登ること、走ること
結果的に多趣味(?)というか色々齧っている私ですが、登山歴は地味に11年目となりました。と言っても基本は夏しか山に行きません。特に泊まりがけの大規模な登山は今年は1回だけ。登山11年目にしてついに穂高連峰の一座、日本第三位の標高を誇る奥穂高岳にチャレンジしてきました。
今夏の登山
8月28日深夜から8月31日にかけて上高地から入山し、涸沢を経由して奥穂高岳を登ってきました。行程はこんな感じ。
◎28日
深夜 名古屋から出発
◎29日 快晴☀️
朝7:30 上高地バスターミナルからスタート
昼13:00 涸沢到着
この日は涸沢小屋に宿泊
◎30日 小雨☔️が降り続く/穂高岳山荘山荘より上は強風🌬
朝6:00 涸沢小屋出発
朝8:30 難所ザイテングラートを経て穂高岳山荘へ到着
朝11:00 穂高岳山荘で休憩後、雨風がやや弱まったところで奥穂高岳登頂にチャレンジすることを決定、出発
昼12:00 奥穂高岳登頂
昼13:00 穂高岳山荘に無事帰還
この日は穂高岳山荘に宿泊
◎31日 雨☔️時々小雨
朝6:00 強風と視界不良のため涸沢岳登頂は断念し下山
朝8:00 どうにかザイテングラートを降りて、涸沢小屋に到着
朝9:30 涸沢小屋を出発
朝13:00 横尾山荘に到着 天気予報を考慮して横尾山荘の宿泊をキャンセルし、今日中に下山することを決定
昼16:00 上高地バスターミナルに到着
本当は3泊4日で、3日目は山の中でゆっくりする行程だったのですが、初日以外はどんどん天候が悪化していってしまい、結局は2泊3日の山行となりました。
超絶大人気の山域である北アルプスは、登山道・山小屋・テント場等が非常に整備されていました。登山道は断然登りやすかったです。初日に宿泊した涸沢小屋の標高は2350mで、未だ森林限界(だいたい標高2500mくらい)を超えておらず、今回の山行では結構森の中を歩いている時間が長かったです。
この山域は結構岩の上を登ることの多いですが、雨が降っていたにもかかわらず思っていたほどは滑りませんでした。というか今回の山行では(おそらく初めて)滑って転けたりしなかったです。
もっとも、そもそも穂高連峰は難所の多い場所で、全く初心者向けではないことは断っておきます。特に、涸沢まではまだマシ(?)なのですが、そこからがやばいです。「ザイテングラート」と呼ばれる難所(岩登りをしないといけません。ハシゴ・鎖場があります。)をクリアしたのちにやっと頂上へ行く道の入り口に立てるのが奥穂高岳ですが、そのルートは穂高連峰の中で一番簡単なルートと言われています。落石注意の区間が連続し、ヘルメットが必須装備となる山域です。今回も落石・滑落・熊との邂逅に超絶ドキドキしながら、えっちらおっちらようやっと登ってきました。
「山小屋」の水事情
登山を普段しない方は「山小屋」にどんなイメージをお持ちでしょうか‥?一口に山小屋と言ってもその山小屋の位置する場所によって様々です。位置する場所の標高が高くなればなるほど「水」と縁遠くなります。あとは、水源に近いかどうか、雪解け水を利用できるか、雨水だけか、という違いもあります。
生命維持に欠かせない「水」。この水と関係の遠近がその山小屋での過ごしやすさを決めると言っても過言ではないのではないかと、私は思っています。
水に乏しい環境では、風呂⇒水洗トイレ⇒飲み水の順に利用できなくなっていきます。
まずは風呂!6時間くらい歩き続けて標高の高い場所にある山小屋に到着してもそこにはお風呂が無いことがほとんどです。もちろんシャワーもありません。ですが、気温は低いのでそのまま放置すれば汗が冷えて体温が下がります。なのでとりあえず汗を拭いて着替えるというのがデフォルトです。
次にトイレです。山中の山小屋は基本はバイオマストイレ、いわゆる「流さない」トイレで、拭紙はトイレではなく横に設置してあるごみ箱の中に捨てます。また、山中にトイレを設置・維持することはとても費用のかかることなので、普通はお金を払って使用します(大体どこも1回100円)。それでも、水場が近い山荘だと頑張って水洗トイレを設置してくれているところも増えてきました。バイオマストイレは独特のにおいがあって私はまだちょっと苦手です。
