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某バンドアニメの推しカプについて語るので聞いてください

※注意!このnoteはぼっち・ざ・ろっく!のカップリングについて語るnoteです。


アニメ最終話までの全ネタバレ、原作5巻までの少しの言及、それらへの筆者のバイアスが多分に含まれます。あなたの好みのカップリングではない可能性(攻め違い、受け違い、左右逆)があり、その場合の責任は一切取れませんのでご了承の上お読みください。

なお、noteで特定のカップリングの話をするという行為を快く思われない方もいらっしゃるはずなので、その場合もブラウザバック推奨です。記事中のアニメ画像は全て公式から引用したものであり、キャプチャ・スクリーンショット等は行っていません。

検索妨害などの可能性を考慮し、記事タイトルでは何の作品の何のカップリングか分からないようにしていますが、この記事に諸々の問題があった場合には修正・削除等の対応をします。












あなたは前季アニメの「ぼっち・ざ・ろっく!」を観た、もしくは原作を読んだ事がありますか?
このnoteをぼざろ未読の方が読むのかは分かりませんが、一応紹介しておきます。

『ぼっち・ざ・ろっく!』(BOCCHI THE ROCK!)は、はまじあきによる日本の4コマ漫画。『まんがタイムきららMAX』(芳文社)にて、2018年2月号から4月号までゲスト連載後、同年5月号から連載中。略称は「ぼざろ」。キャッチコピーは「陰キャならロックをやれ!」
系列誌のヒット作で、同じく女子高生によるガールズバンドを取り扱った『けいおん!』の舞台が高校の部活動(軽音楽部)であるのに対し、ライブハウスを中心に活動するバンドを題材としており、はまじ自身も差別化をはかるうえで意識した部分の1つであるとインタビューで述べている。

ぼっち・ざ・ろっく!-wikipedia

Wikipediaの丸コピで恐縮ですが、これは私の紹介より信頼性が高い為であり手抜きではないです。

前述の通り前季でアニメ化し、中でも劇中やOP・EDで流れる曲は大半がオリジナル曲であり、代表曲の「ギターと孤独と蒼い惑星」はYouTube公式動画の再生数が1000万を越え、アルバム「結束バンド」では週間売上三冠を達成しています。

毎話放送時には必ずトレンドに載っていた為、Twitterを見ていれば作品名は恐らく大半の方が目にしたであろう人気作です。

主人公である後藤ひとり及び結束バンド四人の日常を描きつつ、バンドとしての「成長譚」でもある為原作の5巻時点では全員が進級していたりと、所謂サザエさん時空ではないところも特徴。

きらら作品の為百合人気も高く、私も観たきっかけは信頼できるフォロワーが熱烈に後述のカプを推していた為です。
とはいえバンドものに今まで大してハマってこなかった上、私が視聴を始めたのはアニメ終了後であり、もう既にめちゃくちゃ人気が出ています。実在のバンドモチーフやカバーがある事も話題になっていたので、ロックに関して無知すぎる私じゃあなあ……と大してモチベは高くなかったのですが、6話の「八景」で話は変わってきます。

アニメオリジナル描写に見る廣井の人物像

後藤ひとりの公式人物紹介
ぼっちちゃんこと主人公後藤ひとりと天才ベーシスト廣井きくり(右)

アニメ6話で登場した廣井きくりという女性によって、私の認識と興味はかなり方向転換されます。具体的には、「面白いらしいから試しに観てみたバンドもの美少女アニメ」から、「後藤ひとりと廣井きくりの対比」にしか目が行かなくなりました。
廣井に関しては何故か公式サイトやTwitterにキャラ紹介が無い為、できる限りフラットな目線で紹介します。

初登場時の廣井。恐らくこの時の味噌汁や水はちゃんと後藤が買ってきてくれている。優しいね。


彼女は新宿を拠点に活動する「SICK HACK」というインディーズバンドのベース兼ボーカルであり、天才ベーシストを自称するのに恥じない実力がある人気ミュージシャンです。
しかし実力とは裏腹に常に飲酒しており、ライブの際も酔って機材を破壊する為に借金に追われていて、住んでいるアパートは風呂無し築52年で電車賃を女子高生から借りたりと、大人としてはあまり褒められない酔っ払いバンドマンでもあります。
そんな廣井と後藤の初対面は漫画では9話、アニメでは6話。結束バンドが活動するSTARRYというライブハウスに出演する事が店長に許されたものの、初ライブのチケットを売る必要があります。しかし友達がおらずノルマを達成できないと気付いた後藤は、宣伝用にビラを配ろうとしたところで酔い潰れた廣井に出会う、というのが二人の初対面です。

