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新体操の採点問題: 芸術と競技のバランス

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新体操の始まりは、18 世紀のドイツまでさかのぼります。当時、体操(Gymnastik)は主に女性や少女向けの身体教育の方法として扱われていました。その主な目的は体操の動作で女性や少女の身体能力を発展させ、健康的な身体を作ることでした。その新体操は、時代を経て、現在はオリンピックの正式種目として認められています。

しかし、新体操の今の採点には問題点があります。それは新体操は絶対的な数字(試合で実際に入れた得点やタイムを競う)スポーツではなく相対的な数字(審判員の評価による得点)で競うスポーツだからです。オリンピックや世界選手権などの大きな大会での試合結果は、審判員の判定や評価が大きな影響を持ちます。なので、選手たちは「芸術」として観客を魅了することよりも、いかに高得点を出すかに集中します。

以前まで手具操作の価値が 7 点だったのに対し,2009 年度からは 10 点満点まで引き上げられた。そのため,徒手難度に加え手具操作までもが慌ただしくなり,曲を感じ表現しながら演技を行うというよりも,技の羅列という方がふさわしい状況になっている。また高得点を狙う選手は,価値点が高く,安全でやり易い技や手具操作を行うため,演技の内容がどれも似通ったものになってしまう傾向があることは否めない。

新体操の採点規則に関する哲学的研究

上の引用のように、審判員も「感動した」等で採点はしません。一つ一つの技に対して、「これを行ったら何点」「ここができていなかったらマイナス何点」など、決められた基準に沿って採点をします。そして選手たちは、審判員がどのように採点をするかをわかっているので、その基準に沿って高得点を取りやすい演技を行います。

現行のルールでは感動できる観点の大部分は採点規則から排除されてしまったということになる。人の心を動かす「芸術スポーツ」の採点規則のはずが,実際は人間の「感動」が入る隙間もなく,競技に精通した一部の人間にしか理解できない採点規則になってしまっているといえる。

新体操の採点規則に関する哲学的研究

「競技に精通した一部の人間にしか理解できない採点規則」というのは、新規のお客さんを呼び込むのには不向きです。新体操の競技を見たことがない人が、新体操の試合を見て「この選手が勝ったのはなぜか」というのは、なかなか難しいでしょう。

フィギュアスケートやアイスダンス、体操競技、ブレイキングダンスやスケートボードなどのストリート系スポーツ、お笑いのコンテストも、このような問題に直面する運命にあります。

ちなみに、バレエという別のスポーツを考えてみると、競技の要素を持ちながらも、その主要な目的は観客を魅了することにあります。コンクールや他の競技イベントでは確かに採点が行われますが、バレエの中心は劇場や舞台でのパフォーマンスです。

良い点数をもらいながらも、お客さんを楽しませる、というバランスをどう取るか、が難しいところです。

## 参考資料

新体操の採点規則に関する哲学的研究 by 村田由香里 · 2011

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なかにし ゆうり
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