谷口 正晃(映画監督)
校舎に一歩踏み入れると、ただならぬ「気配」を感じます。誰か懐かしい人に会ったときのような温もりと、背筋にゾクッとくるような冷んやりとしたもの。小学生のときの6年間も、最近になって映画の撮影や上映、ワークショップをさせてもらったときも、「気配」の濃密さだけは変わらない。戦前から幾多の人がここで出会い、学び、交わった時間の堆積が、廊下や柱や壁や手すりに染み込んで発酵しているのかもしれない。リニューアルしたあとも、そんな「気配」が漂う場所であり続けてほしいと、切に願います。こればっかりはお金や最新の技術でどうにかなるものではなく、一度失ったら永遠に失われてしまうものだから。ありがとう、立誠小学校。
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