この作品は基本ギャグで進むので、キャラクターの味付けはかなり過度です。廣井も飲んだくれキャラにしては
・ライブ以外の仕事をしている描写が無い
・なのに不特定多数から金を借りている
・なのに安酒とはいえ二日酔いを抑える手段が迎え酒
と、ぼざろ本編中でもダントツで社会不適合者なのですが、初登場回のアニメ6話でもかなり「引っかかる」人物像をしています。
というのも、ギターを指摘された後藤が「買って1日で挫折したところ、今から売ってくる」と嘘をついて逃げ出そうとしたところで、廣井は腕を掴んで引き止めます。
その際の台詞は原作漫画だとたった二言ですが、アニメでは少し長くなっています。

廣井「待って!」(手首を掴む)「1日で諦めるのは勿体無いよ」
後藤「えっ?」
廣井「売るのはいつでもできるからさ」(手首を離す)「もう少し続けてみたら、そのギターにふさわしい人になれるかもよ」「……な〜んちゃって!」

アニメ6話。太字がアニオリ台詞

この時の声が全く浮ついておらず、本気で説得しようとしている事が表情や仕草から感じ取れます。ただのアル中ではないですね。実際後藤はこの時点で、(思ったよりまともな人っぽい?)と認識を改めています。まあ直後命より大事と語るベースを居酒屋に忘れてきているのですが……。
覚えておいてほしいのは、このシーンに限らず廣井は酔ってる最中も突然シラフに戻る……のではなく、非常識な面も常識的な面も明るい面も暗い面も狂気も理性も酔ってる中で突然出てくる人間です。つまり酔いが覚めても急に大人しくなったりしないし、酔ってる中でも唐突に暴れたりしない。
機材破壊とかの奇行はどちらかといえばライブの高揚感のせいでやっちゃうんだと思います。リアルな酔っ払いってそうですよね。
そしてベースを回収後、昨夜のライブ成功を祝した打ち上げで飲みすぎた結果起きたら金沢八景に居た…という経緯を話します。

後藤「お…お酒好きなんですね」
廣井「うん!だってお酒飲んだら全部忘れられるからさ〜、つい!」
後藤「全部?」
廣井「ほら、将来の不安とか」
イメージ図廣井「年金問題、地方の過疎化、貧困、格差!」(酒を与えられる)「ぴゃは〜」
廣井「私はこれを幸せスパイラルって呼んでるんだ。マネしていいよ
後藤「あ…いや」(悲しい幸せだ…)
廣井「あ〜まだピンとこないか」「まあひとりちゃんも大人になったら分かるよ」
後藤「いっ、いやあ…」(大人になっても分かりたくない…)
廣井「絶対お酒ハマるタイプだよ!」「うん絶対そう!顔見れば分かる」
後藤(どんなだろ…お酒に溺れる私…)
〜後藤のお酒に逃げる無職の自分の妄想〜
後藤「ひぃあ〜っ!」
廣井「アハハハ!君もしや結構ヤバい子?」
後藤「すすす…すみません取り乱しました」
廣井「そういうの嫌いじゃないよ〜」

アニメ6話。太字がアニオリ台詞

抜粋が長くなりましたが全部後で効いてくるやりとりなので文字に起こしました。
ここで話は後藤のチケットノルマの話に戻り、廣井はその事情に涙した後「二人で路上ライブをしてチケットを買ってもらう」という提案をします。

そして結束バンドや店長以外の人間に演奏を初めて見せるという状況に緊張する後藤と、それに共感を示す廣井。

廣井「えっ?外でギター弾いたことがない?」「そんなに怖いなら目つむって弾くとか?な〜んて、ヘヘッ」「人見知りなんだねー、わかるよー」
後藤「あっ…それならいけるかも…」「いつも手元の見えない暗闇でずっと弾いてたし」
廣井「でも一応言っとくけど、今目の前にいる人たちは君の闘う相手じゃないからね」「敵を見誤るなよ?」
後藤「は?」(敵…?)

