新種牡馬で優位に立ちたいPOGの記事Season24-25 ノーブルミッション編
この投稿は昨年末のコミックマーケットC103(冬コミ)にて頒布した「新種牡馬で優位に立ちたいPOGの本 Season24-25」に掲載しきれなかった種牡馬を解説・考察していく記事です。
今回はノーブルミッション編。
他の掲載馬は下記リンクよりどうぞ。
同人誌本編に関しては…
見たい!って方が多数ありましたら電子化なり考えたいと思います。
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ノーブルミッションの概要
父:Galileo 母:Kind 推定ミオスタチン遺伝子:CT or TT
2009年2月25日生 英国産 Juddmonte Farm生産
生涯競走成績21戦9勝
主な競走成績
2012
キングエドワード7世S GⅡ 2着
ゴードンS GⅢ 1着
セントサイモンS GⅢ 3着
2013
ファイネストサプライズS GⅢ 3着
ローズオブランカスターS GⅢ 3着
2014
ファイネストサプライズS GⅢ 2着
ゴードンリチャーズS GⅢ 1着
ハクスリースS GⅢ 1着
タタソールズゴールドカップ GⅠ 1着
サンクルー大賞 GⅠ 1着
ダルマイヤー大賞(バイエルンツフトレネン) GⅠ 2着
英チャンピオンS GⅠ 1着
ノーブルミッションの血統概要
1つ上の全兄Frankelは14戦14勝でGⅠ10勝を挙げた言わずと知れた名馬。
父Galileoは2001年英・愛ダービーを制する等GⅠ3勝重賞4勝を含む8戦6勝を挙げ、欧州を席巻した大種牡馬。
牝系からは本馬及びFrankelを除くと大きく目立った活躍馬はいないものの母Kindはリステッド競争2勝3着1回・GⅢ3着とブラックタイプを残している。
Sadler's Wells及びAllegrettaのもたらすスタミナ・底力をデインヒルの持つFair TrialとHyperion、Rainbow Quest・Stage Door Johnnyで増幅・昇華。
一方で突進力がありつつ瞬発力のあるMiswakiをBuckpasserクロスやRainbow Questの父父Red God-Menowから脈絡させ、同時に奥底に存在するMahmoudの血からNorthern Dancerの持つMumtaz Mahal的側面を引き出すことでスピード・瞬発力を補った格好。
牝系の奥底にはWar Relic-Man o'WarやBlandford・Phalarisも存在しており欧的スタミナや米的底力も有している。
全兄Frankelは比較的母方が前面に出ている雰囲気であるが、本馬はおおよそ半々くらいの父母の血統バランス感という感じだろう。
血統背景を踏まえるとミオスタチン遺伝子はTT型かなとも思えるがFrankelのことを考えるとCT型の可能性も全然あり得るので両方で考えることにする。
余談だが、欧州で多数の活躍馬を輩出した「Galileo×デインヒル」の配合系は日本で言うところの「ディープインパクト×Storm Cat」の様なものに近しい。
TT型の父Galileoに対してスプリント色の強くCC型と目されるデインヒル産駒の肌馬を配することで早熟性を高め、尚且つマイルから10F辺りへとシフトしていった欧州チャンピオンディスタンスへ対応する為のものと考えるのが丁度良いだろう。
産駒の配合ポイント考察
細かい配合のポイントを考える前に「今現在日本で主流の血統は欧米半々の混血或いはやや北米寄りな血統」が中心であることを押さえておきたい。
昨年の天皇賞秋、ジャパンカップ・有馬記念の上位入線馬を1/4程度に区切って見ても大体この傾向に収まる。
尚クールモアグループやゴドルフィン、アブドゥラ殿下率いるジュドモンドファームといった世界的競馬組織の出自の馬は米国産だけど欧州で活躍したり逆に欧州産だけど米国に移籍して結果を残したといったことが頻繁にある。
短絡的に「米・加産だから北米血脈」や「仏産だから欧州血脈」と決めてかかると痛い目に遭うことがあるというのはここに書き記しておきたい。
さて、その上でまず第一に考えたいことは「日本的な瞬発力の増強」ではないだろうか。
