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Poem)眠り苔


眠り苔という苔があって
お正月になると
1日だけ光りだす

眠り苔が自生する
昔ながらの村。
眠り苔が屋根を
覆っている

どこの家も、人々は
寝入っている伝説の村

初老の郵便配達人が
正月2日の朝だけ
この村を訪ねるのだが

屋根の苔は光だし
村人が家の外で
おめでとうと
挨拶を交わしている
眠り苔に守られた村

1年に1日だけの目覚めを
悲しむことはなく
祝福の記憶を重ねていく

この星に殺戮があることも
憎しみや恐れや
偽善や裏切りがあることも
知っていて
愛があることも
知っていて

眠り苔の村は
星の希望の灯りをともして
光の心臓のように
呼吸している


#詩   #現代詩



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