アニメ6話。太字がアニオリ台詞

このやりとりの後、二人での路上ライブパートに入ります。廣井は即興でも自分に合わせ支えながら、自信に満ちた楽しむ演奏をしていると後藤が音で感じ取るものの、自分は客のリアクションを恐れて顔も上げられません。
しかし観客が応援の声をかけてくれた事で、後藤は「敵なんかいない」と気付き本来の調子を取り戻します。元々ギターヒーローとして卓越した技術を持っていた後藤の演奏は、隣の廣井にも届きます。

廣井(ひとりちゃん、ほんとはこんな風に弾くんだ…面白い!)
(そうだよ、ここにいるのは…君の演奏が聴きたくて立ち止まってくれた人たちだ)
(この短時間でちゃんと気付いて欠点克服するなんてすごいじゃん…!)
(この子は絶対上がってくる!!私の勘は当たるんだ!)

アニメ6話

無事に路上ライブを成功させ、「観客を楽しませて笑顔にする」事を意識できた後藤。残りチケット3枚の内2枚を路上ライブの客、最後の1枚を廣井に買ってもらえました。その様子を見て、後藤は「こんなキラキラした時代が私にもあったはずなのに…」と涙します。なんで…?

去っていく廣井。何気に「またライブしようね」と次の約束までしていく(原作では「また会おうね」)

「不思議な人だったな…」と顔を赤らめながら呟く後藤。「やっぱバンドマンって…かっこいい…!」と憧れの感情を見せます。まあ廣井はこの直後電車賃を借りにすぐ戻ってくるんですが…。

初登場の6話だけでも、廣井は後藤に多大な影響を与えました。後藤の「ソロでの演奏技術は高いが他人と合わせた経験が無い」という境遇は少し特殊で、成長の余地が「バンドで経験を積む」以外にありません。
そして後藤が他人と合わせられるようになっていくには結束バンドの中しかない。そこで現れたのが廣井きくり。圧倒的に経験豊富な廣井は、後藤の演奏に完璧に合わせられるので後藤も脳のリソースを合わせる事に割く必要が無い。結果、客のリアクションを気にしながらでもいつも通り弾けました。
そしてスキルの高い廣井が納得し褒め称えるレベル=後藤も本来の実力が出せている。この6話は、「他人より自尊心の低い後藤がみんなより一足先に成長する」回なんですね。
もし路上ライブで獲得した2人のファンが居なければ、初ライブは「ファンが不在の状況」であり結束バンドの全員により心理的負担がかかります。そして何よりこの成長が無いまま後藤が初ライブを迎えていた場合、後述の挽回は果たせなかった可能性が大で、そうなると初ライブも微妙なまま終わっています。廣井との出会いが無ければ後藤、ひいては結束バンドの成長はかなり遅れていたと思われます。


アニメ8話「ぼっち・ざ・ろっく」

初ライブの日に台風直撃、来られる予定の友達や家族は一人もいない状況で4人は不安なままステージに臨みます。

嫌な予感が当たった後藤。しかし目は死んでいない

店長含め各々客入りを心配して憂鬱な中、廣井は傘もささずにSTARRYにやってきます。

廣井「ひゃ〜すごい雨!」「ぼっちちゃん来たよぉ〜」
後藤「あっ、お姉さん」
星歌「えっお前ぼっちちゃん目当てで来たの?」
廣井「そうだよ〜?イエ〜イ」
後藤「えっ、お知り合いなんですか?」
星歌「私の大学の時の後輩」
廣井「ねえねえ、今日のライブ打ち上げするんだよね〜。居酒屋もう決めたの〜?」
星歌「酒くさっ!」
廣井「おいしい場所知ってますよ〜ねえねえ〜」
星歌「また一段と面倒くさいやつになったな」
PA「飲み会覚えたての大学生に通ずるウザさがありますね」

アニメ8話。太字がアニオリ台詞

店長の「また一段と」は原作では「しばらく会わない内に」ですが、どちらであっても店長と廣井は久しぶりの対面である事が察せます。実際、後藤や喜多がSTARRYでバイトするようになって劇中では4ヶ月以上が経過しているはずですが、2人は廣井の存在を知らなかったあたり、そもそもSTARRYに来ていなかったようです。後述の根拠も加えると、店長と廣井の対面は最低でも半年ほど、最大数年ぶりである可能性が高いです。ガチで後藤目当てに来てるじゃん。

