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セレスティア・ルーデンベルクは間違いなくギャンブラーとして最高の勝負勘を持っていた

⚠注意⚠
この記事はダンガンロンパのネタバレを多分に含みます


ダンガンロンパ。
言わずと知れたADVゲームであり、個性的なキャラクターや学級裁判というシステム、衝撃的な処刑シーンである「オシオキ」で一世を風靡した名作ゲームである。少なくとも私はそう思っている。
私も去年の夏頃にダンガンロンパを1、2、V3とプレイしてその世界観にどっぷりハマり、一ヶ月くらい王馬小吉のことしか考えられなくなったり、「塩」というワードを見るだけで笑いそうになったり、狛枝凪斗のことを「君」付けで呼べなくなったり、希望や絶望というワードを見ると少し反応する体質になったりした。

ちなみに私はV3の終わり方は許してねえからな。スーダンで終わらなかった以上あんな感じに纏めるしかないとは解っているがそれはそれとして許してねえからな。

閑話休題。V3の6章の肯定派と否定派で争う議論スクラムは多分めちゃくちゃ不毛なので。

ダンガンロンパの魅力のひとつはまあ間違いなく個性的なキャラクターにあると思っている。「超高校級の○○」という肩書きを持つ登場人物達は皆一筋縄ではいかない性格をしており、そんな一癖も二癖もあるキャラクター達が極限状態でコロシアイを行うストーリーに魅力が生まれると思う。

今回私が話題に挙げたいのは、超高校級のギャンブラーであるセレスティア・ルーデンベルクである。
こんな記事読んでる人基本的にダンロンは履修済みだと思うので盛大にネタバレをしながら書いていくが、第3章でクロ(犯人)となり、殺人を起こす人物である。

ダンガンロンパという作品は正直かなり殺人のトリックが面白く、事件が起きてすぐは勿論、なんなら捜査タイムを終えても「これ犯人誰だ!?」となることが割とある。なんなら私はV3の2章に於いては学級裁判のクライマックスで最原君が「犯人の目星はついてるけど」と言い出した辺りでまだ犯人が解らず、「最原君ちょっと待って!私がわかってないから!」と、操作しているキャラに対して無様に命乞いをしながら犯人指名を行ったことすらある。

ところがこのセレスティア・ルーデンベルクが犯人だったダンガンロンパの第3章に於いては、少なくとも私がプレイしていた時は事件が始まる前から「セレスが怪しいな〜」と感じ、事件が起きても「セレスが怪しいな〜」と思い、学級裁判が始まる時も「多分セレスやろな〜」と感じながら裁判に臨み、そして事件が終わっても「セレスやったなぁ~」という気持ちで終幕するという、あまりにも徹頭徹尾セレスが怪しすぎるせいで逆にミスリードなんじゃないか?と思うくらい簡単だった。

実際第3章ではセレスが怪しすぎると感じる人は多いらしく、「超高校級のギャンブラー」という騙し合いには強そうな肩書きながらプレイヤー目線だとかなりわかり易いトリックであったり、本名がバレて激昂して口調が荒々しくなるシーンや、「どっひゃ~」という叫び声のトンチキさ、そもそもの本名が「安広多恵子」という見た目からは想像もつかない名前だったことも含め、どちらかというと少しネタ的に扱われることも多いっぽいことを確認している。いやまあ正直激昂シーンは声優である椎名へきるさんの熱演も相まって滑稽極まりないシーンになっており、ネタにしたくなる気持ちは私もめっちゃわかる。私もプレイしてすぐは「お前もう少し大和田紋土を見習え」と思った。あれはあれで十神白夜とかいうクソボケが狂人ムーブしたせいで事件がこんがらがったというバグも起きているけども。

ただ、ダンガンロンパシリーズをクリアして、この作品はかなりキャラクターに対する造詣を深めていけばどんどん味が出てくる作品であることを理解した上でセレスティア・ルーデンベルクのムーブを思い返してみると、「この女ほどギャンブラーとして勝負に出るタイミングが完璧だった奴はいないんじゃないか」という気持ちになってきたのである。

多分、今更私がこんな話しなくてもダンロンが好きな人からしたら「そんなこと分かり切ってるでやんすよ」と言われてしまいそうだが、ハンドラ発売も迫りつつある今、なんかダンロンについて語り出したいモンスターになってしまったのでお付き合い願いたい。