そして最後は飲み水です。宿泊者には飲み水を無料で提供している山小屋が多いです。水源から遠く浄化した雨水のみを水源とする山小屋の場合は、宿泊者といえども飲み水自体有料となることがあるようです。
始めて山小屋に宿泊する方は、事前にその山小屋に問い合わせて(最近はHPを開設していたりSNSで発信をしている山小屋も多いです)、事前に「風呂・トイレ・飲み水」については情報を集めておくことをお勧めします。それをもとに登山行程や荷物の量と内容を決めれば結構無駄なく計画を立てられるのではないでしょうか。
今回の山行で私が宿泊した山小屋は涸沢小屋と穂高岳山荘でした。ちなみに、水に関する情報はこんな感じ。休憩時にお邪魔させていただいた徳澤園は宿泊者・外来者用トイレ共に水洗でお風呂アリ、横尾山荘は外来者トイレはバイオマストイレでお風呂があります(宿泊したことがないので、宿泊者専用トイレがバイオマスなのか水洗なのかはわかりません)。
今回何が感動したって、穂高岳山荘が水洗トイレということ!!もちろん立地もあるでしょうが、標高2983mの場所でトイレが水洗って!!設置にも維持にもものすごくお金がかかっていると思います。山小屋の経営に携わっている方の努力の結晶ですね。本当にありがたいことです。
ちなみに、最近は登山中にスマートフォンアプリで地図を確認したりログを採ったりしている人も多いですよね。私はYamapを愛用しております。充電事情と言うのもこれまた山小屋によりけりです。宿泊者が自由に充電できるところもあれば、有料のところもあり、一切充電できないところもあります。携帯用バッテリーは必須で、山小屋で充電させてもらえそうならコンセントも必須です。私は携帯用バッテリーとコンセントが一体化しているタイプを愛用しています。ちょっと重いのが難点ですが、、、、。
歩く、登る、下りる、走る、生きる
今回は過去最大量の荷物を背負っての登山でした。なにせ 3泊4日分。下着類はどうしても毎日変えたいタイプなので、日数分の衣類、水分3.5L、2日目と3日目の昼ご飯(携帯食)に、お湯を沸かすための機械、寝袋、行動食、ヘルメット。何㎏になっていたのかはわかりませんが、確実に過去の登山の中で一番重たかったです。私の長期登山用リュックは40Lなのですが、パンパンでした。
これだけ重たい荷物を背負っていると、一歩一歩にも非常に気を使います。変な歩き方をすればすぐに疲れてしまい、とても6~7時間も歩き続けられるものではないからです。
登りは登りのしんどさがあります。股関節と大腿四頭筋の使い方を勉強させられます。下は下りのしんどさがあります。膝関節にうまく力を載せられるようにしないと、膝の周りの筋肉だすぐに悲鳴を上げます。そしてどちらも体重移動を上手に使えるよう、毎回試行錯誤しながら登り下りしています。
走ることでもそうです。定期的なランニングに取り組み始めたのはここ2年くらいですが、走るという行為はひどく根源的であって、なおかついくらでも工夫のしがいのある行為だと思います。走り方を知らないという人は滅多にいませんが、上手に走れているという人も滅多にいません。誰もが走るという行為を知っているのに、それが上手にできているかどうかはまた別の話なのです。日本人は日本語を喋れますが、すべての日本人が日本語を上手に使えるわけじゃないことと似ていると思います。
歩くこと、登ること、下りること、走ること。とてもシンプルな身体運動は誰もがやることができるけれど、うまくやるための工夫はいくらでもできることです。それは生きるということとひどく似ているなぁ、、、と思いながらの2泊3日の山行でした。
ちなみに、もう山に行きたくなっています(笑)。定年退職したら、長野に家を買って、登山と居合道と読書に耽溺する余生を送ることが私の夢です(笑)。
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