客入りは変わらないままライブ直前の控え室。不安になる他の3人に対して、後藤は路上ライブで獲得したファンの顔を見た事で、「私たちの演奏を待っててくれる人がいるんだから!」と意気込みます。ギャグ調に描かれてはいますが、これは後藤が路上ライブを経験していなければあり得ない発言です。
しかし後藤の激励もむなしく、不安な面持ちのまま始まるステージ。MCでガチガチの喜多と虹夏は演奏も本領が発揮できておらず、観客も途中で離席したりスマホを見てしまう始末。
一曲目が終わるものの、観客席は冷め切っており、唯一のファン2人も心配げな顔。後藤はその顔を見て、路上ライブの時の笑顔を重ねます。
「私たち、演奏も曲もまだまだだ…けど!このままじゃ嫌だ!」後藤は虹夏の合図を待たず、ギターソロを始めました。
この時の後藤は、結束バンドのリードギターとして、他の3人を引っ張ったのです。1曲目では見向きもしなかった観客たちも、今はスマホではなくステージに目を奪われています。この時の後藤が観客の反応を見て自分ができる最大限に努められたのは、路上ライブの経験が活きていると断言できます。

幻覚見てんのかと疑うくらいかっこいい後藤

結果として2曲目で挽回し、結束バンドの初ライブは成功で終了。ちなみに演奏中に何カットか廣井が映りますが、全部ニッコニコなので是非確認してください。
場面は移り、ライブ後の打ち上げ会場。ここでようやく廣井が他のメンバーに紹介されます。

喜多「っていうか、この方誰ですか?」
廣井「誰よりもベースを愛する天才ベーシスト!廣井きくりで〜す」「ベースは昨日飲み屋に忘れました〜。どこの飲み屋かも分かんな〜い…エヘヘ…」
喜多「一瞬で矛盾したんですけど」
山田「私、よくライブ行ってました」
廣井「えっほんと?君見る目あるねえ!」
山田「観客に酒吹きかけたり、泥酔しながらのライブ最高です!」
回想廣井「あーごめん歌詞飛んだ!ま〜でもライブってそういうもんじゃん?怒んなようっせーなー」
山田「顔面踏んでもらったのも良い思い出です!」
回想廣井「新宿ありがと〜カスどもサイコー!マザー××××」
〜中略〜
廣井「ライブ、最後は大盛り上がりでよかったね〜」
虹夏「観客10人くらいでしたけど〜」
廣井「でもその人たちは全員満足してくれたじゃん!」
虹夏「ですかね?」

アニメ8話。太字がアニオリ台詞
メニュー覗き込み廣井

飲み会の中で、後藤が「高校在学中にバンドが売れなければ就職しなければいけない」という未来を想像して暴れるシーンがあります。その後、後藤の反対側に座っている廣井がわざわざ隣に来てフォローしてくれる際の会話です。

廣井「…で、さっきの話だけど」
後藤「えっ?」
廣井「ほら、ギターで食えないとニートとかブツブツ言ってたじゃん」
後藤「あっあ…取り乱してすみません」
廣井「あ…や、謝ることないけど」「先輩バンドマンとしてひとこと言わせてもらうけどさ…まっ、気楽に楽しく活動しなよ!」
後藤「えっ?」
PA「漠然と成功することばかり考えてると辛くなっちゃいますもんね」
星歌「そうそう。夢を叶えてくプロセスを楽しんでくのが大事だからな」

アニメ8話。太字がアニオリ台詞

「まあ気楽に楽しく活動しなよ」以降しか無い原作に比べ、追加された台詞からは後藤へかける言葉を丁寧に選んでいる印象を受けます。何より後々判明する廣井がロックを始めた理由と廣井の後悔を思うと、これは廣井自身が欲している言葉でもあるように捉えられます。
この時の廣井やPA達の励ましが、後の後藤から虹夏への回答にも繋がっているのかなあ…。いずれにせよ、8話の結束バンドの成長は、6話の後藤の成長が前提になっているのは確かです。


アニメ10話「アフターダーク」

後藤と喜多が通う高校で文化祭が開かれる為、後藤は出し物に結束バンドとして出演を申し込む…という回です(いろいろ端折りました)。
後藤が書いたものの投函できなかった申請書類を喜多が入れてしまった事により、結束バンドの出演は確定。文化祭という大きすぎるアウェイのハコに怯える後藤に、STARRYで呑んでいた廣井が声をかけます。

