脳の「短期記憶」について
【成績が上がらないのは、脳の容量なのか?】
脳の「短期記憶の容量(?)」が小さいと
新しいことが覚えられないので(忘れやすいので)
成績は上がりにくいのかも?のお話です。
忘備録としても書きました。
いっしょに考えて頂けたら幸いです。
参考になりましても、幸いです。
これは、個々によるので、一概には言えないのですが
こういう傾向もある、という情報としてご活用ください。
もしかしたら、ご自身も、楽になるかもしれません。
for 保護者さま・諸先生方・子供たちに関わる大人の方々
【中3の女の子のお話(普通学級)】
・小学生の頃からお勉強に意欲的
・中学も、宿題である「家庭学習」を毎日欠かさずする
・1週間で30枚のノート1冊を使い終わしてしまう
・学校のワークを3~5回はやる
先生である私も驚くような量で
1日に3ページは当たり前のレベル。
大量の「家庭学習」をやってしまいます。
この量は、ほんとうにすごいです。
こういう生徒さんを、初めて見ました(笑)
「この子はどれだけ出来るのだろう?」
最初に思ったことは、これでした。
ここでの「出来る」は2つの意味があります。
①どれだけ、点数が高いのだろう?
これだけくり返しているのだから、ほぼ満点を取れるだろう。
②どれだけの量が、彼女の限界なのだろう?
どこまでの量をこなすことが出来るのだろう?
初めての生徒さんに、驚きと期待がふくらみました。
【現実の点数】
ところが。
学校の定期テストなのに(標準的な問題が多いテスト)
私と出会った当初は、300点台/500点満点
だと、いうのです。
「えっ?!?」
逆に、びっくりしてしまいました。
・・あまりの点数の【低さ】にです。
ほとんど全ての問題集を、くり返し解き続けているのだから
100点を取れても、不思議ではありません。
でも、現実には、100点が、取れていない。
「これは、どういうことだろう???」
私の頭は、疑問で(理解不可能状態)いっぱいでした。
そして、このことについて分析・解明が始まります。
プチ分析
3~5回も、くり返し解いている。でも、100点が、取れない。
→ では、間違ったところを、しっかり理解せずに、ただくり返してる?
(間違い・ミスについて、きちんと向き合い、考えていない)
(例)
・計算ミスだった
・練習不足で、覚えてない
・スペルが正しくない
・授業で聞いたけど、忘れていた・等
と、自分自身で、ミスを認識していない可能性がありました。
要するに、間違った問題を、そのまま放置している訳です。
放置したら、できるようになるわけがありません。
できないものは、できないままです。
そう分析した私は、彼女に間違ったところについて、アドバイスしました。
「間違ったところは、なぜミスしたのか?ちゃんと考えよう」
「間違ったところを、必ず出来るようにしよう」
そのアドバイスの結果、次の定期テストは
100点程、点数が上がりました。(全5教科・教科平均20点UP)
それでも、430点位
満点には、ほど遠い結果でした。
それでも、本人は努力していたので、ちゃんと褒めました。
職員室でも、彼女の成績上昇は、話題になったそうです。
先生からも褒められたようで
(成績が上がっている訳ですから、当たり前なのですが)
本人も喜んでいました。モチベーションもUP。
私は、不完全燃焼の感覚で
「何で?何でだ??」と疑問が残っていました。
そして、不安もありました。
【不安が的中した】
そして、受験生の今年。
私の不安が、的中してしまいます。
県の有名な模擬試験が始まりました。
6月・8月・10月・11月・12月・1月に開催されます。
6月から受験しましたが、結果280点/500点満点・5教科
現在の時点で、3回分の結果が手元にありますが
ほぼ、結果が変わらない(点数が上がらない)のです。
280点と言えば、1教科の平均点は56点(!?)(5割強)(T_T)
400点(平均80点・8割)は、あと120点(1教科につき24点)
・・・とても遠い。遠すぎる。
今現時点で、すべり止めの私立高校の志望校について
中学校で、三者面談が終了しました。目標の学校も決まりました。
しかし、上がらない成績に、親御さんは怒っているようで
「がんばってないじゃん!」と言われたようです。
彼女は、涙をポロポロとこぼしながら
初めて本心をお話してくれました。
「模試のときは、終わらせなきゃ!と焦ってしまう」
「見直してる時間は無い」
「がんばってない。成績上がってないから」
自信をなくして、元気もありません。
ふつうに勉強は続けているようですが。。。
私は、徹底的にお話を聞きました。
初めて、胸の内を語ってくれたのです。
先生としても、チャンスです。
彼女の気持ちを知りました。
「とにかく焦ってしまう」
「不安が大きい」
この状態で、自分の本領を発揮できるわけがありません。
模試ですから、定期テストよりは、かなりレベルが高い問題がでます。
応用問題や、解いたことが無い様な、むずかしい問題。
じっくり腰を落ち着けて解かなければ、解けるはずがありません。
あせる。時間が気になる。不安がある。
この精神状態では、まず無理でしょう。
悪循環なのです。
これが、現在の状況です。
さて、ここからが私の本領発揮のターン(笑)
分析を徹底的にして、対応策を考えなければなりません。
今回は、メンタル面は、省きます。
【分析開始】
考えてみました。
①脳の容量(短期記憶)について。
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(例)
教えているときに、気になることがありました。
今、ミスした問題があります。理科の星の動きについて。
それについて、解説しました。仕組みをいっしょに確認します。
①新しく習ったもの(間違ったから)
北極星は、反時計回りで動く。(左周り)
反時計回り・1時間に動くのは15°
9時間後の、北極星の位置は?
