マガジンのカバー画像

Poem

169
Arimの詩…風のなかを通り過ぎる時、今日はどんな風景が広がるだろう…。それは、林の中を吹く風とは限らない。街の中を吹く風、貴方との境界を渡る風。…詩と歩く。
運営しているクリエイター

2019年7月の記事一覧

Poem )影

Poem )影

道の上に、影ができて
夏の陽射しがあまりに暑いので
影の下に、少し立ち止まりたくなる

影は 街路樹の時もあれば、
電柱だったり
古い家の角だったり
前を歩く人の後ろ姿だったり
舞い降りる小鳥であったり

空を吹き抜ける風にも
実は、影があり
透明な影は
私たちに日傘をさしかけるように
すっと涼しい時を広げて
通り過ぎる
#詩 #現代詩

Poem)夢

Poem)夢

鳥や虫に羽があるように、
動けないはずの植物は、
種子に羽を送った。
長年土の中で見ていた夢が
花を咲かせて、
花はお礼にその夢を
鳥や虫に分けた。
種はもっと遠くに
植物の夢を届けに旅たち。
何万年もの種を眠らせる
土の夢の上を、
人間も今日歩いている。
#詩 #現代詩

Poem)日付け変更線を越える頃…

Poem)日付け変更線を越える頃…

日付け変更線を越える頃。
日暮れの詩を書こうか。
会えない時間に、朝咲いた花は萎れ、
鳴き方を練習していた鳥は南へ下った。
傲慢な声を立てていた人間の轟音の
横にも、風は通り道を作っていた。

緑の陰に座り、目を閉じる野良猫の、
小さきものの気配も聞き分ける耳を
探して。
側にいって、明日の花を咲かせる
何者かの美しい足音を一緒に
聞かせてもらいながら、
それは深夜の半分夢を見ながらの
時間に、1

もっとみる
Poem)空白の…

Poem)空白の…

空白の空白の空白の、
いえ、どこにも空白などない連続面の地表に。
今日を歩く、
点をつけるように、線を伸ばすように
明け方の雨のように。
降っては乾き降っては消えて。
それは生きるリズム。
話し続ける鳥や魚、
みんなの声を聞いている、
声というのは空気振動だけど
きみたちの内なる声は
どんな波動となって
聞こえてくるのだろう。
見えない人の心は
空の鏡に映されて風が運んでいる
きみのため息や
伏し

もっとみる