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Affirm $AFRM 銘柄紹介

1. 会社概要

Affrimは後払いサービスを提供するFintech企業です。
ショッピングサイトなどでAffirmを通じて決済することによって分割で支払いができます。
このような後払いサービスはBuy Now Pay Later(BNPL)と呼ばれ、主に若年層に普及し始めています。

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創業者はMax Levchin(マックス・レヴチン)です。
Max Levchinは1975年にウクライナで生まれ、1991年にアメリカに移住しました。
1998年にPeter Thiel(ピーター・ティール)らとPayPalを共同設立しCTO(Cheif Technology Officer:最高技術責任者)を務めました。
その後、2012年にAffirmを設立しCEOを務めています。

2. 米国クレジットカード事情

①リボ払いが主流
日本ではクレカ決済時に一括か分割払いか聞かれますが、米国では基本的にリボ払いのみです。
金利は日本と同様に非常に高く20%を超えることも。
銀行は貸し倒れリスクのために高金利にせざるを得ないという認識のようです。

②請求額は自分で振り込む
請求額から好きな金額を自分で振り込む必要があります。
振り込みを忘れると金利負担が大きくなりクレジットスコアが下がります。
このクレジットスコアを戻すことは非常に大変で、Max Levchinも若い頃に振込忘れてしまい、クレジットスコアを元に戻すまで苦労したそうです。
その時の経験からBNPLのビジネスを思いついたそうです。

③クレジットスコア(FICOスコア)が重要
約40年前に開発されたクレジットスコアを未だに使っているため、適切な与信ができているとは言い難いです。
例えば移民はクレジットヒストリーがないため、クレジットカードの作成すらできません。
また、支払い能力に問題がなくてもスコアが低いために、多額の頭金が要求されたり高い金利が設定されたりすることもあります。

以上のようにコンシューマーにできるだけ多くの借金をさせて高い金利を搾取しようとする仕組みが米国民を苦しめています。
そこで、クレジットカードを作れない人や必要以上の金利を負担している人のための支払いシステムとしてBNPLが注目されています。

3. BNPL

クレジットカードとBNPLの根本的な違いは支払いスケジュールの透明性と明確性です。
BNPLは購入前にいついくら支払うのか明示され、ユーザーとの合意を得てから購入となります。

BNPLの仕組みやクレジットカードとの比較は日本総研のレポートが分かりやすかったので引用します。
https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/researchfocus/pdf/12531.pdf

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BNPL専業会社としてはスウェーデンのKlarna(非上場、ソフトバンクGの出資先)、オーストラリアのAfterpay(Squareにより買収)があります。
BNPLを提供している会社としてはPayPal、Square、Master Cardなどビッグネームが並びます。

4. Affrim

①徹底した顧客第一主義
Affirmは支払い時に金利や支払い総額を明示し、それ以上の料金を取らないシステムになっています。
仮に支払いが遅延したとしても延滞料金を徴収しません。

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ミッション:生活を向上させる誠実な金融商品の構築
Affrimの決算資料の冒頭に必ずこのスライドが登場します。
「Affrim」という単語は日本語で「断言する」という意味です。

②Affirm導入メリット
BNPLはコンシューマーだけではなくマーチャント側にもメリットがあります。

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Affirmを導入することによってAOV(Average Order Value:平均注文金額)が+85%、リピート購入率が+20%とマーチャントにとってもメリットがあります。
620万以上の店舗て利用されており、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)が高いコンシューマーを獲得できるとあります。

5. 上場後のイベント

1/13 IPO
公募価格49ドル 初値90.90ドル(+85.5%) 終値(+98.4%)

2/11 Q2FY21決算発表
◯ 売上:204 M(+57%) vs 189 M
◯ EPS:-0.45 vs -0.98
2/12終値は125.89ドル(-10.1%)

5/10 Q3FY21決算発表
◯ 売上:231 M(+67%) vs 198 M
✕ EPS:-1.06 vs -0.29
IPO関連のストックオプション費用などの特殊要因によってEPSが未達になったようです。
5/11終値は55.45ドル(-2.7%)

8/28 Amazonと提携
マーケットから正当な評価を受けていない印象でしたが、Amazonとの提携によって一気に注目度が増しました。
8/28アフターマーケットから大幅高となり8/29終値は99.59ドル(+46.7%)

9/9 Q4FY21決算発表
◯ 売上:262 M(+71%) vs 226 M
✕ EPS:-0.48 vs -0.29
引き続きストックオプション費用などでEPSが未達になったようです。
9/10終値は123.7ドル(+34.4%)

9/23 Walmartと提携強化
Walmartとは提携済みでしたが、WalmartのLayawayと呼ばれる取り置き分割払いシステムを廃止し、Affirmの分割払いの導入を発表。
9/23終値は126.89ドル(+11.24%)

9/28 Investor Day
BNPL対応デビットカード、暗号資産の取引機能、マーチャント向け融資などを発表。
BNPL以外の金融サービスにも積極的に取り組んでいくと思われます。
今後はMax Levchinが立ち上げたPayPalと競合することになりそうです。
同日にMastar CardがBNPL参入を発表し、Affirmの株価は大幅下落。
9/28終値は114.52ドル(-10.79%)

10/6 Targetと提携強化
従来はTargetのオンラインサイトでのみAffirmの分割払いが可能でしたが、店舗でも可能になったと発表。
10/6終値は133.70ドル(+19.95%)

11/11 Q1FY22決算発表予定
Amazonとの提携の影響が乗ってくると思われます。
更に年末商戦を見据えたガイダンスにも注目です。

6.コメント

個人的に現在最も注目している銘柄です。
高金利で不透明なリボ払いを駆逐すると名言しており、非常に共感できるミッションです。
数十年もの間ほとんど進歩していないクレカ業界を大きく変えることができる可能性を秘めていると思います。

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