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my select50 vol.20「Trench coat」

my select50の第20回目は「Trench coat」です。
ファッションアイテムの中でも、コートの定番といわれるトレンチコート
満を持してご紹介させていただきます!

ちょうど前回、春先のツィードジャケットをオススメしました。
ツィードジャケットだけで出かけるのも良しとしつつも、この3月にもう一つ役に立つアイテムがトレンチ。

トレンチは綿素材なので、丈夫で頑強に作られてはいますが、獣毛であるウールに比べると軽い。また、綿は毛じゃなくて植物なので防寒性も低い。
つまり、真冬というよりは、秋や春向きですね。
※中にライナーを付けて真冬に着れる仕様などもあります。

私も記事にするために、1週間(3月中旬)くらい着てみましたが、やっぱりこの季節に良いですね。
シャツの上に薄手のニットを着て、その上にさらっとトレンチを羽織る。マフラーはしない。軽やかでかつ、そこそこ暖かい。
「スプリングコートはトレンチだな」と改めて感じます。

トレンチといえばAquascutumかBurberry
どちれもイギリスブランドでトレンチの元祖
私はAquascutum派です。
裏地のBurberryチェックより
Aquascutumのチェックの方が好み。

現在のトレンチは、男女問わず、色々なデザインが出ており、コートの定番となっているデザイン性に優れた人気アイテム
ですが、ここでは、トレンチに欠かせない、知っておいて欲しい、その歴史もご紹介します。

Aquascutumのトレンチこのタイプが定番です。
10年以上着てるのでかなりクタッとしてる。
ハンフリーボガートの着こなしとまではいかないけど、
このくたびれた感が着る者の哀愁を醸し出す。

トレンチの歴史について。
トレンチコートは正真正銘の軍服からスタートしています。「トレンチ=塹壕(兵火をしのぐ堀など)」という名前からして、陸軍の軍服なんですね。

トレンチコートの起源は、第一次世界大戦のイギリス軍で、寒冷な欧州でのの戦いに対応する防水型の軍用コートが求められたことから開発されました。軍部の要請によって製造を請け負ったのがAquascutum社とBurberry社

おそらく、軍に納品された数や知名度だとBurberry社の方が分があると思います。今でもBurberryは有名ですもんね。
Aquascutum社は、王室御用達だったので、どちらかというと、高級将校といった方々向けに製造していたみたいです。

当時は現在のようなナイロンやポリエステルといった頑強な化学繊維のない時代です。
Burberry社は、耐久性・防水性に優れた綿の綾織素材「ギャバジン」で特許を取得し、それをトレンチに活かします。「ギャバジン」は洋服好きな方たら馴染みのある素材ではないでしょうか。
Aquascutum社は、現在、色々な生地がありますが、やはりAqua 5が定番じゃないでしょうか。こちらもBurberry社のギャバジンと同様に綿の綾織素材です。

個人的な感想ですが、着比べてみるとAqua 5の方が繊維が細く柔らかい印象です。したがって、着ると、丈夫さではBurberryに劣るが、その分だけエレガントに見えるといった感じでしょうか。

Aqua 5を使ったトレンチ
綿100%と書いてある。
今ではAquascutumやBurberryのトレンチは高級品
これを泥んこになりながら戦場で着ていたとは、、、笑

今、市場には様々なトレンチがあり、そのほとんどは、トレンチの軍服として必要な部分は省略して、デザインのみを踏襲しているものがほとんどです。
※軍服としてのディテールを全て詰め込むと製造コストも上がるため。

