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文豪が愛した味「いもぼう」
お立ち寄りいただきましてありがとうございます。
東山(岡崎)周辺は、京都市の中心に行くのにも地下鉄東山駅もあり、バス路線も豊富なので移動には不便さを感じない街です。
それでも四条河原町あたりに出かける際には、神宮道を青蓮院、知恩院と過ぎて、円山公園から八坂神社の境内を通って四条に入る道を歩くのがお気に入りです。
どの季節でも素敵な景色が広がりますし、初期のころにも記事にしましたが、空気が違う気がします。
そんな日常なのに、道中にある「いもぼう」さんに一度も訪れていませんでした。。。
ずっと気にはなっていたのですが。。
いもぼう平野家本店
一度は食べたいと思い立ち、お邪魔することに。
神宮道から知恩院の三門を横目に、南門から円山公園に入ったすぐにあるので、目にしたことがある方も多いかと思います。
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いもぼうは「海老芋」と「棒鱈」を一緒に炊き合わせたものです。
京都検定のテキストのえびいもの説明にも棒鱈と炊き合わせたものが定番と説明されています。
海老芋のあくがぼうだらの骨を柔らかく、ぼうだらの膠質が海老芋の煮崩れを防ぐことから「出会いの味」「夫婦炊き」とも呼ばれる縁起物とのことです。
円山応挙、頼山陽、大雅堂、蓮月尼、富岡鉄斉、川端康成、松本清張、吉川英治など、古くより多くの文人墨客たちに愛されてきました。
『宮本武蔵』を書いた吉川英治は、いもぼうを食して「百年を伝えし味には百年の味あり」とたたえ、そのほかにも川端康成の『古都』、堀田力の『否認』の一説にも登場するなど、歴史深い京都のお料理です。
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「北海に京を和えたるいもぼう哉」
土曜日のお昼にお邪魔しました。
まだ混んでいなかったので、待たずに席に。
店内は個室が並んでいます。
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一番手前の席に通されました。
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お昼の代表的なメニューは「いもぼう御膳」か「月御膳」の様です。
どちらも「いもぼう、先付、生ゆば刺身、お吸い物」は共通で、いもぼう御膳には「祇園豆腐」、月御膳には「とろろ海苔巻」になる違いだけです。
とろろ海苔巻が気になったので「月御膳」に。
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とても到着が早いです。
ビールと一緒に配膳されました。
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まずはいもぼう。
大振りの海老芋は柔らかく、中まで味が染みています。
もちろんお出汁は上品な京風。
いつものことで関東人には甘めの味付けですが、おいものほっこりが染みわたります。
海老芋、好きかも。
棒鱈は初めて食べましたが、噛み応えがあって美味しい。
なるほど。これが「いもぼう」か。
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京都人は皆知ってる?
先付はにしんの昆布巻き、湯葉豆腐、タケノコの土佐煮。
お上品。
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生ゆば刺身
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とろろ海苔巻
これ、美味しい。
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お吸い物にも湯葉。
お正月みたい(笑)
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個室を一人で占有して優雅な食事を楽しみました。
度々通うという感じではないですが、いつかきっと京都の記憶と一緒に思い出す。
そんな感じのお店とお料理でした。
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近くには「京名物いもぼう 平野家本家」もあります。
こちらには川端康成の「美味延年」の色紙があるそう。
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「本店」と「本家」がありますが、ネットで調べてみても大きな違いはないみたいです。
美味しかったです。
少し京都の歴史に触れた感じで楽しかった。
古典の小説も読んでみないとな。
ご馳走様でした。
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