9.目には目を。歯には歯を。
「どうしたら許してくれる?」そう聞かれてから答えを出さないまま半年くらいが経ちました。
子どもたちの前や、他の人がいるときには何事もなかったように振る舞いましたが、夫と2人きりの時は私は泣くか、蒸し返して怒るか、無視するか。そんな生活を続けていました。
夫は「ナリちゃんも一度不倫してもいいから、僕のことを許して欲しい。」とおかしな提案をしてきました。
そんなことを言う夫の気持ちがまったく理解出来なかったし、とてつもなく嫌な気持ちになったけれど、そろそろ自分の気持ちを整理して消化していかなくちゃいけないなとも思いました。
ほんの一瞬だけ、夫のいうようにしたらお互い様で許すことができるのかな?とよぎってしまったのも事実でした。
聡明な母親ならどういう行動を取ったのでしょうか。バッシングを覚悟で正直に書きますが、私は本当に大馬鹿者で、夫に「男の人と出かけてくるから」と宣言し子どもたちを預けて男友達と遊びに行きました。不倫するつもりはこれっぽっちもなかったけれど、辛い気持ちから抜け出せない毎日だったから、少しでも気分転換ができたらいいなという軽い気持ちでした。友人も私が悩んでいることをよく知っていたから「元気になって欲しくて!」と横浜に連れて行ってくれました。
お昼ごはんを食べて、ぶらぶら歩いて、夕飯食べて。家に帰ろうと思ったのですが、なんとなく家に足が向かないのです。なんだか家に帰りたくないなぁと思っているうちに終電ギリギリになってしまいました。
日付は変わって深夜過ぎ、帰宅すると子どもたちはスヤスヤと屈託のない寝顔で眠っていました。とめどなく涙が溢れて止まらなくなり、私は子どもたちのことをぎゅっと抱きしめました。
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