かれた状況に応じて自らのスチュワードシップ責任をその実質において適切に果たすべきとする考え方。
③コンプライ・オア・エクスプレイン(原則を遵守する、もしくは遵守できないなら説明する)
機関投資家が自らの個別事情に照らして実施することが適切でないと考える原則があれば、それを「実施しない理由」を十分に説明することにより、一部の原則を実施しないとする考え方。
コーポレートガバナンス・コード
①コーポレートガバナンス
会社が株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等(ステイクホルダー)の立場を踏まえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み。
②5つの基本原則
株主の権利・平等性の確保
株主以外のステイクホルダーとの適切な協働
適切な情報開示と透明性の確保
取締役会等の責務
株主との対話
2018年 午後 第9問で「適切な情報開示と透明性の確保」か「株主との対話」のどちらかを書かせる問題がありました。
エージェンシー・コスト
利益相違により発生する企業価値の低下幅。
①株主と経営者、②債権者と経営者の2つの関係がある。
①株主(プリンシパル)と経営者(エージェント)
A. 負債の利用(エージェンシー・コスト🔽 企業価値🔼)
・債務不履行や倒産回避のため経営者による無駄な投資や浪費が抑制される。
・(発行済株式総数が少なくなるため)経営者の持株比率が相対的に高くなり、株主と経営者の利害が一致するようになる。
B. 増配(エージェンシー・コスト🔽 株価🔼)
経営者による無駄な投資や浪費が抑制される。
C. 自社株買い(エージェンシー・コスト🔽 株価🔼)
経営者による無駄な投資や浪費が抑制される。
②債権者(プリンシパル)と経営者(エージェント)
A. 負債の利用(エージェンシー・コスト🔼 企業価値🔽)
業績悪化の場合、高リスクの事業投資を行い、債権者よりも株主の利益を追求する。
B. 増配(エージェンシー・コスト🔼 株価🔽)
株主にのみ還元される。
C. 自社株買い(エージェンシー・コスト🔼 株価🔽)
株主にのみ還元される。
エージェンシー・コストを低下させる方策
・経営者の持株比率を高めることによって株主と経営者の利益を一致させる。
・負債比率を高めれば、経営者が債務不履行や倒産を恐れて、より注意深い経営を行うようになる。
・経営者の報酬のうち業績に連動する割合を増やす。
・ストックオプションを導入して、経営者の報酬を株価に連動させる。
・株主の声を企業経営に反映させるために社外取締役を置く。
ペッキング・オーダー
資金調達を内部資金、負債、増資の順番で行うこと。
経営者と外部投資家の情報の非対称性により妥当な価格での増資による資金調達が困難であるため、配当を抑制し内部留保により財務上の余裕を確保する。
純資産の部
・株主資本
・その他の包括利益累計額
・新株予約権
・非支配株主持分
2020年 午後 第8問では「その他の包括利益累計額」と「非支配株主持分」が問われました。
その他の包括利益累計額
・その他有価証券評価差額金
・繰延ヘッジ損益
・土地再評価差額金
・為替換算調整勘定
・退職給付に係る調整累計額
2019年 午後 第8問ではその他の包括利益累計額に含まれる内訳項目を3つ書かせる問題がありました。
配当の影響
株価にプラスになる理由
・将来の業績についての経営者の自信のシグナルと受け取られる。
・配当を行うと、経営者が裁量的に使える現金が減り、資金の無駄遣いが減る。
株価にマイナスになる理由
・配当を行うと、有効な投資機会の減少と受け取られる。
・安定的な事業投資を行うための財務上の余裕が減る。
負債の節税効果
負債の利用により利子が損金算入され税金が低く抑えられ、投資家への配分が多くなる効果。
用語の記述についてはこれくらい対策すれば十分だと思います。
「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」の用語集もありますので、
良かったら参考にしてください。
「市場と経済の分析」も書きました。