廣井「ぼっちちゃ〜ん!どうした?なんか心配事?」
喜多「文化祭のステージに私が勝手に申し込んでしまって…」
廣井「え?なに〜?ライブするって事!?」
後藤「む、無理です、私には…。い、いつものハコより多い人の前で、しかも、学校での私を知ってる人の前でライブするのが、こ、怖くて…」
廣井「…ぼっちちゃん。これあげる!この前のお返しに」「今日私のバンドライブすんの!よかったら見に来なよ〜」
後藤「え、い、いいんですか!?」
廣井「もちろん!ほい、君たちもどうぞ〜」
山田「ありがとうございます」
〜中略〜(廣井が貧乏な理由と借りていた電車賃の返却等)
星歌「ていうか禁酒しろよ。ライブ活動する前は全然飲んでなかったろ?体壊すぞ」
廣井「あぁ〜…まあそんなことどうでもいいじゃん!よし、みんな新宿にレッツゴー!」
喜多「あんな風になって、本当にライブできるんですかね…?」
山田「SICK HACKのライブ、タダで行ける…胸熱!」
喜多「しくはっく…それが廣井さんのバンド名ですか?」
廣井「そだよーん」
後藤「お姉さん…路上ライブで上手い事は知ってるけど…どんな音楽してるかよく知らない…。ライブ、楽しみかも…!

アニメ10話。太字がアニオリ台詞

原作からの大きな変更点としては、後藤の弱音の部分が増えているところです(原作では「いつもの箱より多い人の前でライブするのが怖い、想像もできない」)。アニメでは「無理です」が付け足され、後藤の抵抗が強調されていますね。
このパートの後、5人はSICK HACKの活動拠点である新宿FOLTへ。ライブハウス店長の銀次郎、SICK HACKドラム担当の志麻やギター担当のイライザなどの人物が登場します。
ライブ前には瞬く間に200人のファンが押し寄せ、ほぼ満員状態のFOLT。演奏が始まると、他の観客同様結束バンドもSICK HACKのライブに夢中になりますが、原作でも数少ない「後藤が他人の演奏に衝撃を受ける」描写があります。

後藤「このバンド…すごい…!見失いそうになる変拍子を完璧に叩くドラム…感情的で、それでいてロジカルなギター…そして全てを支えるベースの音の壁…」「でも、何よりすごいのは…お姉さんの、圧倒的なカリスマ性…!ステージにいる間は、演者はヒーロー…!やっぱりバンドって…最高にかっこいい!」
〜ライブ終了後、控え室〜
廣井「ぼっちちゃーん!私のライブどうだったー?」
後藤「あっ…よかったです…」
廣井「ん…ねえ〜なんか元気なくない?ライブ本当は良くなかった?」
後藤「い、いや…本当に最高でした…!でも、あ、あの…」
廣井「ん?」
後藤「お姉さん、すごくキラキラしていて…私なんか、とても…」
廣井「…私って実はさ、高校まで教室の隅でじっとしてる根暗ちゃんだったんだよ?」
後藤「えっ?」
廣井「あっ、やっぱわかる?陰キャ同士は惹かれ合うって本当なんだなあ〜!」
「…でもある時、自分の将来想像したら、普通の人生過ぎてつまんねー!って絶望しちゃって…真逆の生き方してやろーって思って、ロック始めたの」
「楽器屋でベース買うのも、ライブハウス行くのも、最初めっちゃ怖かったし。酒飲み始めたのも、初ライブの緊張をごまかすためだしね」
「初めて何かするってのは、誰だって怖いよ。でもぼっちちゃんは、路上でもSTARRYでもライブできたじゃん!しかも酒に頼らず!」
後藤「お姉さん…」
廣井「自分にもっと自信持って!無理なら酒でドーピングもアリ!」
後藤「あ、いや、未成年なので…。でも、文化祭ライブ、よかったら来てください」

廣井「ん…!イェーイ、その意気だー!(壁破壊)」
銀次郎「壁の修繕費、プラス10万加算しといたからね?」
廣井「ぼ、ぼっちちゃんとの連帯責任でー!」
後藤「え!?」