②新しい問題
そこで、理解したか?覚えられたか?の確認で
星の動きの問題を新しく出題します。
③結果
正解できませんでした。
反時計回りを間違いました。時計回り(右周り)で求めたのです。
今、習ったことを、やらないで
さっきやってしまった間違った方法で、再度解いた。
そして、再度まちがった。
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【私の考えたこと】
これは、一時的に記憶をする
前頭葉・短期記憶に関わることだと考えました。
・1度「時計回り・右周り」で考えてしまったことが(覚えてしまった?)
まだ残っており
・新しく習った(知った)正しいこと(反時計回り)が
入っていない(残っていない)可能性が考えられます。
=「修正」が出来ていないのです。「書き換え」られていない。
これは、困ったことです。
【仮定】根拠になる情報
他の生徒さんから、聞いたのですが
何か他のことをやっていると(問題を解いているとき)
注意しなければならないことを、思い出せない。忘れてしまう。
多分、忘れているんだと思う。
というのです。(これもびっくりしましたが)
だから、同じことをやって、同じミスをしてしまうのかな?
と仮定しました。
【理由】
だとすると、こういうことになります。
パソコンでは、RAM=メモリ=机の広さ
と聞いたことがあります。
「脳の」机の広さ=メモリ が、せまいのかもしれない。
狭いから、1度出したものは、消さないと
次のものを出せない(のかも?)
こう考えてみると
この生徒さんの言っていることが、理解できます。
①1度だしたもの=新しく覚えたもの
②次に出さなければならないもの=新しい問題
②「新しい問題」は、
①さっき習った「新しく覚えたもの」を使うのに
【1度しまう】=「消す」ことをしないと
②「新しい問題」を、解き始められない。
出せる場所(机の広さ=メモリ)が、狭いから
直前の記憶を消して、次を出す。
うーむ。この仮定が、正解だとすると
机の広さを、拡張しなければ、なりませんね~(遠い目)
【結論】
人は、個人それぞれの短期記憶の容量(広さ)がある。
ということが、分かりました。
勉強すれば、成績が上がる。
勉強しないから、成績が悪い。
とは、言えないこともある、ということですね。
短期記憶が、どれだけ広いか?=容量?広さ?
これが分かるだけでも、大きな進歩です。
これを元に、色々なことに活用・対策・応用できるからです。
【補足】
実は、発達障害の生徒さんとのお勉強で
このことは、経験してきました。
自閉症スペクトラムの生徒さんが多いのですが
脳機能の面で、いろいろなものをお持ちです。
だから、特にお勉強のことに関しては
長期的な目線をもち(最長7年)
いっしょに、励ましながら、がんばってきました。
しかし、今回のお話は、発達障害の生徒さんでは、ありません。
だからこそ、誰にでも当てはまるかもしれない。
このことを知ったら、みんなが「楽」になれるかもしれない。
(生徒さん側も、大人側も)
そういう思いもあり、書かせて頂きました。
【新たな課題】
じゃあ、その生徒さんにとって
机の広さ拡張は、どうやれば?何をすれば?
拡張できるのでしょうか???
これが、私に課せられた新しい「課題」になります。
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