近年の日本競馬は主にモーリス産駒の出現によって先行力・追走力も求められつつあるが、基本的には終盤志向、いわば瞬発力志向の傾向にある。
そんな日本競馬に於ける一番の瞬発力源となるとやはり筆頭はサンデーサイレンスとなるだろう。
溜めて爆発力を発揮するRoyal Chargerを父祖とし、BlueLarkspurによるスピードを誇るサンデーサイレンスの父HaloはNorthern Dancerと同じく母母がAlmahmoudで共通する。
これにより爆発力を増幅させることで瞬発力を高める方向に持っていこうというところである。
ベタと言えばベタではあるが、タイキシャトル-Devil's Bagを含めこれだけHaloの血に富む日本競馬に於いてNorthern Dancerを立てつつ他の良さを引き出そうとなると流石に無視する訳にはいかないだろう。
ただ単に「サンデーサイレンスと組み合わせましょう」で終わってしまうと「キンカメ×サンデー」の様に単なるベストtoベストで終わってしまうのでもう少し踏み込んで考えたい。
そこで着目したいのがゼンノロブロイ。
ゼンノロブロイの母父マイニングはMiswakiと同じくMr.Prospector×Buckpasserの配合系であり、更に5代目にRoyal Chargerを持つ為Northern DancerとAlmahmoudで脈絡したサンデーサイレンスを更に引き立てることになる。
Buckpasser-Tom Foolを刺激する形でも良いのだが、Mr.Prospectorをクロスところにも1つポイントがある。
Mr.Prospectorの母父NashuaはNasrullahの産駒にあたり、ここがRoyal Chargerとニアリークロスの関係となる為、また1つ瞬発力源・スピード源として引き出す格好になる。
これの応用、というと大袈裟になるがアグネスタキオンの母アグネスフローラはNasrullahを4×5で持ち、ゼンノロブロイ同様Northern Dancerを含まない為パワー的にもなりにくいので良い組み合わせだろう。
また、サンデーサイレンスとノーブルミッションの父であるGalileoとの間で最も成功した言えるであろうディープインパクトについても触れておきたい。
ウインドインハーヘアの父Alzao内にあるSir Ivorでもってサンデーサイレンスの瞬発力・爆発力を高めたディープインパクト。
これによりHaloと同様のベクトルであるTom Fool・Red Godの瞬発力をAlmahmoudを絡めつつよりサンデーサイレンス-Halo的な瞬発力を増強することに期待できるが一方でLyphardの血を伴う為、母系次第ではデインヒル-Danzigを強調し、更にはNorthern Dancerの増幅に伴いパワー寄り・ダート寄りになる可能性がある。
ディープインパクトととの組み合わせを考える際はUnbridled's Songを絡める等より瞬発力に振りつつNorthern Dancerとのバランス感を考えるのが良いだろう。
これは同じLyphardを持つハーツクライにも言えることである。
尚、ディープインパクトと同血のブラックタイドはディープインパクトと比較するとLyphard的素養が強め。
これを逆手にとってDanzigと脈絡させることでダートの方向へ持っていくのも面白い手立てではないだろうか。
POGの+1
直接的なクロスから2~3歳春での活躍を見込む、という考え方でいくとデインヒル-Danzigをクロスさせるのが手っ取り早いだろう。
アメリカ産で多数の快速馬を輩出したDanzig、欧州並びに豪州を中心に父と同じくスプリンターを多く輩出したデインヒルをクロスすることでよりパワフルで早熟性がありつつスピードがあるところを目指すというのがここでの考え方である。
別の血を織り交ぜる場合はMan o'WarやWar Relic、Teddy等米ダート的な底力と加速力を誇る血を混ぜるのが良いと考える。
気性的にコントロールするのが難しくなる可能性が高くなるデメリットはあるが、早い時期から持てるスピードをフルに発揮させるというところでは否定するものでもないだろう。
この場合フジキセキやロードカナロアといったところをあてがいたい。