アニメ10話。太字がアニオリ台詞
後藤に自身の過去を語る廣井。目がぐるぐるしてない。


廣井の過去が断片的ではありますが彼女の口から語られ、激励によって後藤が文化祭ライブへの決心を固める重要な場面。廣井が6話で後藤に出会って以降目をかけていたのは、ロックを始めたばかりの自分と後藤に通じるものを感じたからだと推測されます。
ぼ廣のデカすぎる根拠であり、この「廣井が後藤に過去の自身を重ねている」という一点が、後々になって効いてきます。
(実はこのシーン、削られている台詞がひとつあり、原作では※に「ぼっちちゃん…どんな奴だって勇気さえあればキラキラできるよ…!」という廣井のモノローグが入ります。できれば入れてほしかった…)

SICK HACKのライブの後、結束バンドの面々もセットリストや曲の編成について会議します。後藤も廣井の言葉によって大きく自信を持てたようで、喜多が間違えたのではなくわざと用紙を出した事を謝られても、笑顔で感謝の言葉を返せています。
後藤は廣井によって、6話では共に演奏して「観客を楽しませるという事」を教えられ、10話ではライブを観せられて「自信を持ちライブをするという事」を教えられます。両方とも後藤が廣井に大きく影響を受け、成長のきっかけになる話ですね。


アニメ11話「十二進法の夕景」・12話「君に朝が降る」

ライブに店長と廣井が来る点は原作通りですが、後藤家とクラスメイトに加えファン2人まで来ているという追加描写があります。原作でこのファン2人は熱烈な追っかけになっているので妥当ではあるんですが、繰り返し言うように路上ライブが無ければいなかったファンです。
そして始まる文化祭ライブ。1曲目をつつがなく終えるものの、後藤はギターに違和感を覚えます。更に店長が「割と頑張ってんな」と笑顔で見守っているのに、廣井は「でもぼっちちゃん…」と訝しげに眺めており、ギターの不調に廣井だけがこの時点で気付いています。
(原作では「ぼっちちゃんにしたらまずまずの演奏できてるけど、なんかずっとチューニング安定しないな…」というモノローグの為、後藤より先に不調の正体を見抜いています。なんで?)
(バンドマン時代は後藤と同じギタリストだった店長は気付いていない。なんで?愛?)

そして始まる2曲目。演奏中にギターの1弦が切れてしまい、後藤も慌てて蹲るものの調整する為のペグも故障しています。そして「あれじゃ2弦も使い物にならない…これじゃソロ無理だぞ…!」と完全に酔いの覚めた真剣な顔で心配する廣井。
やってくる間奏パート。万事休すかと思われたその瞬間、喜多がフォローの為ギターソロを即興で代理します。喜多の意図を察した山田と虹夏も、アドリブで間奏を長く演奏する事によって、後藤のギターソロに繋ぎます。
そして咄嗟の機転で後藤が取った行動は、足元にあった廣井のカップ酒の空き瓶。これを使ってのボトルネック奏法で、後藤はギターソロと続くCメロ・ラスサビを乗り切ります。
もちろんこの場面で重要なのは喜多・山田・虹夏のアドリブ力であり、後藤の知識と技術であれば空き瓶以外のもの、もしくはボトルネック奏法以外での解決策もあり得たかもしれません。ただ本編では、「廣井に出会っていなければできなかった」選択肢です。後藤が廣井と出会っていなければそもそも廣井がこのライブに来ていないので。
そして演奏を終え観客から拍手喝采を受け、リアクションを求められた後藤が廣井を思い出し、ステージからダイブするオチ。ギャグとして描かれてはいますが、後藤が廣井に憧れていなければ彼女の性格的にあり得ない発想です。最後の最後で廣井を想起してしまうところは、廣井に受けてきた影響を含めアニメでの2人の関係の集大成とも言えるシーンに昇華されていたと私は感じました。

まとめ

アニメで追加された台詞や描写の多くは、原作で既に描かれている部分の補強になるような、丁寧で齟齬のないものばかりです。そして中でも廣井は、より気さくで優しい言葉が多く、飲んだくれのベーシストという一面以外の部分を強く感じさせられるようになっています。
そこには廣井が抱えている「飲酒しなければステージに立てない自分のままここまで来てしまった」というどうしようもない後悔と、後藤への「ぼっちちゃんは勇気だけでステージに立てる」という憧れがあります。

