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太陽とシスコムーンと私

1999年に人気番組ASAYANからデビューし、2000年10月に解散した4人組グループ、太陽とシスコムーン。7月に、その結成25周年記念ツアー最終日に参加してきました。

・太陽とシスコムーンとは

太陽とシスコムーンは、1998年にモーニング娘。がデビューした翌年、つまりLOVEマシーンが大ヒットする数ヶ月前、アメリカでのレッスンやオーディションを経て結成されました。サンフランシスコで行われるレッスンでは、洋楽を歌い込み、厳しいダンスとボーカルの磨き上げが行われていて、当時中学生だった私は、その歳なりに、アイドル・モーニング娘。が生まれるときとはまた違う、カッコいい音楽が生まれる予感を、画面の中から感じて番組を見守っていました。

↑デビュー曲「月と太陽」 

元体操選手の信田美帆さん、当時一児の母で民謡歌手の小湊美和さん、台湾出身で歌手のRuruさん、吉本興業系のアイドル経験者である稲葉貴子さん。とにかくアイドルの枠にはまらない個性豊かなメンバーと、プロデューサーつんくさんのこだわりがギュッと詰まった音楽。
た。
やっとデビュー曲が世に出ると、当時14歳だった私は大人の恋を歌った歌詞と、色気やねちっこさの詰まった音やリズムにドキドキしながら、アルバムを聞き込み、テレビ画面を見つめていました。
分類としてはアイドルだったのか、女性ボーカルグループだったのか…
とにかく、音楽に関心を持ち始め、恋愛経験のなかった当時の私に、太陽とシスコムーンのちょっとちょっとヘンテコでセクシーでカッコいい独自のスタイルが、突き刺さったのでした。

↑曲はかっこいいのにMVの世界観がぶっ飛んでいる「宇宙でLaTaTa」

・ガタメキラ
彼女たちの曲には、ASAYANの番組のなかで生まれた名言を歌詞の中に取り込んでいるものもいくつかあります。
たとえば2ndシングル「ガタメキラ」の中には、レコーディング中につんくさんがメンバーに放った「案外セクシー」と言う言葉が自然に盛り込まれています。

普遍的にかっこいい音楽をつくりながら、オンタイムでテレビを見ているひとの心もくすぐる。そんな工夫やいたずら心が、あちこちに溢れていました。
「ガタメキラ」という怪獣のような曲名も、「Gotta make it love」という言葉の短縮系。「モーニング娘。」や「メロン記念日」などのグループ名をはじめ、いつも少しへんてこりんで斬新なタイトルで人の目と心を惹きつける、つんくさんらしい曲名だな、と思います。

この曲の歌詞は、浮気性か心変わりの早い恋人に「こないだの女より 強い目で抱きしめて」と歌う刺激的なもの。
当時の私はこの曲のサビの最後の「そうよ女だって Wow wow wo Ahaha」という歌詞の部分に、恋愛にふりまわされずにいられない、でも強い女でありたいとどこかで願う、切ない大人の女心を感じて、何か映画を見ているような、将来こんな思いをする日が来るのが怖いような、そんな気持ちで繰り返し聴いていました。
歌い出しから爆発するフェイクの歌声や、ファンキーなリズムと音の運びは、令和になった今聞いても、まったく古くなったと感じません。


・ Everyday Everywhere

私がいちばん好きな曲です。バラードのようで、絶対にアイドルの域には入らないような、リズムの効いたおしゃれな楽曲。4人の抑制の効いた、でも心を込めた圧倒的な歌唱力。決してしっとりとしすぎない、リズムの立ったダンス。 何より歌詞の中に宿る、孤独で切なく切実な女心に胸がきゅっとなります。
以前幸運にもつんくさんの企画されたオンラインの交流会に参加し、直接質問する機会をいただいた際、この楽曲と、モーニング娘。の「リゾナントブルー」が好きです、と勇気を持ってご本人にお伝えしたことがあります。
そのとき、つんくさんはその2曲は同じ世界観や心情を曲に込めたものだった、と教えてくださいました。
どんなに大人になったようでも、心の中にある、人を求めずにいられない心。温もりを求めずにいられない夜の寂しさ。 この曲は、ライブで聞くとさらに胸に迫るものがあります。

25周年記念ツアーで見た気迫と美しさ

そして先日、横浜で行われた結成25周年記念ツアーに福岡から参加しました。しっとりとしたコンサートには行ったことがありましたが、歌って踊る彼女たちを間近で見る単独ライブは初めてでした。
そこで彼女たちが見せてくれたのは、ほかでもない、進化し深みの出た太陽とシスコムーンの最大値でした。
日頃、「今日がこの先の未来で一番若いんだし」と言い聞かせて生きていても、どこかで自分が歳を重ねることや、何かブランクがあることが、やりたいことをやらない理由になってしまうこともありますが、ステージの上の3人は、そんなことは微塵も感じさせないプロとしての表情で、踊り、歌い、輝いていました。
最近別名義で出した新曲「ディスコ・クレオパトラ」も披露され、一度解散した彼女たちが、今尚再結成するごとに進化系で煌めいていることに衝撃を受けました。
アンコールの「Magic of Love」では、皆がこの時を楽しんでいる感覚と、「本物をやっと見られた」という感慨で堪えきれず涙まで出てしまう始末でした。

私は普段、セミナー講師をしている時、自分は一種のエンターテイナーだ、この場にいる人を笑顔にするし、楽しかったと思ってもらいたい、と講座を行っていて、ナマモノのその場をとても大切にしています。
でも、今回のライブを見て、その「見よ!これが私たちだ!」という気迫に、まだまだ私はひよっこで小娘で、やれることもあるし、覚悟を決められる、と帰り道で気合いを入れ直したし、
物書きとしても、何歳になろうが、どんなにブランクがあろうが、表現したい気持ちを忘れまい、と思い直しもしました。

とにもかくにも、太陽とシスコムーンを大好きでよかった、そう思える25年間。
アルバムは2枚しかなくても、歴史は短くとも、代わりのない素晴らしいアーティストです。

そして太陽とシスコムーンを聞いていると、思うのです。

正直で強い、無様さも格好良い女に、なりたい。



…そこに端を発して、ハロープロジェクトのアイドルもずっと大好きなのですが、またその話は別のチャンスに。


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