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羽ばたくものが告げる…
畏れとは、心の奥の細胞が記憶しているものだから、闇雲に見えぬものをそれ以上は恐れる必要はない。畏れるもの、それは唯一の真実である。人の世の混迷の落とし穴、欠落に感じるフェイクの影。邪悪な名を信望する矢の芯は、命の輝きを放つものを、決して貫くことはできない。見る見る枯れ木の枝のように朽ちていくのに違いない。
人間の近くに来ては囀る鳥、鳥の声の意味が聞き取れないのは何故だろうと思うのだが。そんな時、では雨の音に意味を考えているか、と自分の胸に尋ねてみるのだ。音のする方へ、光が差してくる方へ顔を向けてしまうように、鳥の声がする方へ私たちは向きを変えている。
人が作り出す幻影の畏れとは何と多いことか、何と人は多く偽善者の服を着ようとするのか。真実からから遠のくために。畏れとはひとつだ。命を頂いているという場所に立つこと。そこから歩けばいいのだと、羽ばたくものが告げる。