その中で、AquascutumやBurberryの定番のトレンチは値段は高いですが、クラシックな製造を今でも守っています。

以下に主なポイントを書きますね。

ベルトに複数付いているDリング。通称Dカン
これキーホルダーをかけるものでも飾りでもありません。
手榴弾を吊り下げる用途で付いています。
非常に物騒なディテールです笑
片から背中にかけて2重構造になっているアンブレラヨーク
戦場では傘などさせません。
これは、嵐の際に水が衣服の中に侵入しない
ために考案されたディテール
後見頃の裾にあるインバーテッドプリーツ
通常のコートのプリーツよりも幅が広い
横に引っ張るとかなりの面積があります。
これは、戦地での動きやすさや、乗馬の際に乗りやすい
ように考案されたディテール
袖口のアームベルト
これでギュッと袖口をしめる。
風雨の侵入を防ぐために考案されたディテール
肩部分のエポレット。
これぞトレンチと言われるデザインの一つですよね。
もともとは兵士の階級を示すバッジなどを付けるために
考案されたディテール
その後は、肩にかける物(双眼鏡とか水筒など)が
滑り落ちないための留め具として機能したとか
右胸にある出張ったパーツ
ガンフラップです。
長いライフル銃で発砲する際の肩から胸にかけての
衝撃を緩和するために考案されたディテール
雨の侵入を防ぐ役割も担っています。
この2枚見て分かりますかね。ポケットが貫通してるんです。
ポケット自体もちゃんとあるんですが、その上部に大きい穴が開いている。
これは、コートの中に着ているジャケットやパンツに
入っている小物をコートを脱がずに取り出せるように
考案されたディテール。
戦場でいちいちコート脱いでられませんもんね。
肩から脇まで真っすぐではなくて、ゆるやかに丸く縫っている

最後に紹介するのが、私の中で一番大好きなエピソードを持つディテール
「ラグランスリーブ」です。
意外と知られていませんが、トレンチの袖付け(袖と胴をつなぐ縫製)は、ゆるやかなカーブになっています。両袖をみると「ハ」の字で縫ってあるというか。
普通のコートやジャケットは、胴に袖を真っすぐ縫い付けるセットインといわれる縫製方法が使われています。

これが、トレンチの醍醐味なんです。
セットインにくらべて、ラグランスリーブの方が肩の傾斜に沿っているので、着脱しやすい。羽織やすいので、見た目にも、カチっとし過ぎず、自然な感じに見える。

このラグランスリーブ。
イギリス軍のラグラン将軍がその発祥です。
ワーテルローの戦いで片腕を失ったラグラン。そのラグランが、自身の経験をもとに、戦時の負傷兵でも着脱しやすいコートが必要だと考え、クリミア戦争の時にこのラグランスリーブ形式が採用されたと言われています。イギリス軍人らしい熱いエピソードです。
トレンチの着心地の良さには、「ラグラン将軍の魂と優しさ」がこもっているといっても過言ではありません。

他にも、軍服としてのディテールはありますが、これが主だったものです。

トレンチを着るとなんともいえない渋さというか、哀愁が醸し出るのはラグラン将軍のエピソードにもあるような、悲しくも勇ましい男達の物語を背負っているからかもしれません。
そして、映画スターもトレンチを着ることにこだわったりする。妙齢の大人が着るトレンチはやっぱり良いですよね。

トレンチといえばハンフリー•ボガート
Aquascutumを着ていたと言われています。
定番のベルトを腰でキュッと結ぶ着こなし
映画『サムライ』でトレンチを着るアラン・ドロン
個人的にはアラン•ドロンのトレンチ姿が一番好き
こちらもベルトをきちんと止めずに
キュッと結ぶスタイルですね。

また、長々と綴ってしましましたが、私のトレンチ愛、伝わりましたでしょうか。

今は、スーツを必ず着なければならない時代でもないし、ファションも昔より自由です。
それに従いトレンチも様々なデザインのものが販売されています。
私も高価なAquascutumやBurberryのトレンチを無理にすすめません。

最後に一つだけアドバイスするなら、トレンチを買う際は、丈の長いものがやっぱり良いと思います。丈が長いというのは、膝か膝下までくる長さ。

今は、丈の短いトレンチもありますが、丈が短いとベルトの意味がありませんし、インバーテッドプリーツで紹介したような、裾部分の広がるエレガントな雰囲気も出ません。簡単に言うと、丈が短いトレンチは子供っぽいというか。
丈が長いからこそ、腰をベルトでキュッと結ぶことによって、裾がふくらんで、トレンチの良さが引き出されるわけです。

大磯とトレンチおじさん
私はスニーカーにもトレンチを合わせたりします。
ベルトを結ばないパターンも好き。
結ばない時は、そのままポケットに入れます。
この日も3月初旬です。トレンチがちょうど良い。

お見苦しい写真を出しましたが、春はやっぱりファションが楽しい季節ですよね。
秋冬物に名残をもちながら、ちょっとずつ薄着にしていく。

今日は、3月20日。
今日もトレンチ着て出かけます。



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※Borsalinoのアイコンモデルの一つ。ラビットファーを使ったハット。これをかぶってトレンチ着たら、気分は映画スター。実際は、怪しいオッサンです、、、笑





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