・「売るのはいつでもできるからさ」「もう少し続けてみたら、そのギターにふさわしい人になれるかもよ」
「人見知りなんだねー、わかるよー」
・「絶対お酒ハマるタイプだよ!」「うん絶対そう!顔見れば分かる」
・「こんなキラキラした時代が私にもあったはずなのに…」
・「あ…や、謝ることないけど」「先輩バンドマンとしてひとこと言わせてもらうけどさ…まっ、気楽に楽しく活動しなよ!」
・(店長の「禁酒しろよ、体壊すぞ」という忠告を受けて)「あぁ〜…まあそんなことどうでもいいじゃん!」
・「初めて何かするってのは、誰だって怖いよ。でもぼっちちゃんは、路上でもSTARRYでもライブできたじゃん!しかも酒に頼らず!」

ここまで読んで頂けたなら、台詞の抜粋だけでも理解できるはずです。バンドマンとしての生き方の歪さと、抱えている感性の綺麗さを抱えているのが、アンバランスな廣井きくりという人間です。
後藤から廣井へ向ける感情の描写はあまり原作と変わっていませんが、廣井から後藤へ向ける感情に関してはかなり詳細に描かれていると私は感じました。
そして最初に説明した通りこの作品はサザエさん時空ではないので、5巻時点で後藤は2年生に進級しており、バンドマンとしてどんどん廣井とは全く異なる道を歩んでいます。廣井はそんな後藤に羨望の眼差しを向けずにはいられない。
アニメ以降の話では、「廣井が後藤(結束バンド)を遠くから育てようと試みる」描写と、「後藤が今の自分のようにはならない事への喜びと悲しみ」の描写が多く含まれます。両方なんでそんな事言うの!?という廣井への同情・共感・悲哀が入り混じったどうしようもない感情を抱く事請け合いです。
後藤……お前が廣井を救ってくれ……

ヤマハとのコラボキービジュアル。この絵でぼ廣が公式だと確信しました。

おわりに

極力私のバイアスがかからないように書いたつもりですし、台詞は全部本編中のものです。これでぼ廣じゃないは無理があると思う。
このnoteはあくまで私がこの百合がすげえよーー!!と叫び散らかすだけのものですが、まあ……「ぼ廣ってあるのかも」と思って頂けたなら……嬉しいです。
もちろんぼっち・ざ・ろっくは後藤と廣井以外のキャラクターもみんな個性的で、話が進むほど面白くなるのはぼ廣だけではありません!ぜひ皆さん読み進めて、結束バンドやその他登場人物にめちゃくちゃにされてください!
コミック1~5巻は絶賛発売中!媒体によっては電子版限定特典も!

アニメはAbemaTV、Netflix、AmazonPrimeVideoなどで全話配信中!

劇中曲含めた結束バンドの歌はアルバム「結束バンド」でCDが出ており、

サブスクリプションサービス各種でも聴けます!




最後にアニメ8話で聴けるSICK HACK歌唱曲「ワタシダケユウレイ」の歌詞を置いていきます。私が聴き取ったものなので間違っている可能性大です。
以下はマジの所感なのであんまり真に受けないでください。

間違い探しの夜更かし あら楽しい
迷い子が手招く夢の国へ
あっちはどっち?こっちはそっち?
電池切れ人生 たちまちLet's party
博愛主義の皆々様 ご立派なことです
ぐーるぐーるぐーる踊りましょう
データデータデータ蔓延る脳
嘘だらけ塗ったトースト おひとついかが?
ワタシダケユウレイ

サイケデリックロックは正直よく知らないので歌詞から類推するしかないんですが、全体的に廣井の現状を思わせすぎる。
間違い探しの夜更かし=酒を飲んではライブする廣井の日常
迷い子=廣井含めたバンドマン達 夢の国=そのファン
あっちはどっち?=方向さえ分からなくなった酩酊状態と廣井の心情
電池切れ人生=単純に廣井の人生でいいのか?
博愛主義の皆々様=これはよくわからない。ファン以外の人間を指してる?
データ蔓延る脳=廣井の不安(雑念)でいっぱいの脳内
嘘だらけ塗ったトースト=弱い自分をごまかして歌う曲?
ワタシダケユウレイ=今の自分に幽霊のような浮遊感を覚えている?

もし「ワタシダケユウレイ」の「ユウレイ」を自分だと捉えているなら、いやそうでなくても
廣井きくり マジで自分と後藤と向き合ってくれ


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