サステナブルコスメ NEMOHAMOの裏側
京都の北の方。
植物が持つ最大限の力を活かし、サステナブルな精油作りを行っている工房があります。
その工房はサステナブルコスメNEMOHAMOの原料を作る工房でもありました。
NEMOHAMOのコンセプトは
”植物まるごとのちからを肌へ”
その名も植物の根も葉も(NEMOHAMO)まるごと肌へ届ける。
それを叶えているのは京都の京北にある小さな工房でした。
小さな工房「杉乃精」
京都駅から京都バスに乗って一時間半。
山道を進んでいったところ。
田んぼが広がる田園に、煙突から水蒸気があがっている工房が見えてきます。
ゆずやハーブの香りがして、ようやくこの場所でアロマが作られていることに気がつきます。
循環型アロマ製法
そのアロマを作っているのは杉乃精という会社。
杉乃精では通常では廃棄される間伐材やジュース用の柚子を、精油の原材料として活用しています。
他にも使われている原料は季節によってさまざま。
(杉、ゆず、ひのき、白華、じゃばら、ホワイトセージ、黒文字)
冬に旬のゆずは、もともと美山の方で使い道がなく田んぼにまかれ廃棄されていたもの。
今では杉乃精が買い取りをおこない、新たな雇用も生み出しています。
さらに、精製された後の原料の絞りかすは、腐葉土となり土に還る。
杉乃精が注目されているのは、素材の力を活かすその蒸留方法。
この蒸留装置を所有するところが少なく、
全国から精油精製の依頼が絶えず、委託販売の注文が殺到しているそう。
社長の村山さんは全国から教えを請う声に応え、全国各地に第2の杉乃精(eg, 山梨、群馬、千葉、徳島、島根)を誕生させています。
水は地下水を使い、薪は残材や流木を使用。
毎日、社長の村山さんの手によって、火加減が調整されます。
ラーメン釜を使った手作りの蒸留装置からも、村山さんの自然な形にこだわった精油作りに対する情熱を感じることが出来ます。
そして完成した精油、副産物としてのフローラルウォーターは
まさに、原料がカタチを変えただけのように香り高い。
手つかずの自然 里山
杉乃精のアロマは「自然からの贈り物」
自然は有限。
しかし、持続可能な循環を作ることで、自然の恵みを生み出し続けることができます。
杉乃精からトラックの荷台に乗って約5分。
そこには自然の力のみで出来上がった手つかずの里山が広がります。
社長の村山さんはこの場所を「手つかずの宝の山」と呼びます。
ここには、至る所に杉や松、黒文字が生息しています。
植林されたものではなく、広葉樹として育った植物は枝打ちで手入れされても、また何度でも生えてくるそうです。
この里山の植物のように自然に受粉して、自然に芽吹くことは奇跡に近い出来事。
”長い年月、人の手が入っていない
手つかずの自然”
どこかいいことのように聞こえるかもしれませんが、自然を大きく丈夫に育てるためには、整備は必要なんだそうです。
里山がより大きく育っていくために整備を行い、
その際に出る間伐材を杉乃精で使用しアロマを作り循環させる。
里山にとっても杉乃精にとっても、損のない話。
しかし、そうはできない理由があります。
この里山は京都市の所有物であり、整備することはもちろん、枝一本持ち帰ることは出来ないそうです。
そのままの自然を残すことは大切。
しかし、自然の循環を生み出しながら、自然の恩恵を受ける。
それは自然と共存していくための一つの方法なのではないか…。
と里山を背にトラックの荷台に揺られながら思いました。
体験ツアー
杉乃精では循環型の杉乃精のアロマ作りを知ることができる体験ツアーを行っています。
わたしが体験した足浴・染め物をご紹介。
足浴
アロマを精製した後に出る原材料の絞りかすを使った足浴。
12月に伺ったので旬のゆずで行いました。
蒸されたばかりのゆずの中に足を入れる体験は初めてでわくわく。
そのままだと熱すぎるので水で冷まします。
熱を帯びたゆずは熱くて15分ほどは足を入れることが出来ませんでした。
自然の力であたためられた足。
ゆずの香りや精製中のハーブの香りに包まれて行う、足浴は究極の癒やし時間でした。
染め物
こちらも精製した後の絞り汁を使っての染め物。
沸騰した絞り汁に染めたいものを投入するだけ。
今回はゆずとホワイトセージで染めてもらいました。
約10分ほど待って完成。
ゆずで染めた生成り色のオーガニックコットンのトートバックは、やさしい黄色に。
ホワイトセージで染めたオーガニックコットンのTシャツは、ほんのりとグレーに。
そして、自然からの贈り物。
ゆずやホワイトセージの香り付き。
季節によって足浴や染め物で使える材料は変わります。
自分が自然の中の一部であることを実感することができる。
それが、杉乃精の体験ツアーの最大の魅力。
自然の力を活かし尽くす
杉乃精の村山さんがおっしゃっていた
「自然の中に自然なものづくりがあるのがいい。」という言葉。
わたしたちは便利な社会システムを求めすぎています。
自然が持つ力は偉大です。
どれだけ技術が発達しても、自然が生み出す力に勝るものはない。
自然の中で生きるわたしたちにとって一番やさしいものは、自然に作られたもの。
杉乃精のビジネスは、自然なものづくりは自然にあるものだけでまかなえることを、教えてくれます。
廃棄される間伐材や植物から自然の恵みのアロマをいただくことができる。
捨てる前の絞りかすによる足浴や染め物体験で、心身ともに癒やすことができる。
そして、腐葉土として最終的に土に還すことが出来る。
杉乃精が行っている自然の中での循環型のものづくりこそが
自然そのものなのだと感じました。
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