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INTER BEE IGNITION 2020

例年、テレビのインターネット連動企画などのテレビにおける拡張分野で登壇することが多かったINTER BEE。今年は、何故かコロナ状況下で新しい試みで実施する”INTER BEE IGNITION”にお呼ばれした。(西村真里子さんありがとうございます。)このイベントは、過去の自慢話よりも、未来の話が中心だし、いつもカンファレンスは色々な出会いがあるので、好きなイベント。

XR空間でのピッチコンテストという不思議な場所でのコメンテーター登壇でしたが、大変、貴重な体験をさせてもらいました。XR空間の表現の豊かさは色々ありますが、セッション中、登壇者にハグされて、感じたのは、ヴァーチャルってある意味怖い。何事も経験が必要ですね。経験こそが重要。
コメンテーターだったので、主役はピッチをした人達。その部分に配慮して、現場であまり話せなかったことをメモ程度に書いておきます。どうせ、時が経つと忘れちゃうので。

同じ業界若い人の、
(いや待て、まだ自分も若いと思っているが。まだヒラ社員だし)
2020年時点のピッチをきけて素直によかった。

2011年あたり、あのころの自分は、配信事業の担当もしつつ、「イマつぶ」という自社SNSサービスを立ち上げ&担当したり、デジタルアナウンサー「杏梨ルネ」の開発&担当したり、フジテレビ初のLINE公式アカウント開設、23時台番組のYouTubeチャンネルの立ち上げや、「ニッポンのミンイ」「ボカロ歌謡祭」や「THE ○○」シリーズなど、数々の放送連動番組を担当したりして、今起きている事象のいわばプロトタイプ的な何かを触っていたと思う。

「イマつぶ」は、ツイッターライクなガラケーつぶやきサービスを構築し、番組を中心とした公式コミュニケーションツール提供の取り組みだったし、「杏梨ルネ」は、アナウンサーをデジタルにして、時間と場所の限界を超えて、AI(人工知能)で原稿を読ませる実験だったし(最終的には退社して、ボーカロイドになったが。。。)、数々のスマホ連動番組は、テレビ番組を、「視聴する」から「体験する」に変換することで、「視聴者」から「ユーザー」に変えていく作業だったと記憶している。もちろん、面白い企画にすることの切り口やリアルタイム視聴促進と別の目的もそこには存在していたが。当時から、プロトタイプを触っていた人間としては、2020年の今でもその世界線は続いているし、その時よりも、更にテクノロジーが進化して、当時よりも、安価で、簡単に、色々なもののクオリティが上がっていることにとても感慨深いものがあった。
フォートナイトの米津玄師とか、歌譜のオンラインライブなどは、現実にテクノロジーとクリエイティブが進化している象徴だと思う。音楽業界は映像業界の進化の参考になる。

歴史が教えてくれるように、革命や改革は中心からではなく、きっと周縁から発生する。

時に未来は、周縁と中心がせめぎあいながら、中心がもつ価値観とは違う価値観に動いていくことが多い。結果として、その動力が革命という形で表現されていく。
これから始まる同時再送信の話も、きっと、まもなく何かがひっくり返る瞬間が来そうだ。昔、革命の結果だったことも、時が経てば、既得権益や経験、伝統などそういうものになり、現在に重くのしかかる。そういうものは、必要なものもあれば、変えていかなければならないものもある。
革命はその業界のイノベーションに必要不可欠だが、その革命が起きた後にその周縁(自分が立っていた場所)がどうなってしまうのかもセットで考えないといけない。
革命のトドメは中心が動いたとき。中心は周縁になり、周縁が中心になったり、全部がフラットになってしまったり・・・その立ち位置すらわからなくなる。

ピッチの時に気になったのが、「ローカル」という言葉がたくさん出てきたこと。もちろん、「ローカル局」と「キー局」という物理的な要素は存在するし、ローカルの本質は、ローカルにいないので、自分は色々わからないこともあると思う。
でも、SNSや配信などが普及したwithデジタルの世界では、すでにある意味フラットな世界になりつつあるし、チャンスでもあると思う。
(ちょっとちがうけど、あの鬼滅の刃もMXから放送がスタート。)
ローカルと全国ネットとは、もちろん物理的なハンデはあるが、関東ローカルの深夜番組は、結局ローカルだし、テレビ東京の加瀬さんが話していたように、テレビはSNSとセットであれば、面白いことがもっとできる可能性を感じている。RKB毎日放送の金城さんのあの取り組みもローカルだからこそできたり、静岡放送の和田さんの地域コンサルもすぐに試しに初めてみればいいと思う。だから、ローカルということを、そんなに気にしなくていいかな、とも思う。もうある意味ではローカルもキーもある意味フラットなのかもしれない。キー局でテレビ東京がSNSなどを一番活用していることも、そういう意味ではフラットな状況を映し出している気がする。ネットワークが少ないことを逆手にとっている。

我々に常に必要なのが、クリエイティブ(伝えたいこと)とビジネスアイデア(マネタイズ)。いいかえると、夢とそろばんを両手に持って動いているか?ということ。
テレビ局の現在の大きなアドバンテージは、予算と枠。
ただし、その予算の根拠(広告収入)がゆらぎはじめているいる現在では、自ら稼いで、自ら作り続ける仕組みづくりが必要だと思う。編成から予算をもらうのではなく、自ら稼いで制作する。稼ぎながら夢を叶える。夢を叶えて、稼ぐ。そして、投資する。


編成制作費は、投資ファンドみたいなもの。
消えものにつかうか、資産にするか。

そして、限られた予算を有効に使うために、制作効率を格段にあげることや新しい表現を生み出していくためには、われわれは常に最新の技術によって進化していかなければならない。
レンダリングのスピードアップや編集の技術革新がコスト削減につながるように、クロマキー合成やZOOMでの収録が当たり前になったように、常にテクノロジーがクリエイティブを進化させていく。そんなことを考えるセッションだった。


素敵な出会いに感謝。

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