・そもそもセレスはどうして殺人を犯したのか


セレスは何故殺人を犯してクロになったのか。その理由は第3章の学級裁判が終了し、セレスがオシオキにかけられるまでの会話の中で語られる。モノクマから提示された殺人の動機である「100億円」が欲しかったのも勿論だが、一番の理由は「そもそも最初からこの学園から出たくて仕方がなかった」というものだった。私はプレイしていて当時この発言にはかなり驚かされた記憶がある。何故ならセレスは第1章から徹頭徹尾「この学園で生き残る為には外に出ることなど考えず、この学園での共同生活に適応すること」というスタンスを保ち続けており、その上で「夜時間は外出禁止」というルールを設けてまで秩序側の立場にいたからだ。
ただ、最初からずっと学園から出たかったのであれば、第1章の時点で殺人を起こし、学級裁判に勝利して早々に学園を卒業するという展望もあったんじゃないだろうか?実際、第1章でモノクマから殺人の動機が提示された際、舞園さやかは「何をしてもここから出たい」と即座に殺人の計画を立て、学園からの脱出を試みようとしていた。
実際、このダンガンロンパというゲームのコロシアイ学園生活に於いて、学園からの脱出を試みるなら最初に事件を起こす方が生き残れる可能性は高い……と私は思っている。何故なら章が進めば進むほどにクロとシロ(犯人と被害者)となった者が脱落していき、次の殺人が起きる時には犯人候補が前回の学級裁判と比べて最低でも2人減った状態からスタートするからだ。
単純計算でも、希望ヶ峰学園78期生で第1章の学級裁判に参加した生徒13人の中から1人のクロを見つけるよりも、第3章の学級裁判に参加した生徒8人の中から1人のクロを見つける方が、万が一当てずっぽうで適当に指名するとしても確率が高いことは明白である。
ギャンブラーであるセレスがこんな簡単な確率論を見落とすとは思えないので、セレスが本気で外に出たい!と考えるのであれば、第1章で早々に事件を起こした方が外に出られる可能性は高い……と個人的には思う。

勿論、セレスもこの時点で殺人の計画を練っており、決行する前に舞園さやか(結果的には桑田怜恩になってしまったが)が先に事件を起こし、それどころではなくなってしまった……という可能性もあるのだが。

・それでもセレスは第3章でクロになるのが最高のタイミングだった


これは物凄く結果論の話だが、「犯人候補になる人間が多い第1章」で事件を起こさず、第3章で事件を起こしたことがベストタイミングだったと個人的に考えている理由。それが第3章の殺人の動機である「100億円」である。

セレスが「他の誰よりも外に出たかった」と言っていた理由は、自身の人生のノルマと豪語した「西洋のお城に住むこと」という夢を叶える為だった。
今までギャンブルで稼いできた金と、殺人の動機である100億円を使えばその夢を叶えられると思った、と彼女は発言しており、モノクマが提示した殺人の動機は彼女にぶっ刺さったことになる。

もう至極単純、この100億円を手に入れるチャンスは第3章しかなかったからセレスがクロになるには最高のタイミングだった、といっています。

セレスは「他の誰よりもここから出たいと思っていた」と発言しており、もし彼女がその発言通りに第1章の時点で舞園さやかよりも早く殺人の計画をまとめ、実行に移しクロとなっていた場合。もし学級裁判にも勝利し、晴れて卒業として学園を脱出することが出来たとしても、その場合100億円を手に入れることは出来ず、彼女の夢を叶えることは出来なかったことになる。まあその場合でも外に出てからギャンブルをやりまくって稼ぐんでしょうけども。

セレスがこのコロシアイ学園生活そのものをギャンブルとして捉えていた場合、第1章で行動を起こさなかったというこの状況を、「モノクマから100億円という動機をBETさせるまで、自分がクロ指名される可能性をコールした」と言い換えることが出来るんじゃないだろうか。

先程も述べた通り、これは完全に結果論の話である。当然ながら当時のセレスに「ここまで動かなければ次の動機に100億円が用意される」と把握出来るはずが無いし、本当にたまたまそうなってしまっただけとも考えられる……というかまあたまたまそうなっているんだと思う。だが忘れないで欲しい、このセレスが登場する作品はダンガンロンパであり、ダンガンロンパで展開されるコロシアイ学園生活の参加者は皆超高校級の才能の持ち主なのである。

・超高校級の才能を何処まで信用するべきか

ここまできたら最早こじつけの域に入ると自分でも解っているが、「そういう考え方もあるよね」くらいに考えて欲しい。オタクの妄言です。
ダンガンロンパに於ける「超高校級の才能」は割とマジで人間離れしていることが多く、だからこそ可能なトリックも多々見受けられる。中には最早超能力と言っても差し支えない程の才能も存在しており、彼等が真の意味で天才であることが伺える。
今回話題に挙げているセレスティア・ルーデンベルクは「超高校級のギャンブラー」であり、その名の通り彼女は賭け事に於いては負け無しだったらしい。ただ残念ながら作中でそのギャンブラーの才能を発揮するシーンを見ることはなかった…………

…………本当にそうだろうか?

先程も書いた通り、超高校級の才能には超能力地味た概念的な能力も存在する。例を挙げるならわかり易いのは狛枝凪斗の「超高校級の幸運」だろう。本人が意図せずとも自身にとって幸運な出来事が起きるという、凄まじい能力である。この超高校級の幸運を最大限使った結果とんでもない事件が生まれるのだがそれはまあ別として。
セレスと同じ78期生だと、「超高校級の探偵」である霧切響子も概念的な能力を所持していた。死神の足音が聞こえるという彼女は、その足音を辿れば事件に出くわすことが出来るという、米花町に行けば足音だらけでノイローゼになりそうな超能力を発揮し、苗木誠のピンチを救ったこともあった。

この超高校級の幸運、超高校級の探偵の二つの才能に共通するのは、「本人が意図していなくても能力自体が持ち主を超高校級の才能たらしめている」ということだ。狛枝凪斗は何もしなくても幸運になるし、霧切響子が何もしなくても死神の足音は聞こえてくる。
なら、セレスの「超高校級のギャンブラー」ももし「セレス本人が意図せずとも彼女を超高校級のギャンブラーたらしめている」ような能力であると仮定するなら。セレスは「自分が勝ち残った時に最もリターンが高いタイミングで勝負をかけられるように能力側が彼女を動かす」という可能性もあるのではなかろうか。

言わば、セレスは「100億円を手に入れられるタイミングで勝負をかけられるからこそ超高校級のギャンブラー」なのではなく、「超高校級のギャンブラーだから100億円を手に入れられるタイミングで勝負をかけられた」のだと。私はそうなんじゃないかと思う。

・ではどうしてセレスは最後に負けたのか

あまりにも身も蓋もない言い方をするが、もうこれはシンプルに学級裁判はギャンブルではなかったからと言う他ならないと思う。

ただ、思い返せば捜査シーンまで含めて、セレスに有利になるように世界は働いていたように思える。第3章では78期生で最も捜査や推理が得意である霧切響子は殆ど捜査に参加することが出来ず、次に頭がキレる十神白夜も、苗木誠と会話をするまでは事件の真相に気付いていないような素振りだった。特に霧切が隠し扉を見つけて別の捜査をしていた為、セレスが起こした事件の捜査に時間がかけられなかったことはセレスにとって圧倒的な追い風だったように思える。これも或いは超高校級の才能の副産物と考えてもいいのかもしれない。

もう一つ考えられる可能性が、「苗木誠が生きていた為にセレスは敗北したのではないか」というものである。これは特に多分皆さんも妄想したのではないだろうか?
端的に言えば、「超高校級のギャンブラーと超高校級の幸運が対決したら、幸運の女神はどちらに微笑むのか」という問題である。
実際、セレスの通信簿を埋める最中の会話で、セレスは苗木に対して「私達が運の絡む勝負をした時どうなるのか興味がある」という旨の発言をしていた記憶がある。勿論学級裁判は運が絡むようなものではなく、あくまでもトリックを使った騙し合いや裁判中の弁論、捜査の正確性等が要求されるものではあるのだが……明確にセレスよりも苗木の方が運が絡む場合は上になるという前提が組まれているとするなら、第3章までの時点で苗木が死んでいない時点で、セレスは必ず勝てないというロジックが完成することになる。
ちなみにこの理論を通すと「セレスティア・ルーデンベルクは完璧なタイミングで勝負をかけた」という前提がひっくり返るのであんまり個人的には推していないです。身も蓋もないけど「学級裁判はギャンブルではなかったから負けた」説を推しています。


ここまで長々と書いてきたが、結局私が言いたいこととしては「安広多恵子」とか「どっひゃ~」とかがピックアップされがちなダンガンロンパ第3章だけど、セレスティア・ルーデンベルクは確かに超高校級のギャンブラーだったし、間違いなくその勝負勘はホンモノだったと言いたかっただけなのだ。

あと個人的によく語られている印象がある彼女のオシオキは本当に尊厳破壊として完成度が高いと思っているので、もっといろんな人の意見を聞いてみたいと思う。個人的にはあのオシオキは「水を差す」という行為が一番えぐいのよって話を聞いた時になるほどなと思わされました。


ここまでセレスのことを5000文字以上に渡って語ってきましたが、私が78期生で1番好きなのは十神白夜です。よろしくな。

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