#いけぽぐ #いけぽぐ12th 勝ち上がり馬ザックリ血統レビュー Pt.3
本投稿はいけぽんさん主催による「いけぽぐ」の全参加者の新馬戦・未勝利戦を勝ち上がった馬の簡単な血統レビューとなります。
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全参加者の指名馬及び現在順位はこちらから
今回は8月分の新馬・未勝利勝ち馬の血統レビューとなります。
原則血統のみを鑑みた今後の展望がベースとなりますが、新馬・未勝利戦のレース内容を多少含む場合があります。
また、時節柄勝ち上がり後続戦した馬に関しては当分の間に限りレース内容に触れる可能性があります。
よろしければどうぞお付き合いください。
1.ラケダイモーン(ラルケットの2021)
父:レイデオロ 母:ラルケット
栗東 須貝尚介 厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(1/21生)
7/9 第3回中京競馬4日目 5R メイクデビュー中京 2着
8/5 第2回新潟競馬3日目 1R 2歳未勝利 1着
9/23 第4回阪神競馬4日目 9R 野路菊S OP 4着
指名者:妻鹿(メガ)氏(1巡目)
4代母スイートコンコルドは無敗の三冠達成を含むGⅠ7を挙げたシンボリルドルフの全姉にあたる牝系で、母ラルケットが輩出した活躍馬も数多く、2018年GⅠマイルCSを制したステルヴィオや本年のNHKマイルC2着となったステルヴィオの全妹ウンブライルやステルナティーア等がいる血統。
本馬はステルヴィオ・ステルナティーア・ウンブライルの3/4同血の弟にあたる。
CC型のロードカナロアから父がレイデオロに変わったことによりかなりスタミナ気質がつよくなったのがポイント。
そのうえで全体を通してMumtaz Mahalをベースとして組み立てられており、見た目の血統表以上に上手く配合されていると感じられる。
ベースのスピードはMumtaz Mahalにあるものの、Nureyev≒Fairy Kingの5×3とSeattle Slewの6×5がある程度血統表では前に出てくる為、中距離でスピードに乗ってから簡単に垂れない脚を使いそうだなというのが印象である。
本原稿制作中、野路菊Sに出走して4着。阪神外1800mらしく前半から流れた上で後半の末脚勝負という中で好位から進めるも前を交わせず後ろから差されて4着。
現状血統のスピードやスタミナのスケール感に対して身体が追い付いていない印象が強く、暫くは辛抱強く見守る必要がありそう。
或いは距離延長ないし息の入りやすい周回コースでどうかといったところだろうか。
2.ガイアメンテ(ミュージカルロマンスの2021)
父:ドゥラメンテ 母:ミュージカルロマンス
栗東 須貝 尚介厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(4/5生)
8/6 第1回札幌競馬6日目 5R メイクデビュー札幌 1着
9/2 第2回札幌競馬7日目 11R 札幌2歳S GⅢ 6着
指名者:くろいちご氏(3巡目)
母ミュージカルロマンスは2011年米GⅠプリンセスルーニーH、2012年BCフィリー&メアスプリントのGⅠ2勝を含む重賞4勝馬。
また、4代母Cricket Clubからは2000年米G1QエリザベスⅡチャレンジCを制したCollect the Chashを輩出している。
5代アウトブリードの配合ではあるが、母ミュージカルロマンスはBold Reasoningを4×5で持っており、これによってドゥラメンテ内のサンデーサイレンスを支える他Bold Reasoningの3代父NasrullarがMr.Prospectorの母父父を交えてMumtaz Mahalをベースにスピードを形成している。
また、母母CandleightdinnerがRelaunchの父父であるIntentionallyを4×4を持つ為直接クロスはしないものの父ドゥラメンテに対してMiesqe内のNureyev、エアグルーヴの持つトニービン・ノーザンテースト由来のスタミナ・底力に対して作用するのも良いところである。
とは言ったものの5代アウトブリードである事実は変えられない訳で、春のクラシックに合う形で成長していけるかというと何とも言えず、寧ろ3歳秋以降が本番なのかなという感はある。
2歳馬故に悪いところが一気に出ると札幌2歳Sの様なことになってしまうが、素質はあると見ていいので後は陣営の手腕によるところだろう。
3.チェルヴィニア(チェッキーノの2021)
父:ハービンジャー 母:チェッキーノ
美浦 木村 哲也厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(2/3生)
6/4 第3回東京競馬2日目 5R メイクデビュー東京 2着
8/12 第3回新潟競馬1日目 2R 2歳未勝利 1着
指名者:Takke氏(1巡目)
名牝ハッピートレイルズの牝系で半兄ノッキングポイントは本年のGⅢ毎日杯2着からダービー5着、その後GⅢ新潟記念を制している他、この牝系からはコディーノを筆頭にサブライムアンセム、シンコウラブリイ、ロードクロノス、トレジャー、タイキマーシャル、ハッピールーク、キングストレイル、サンタフェソレイユ等々活躍馬が多数。
4代母ロイコンから見てもセサロニアンやタイキエルドラド、タイキトレジャーととにかく活躍馬を輩出している牝系。
半兄ノッキングポイントがモーリス産駒にも関わらず新馬戦開幕週からの勝利を始めこれだけの活躍を考えると母チェッキーノ産駒はとりあえず指名しておけば感すらある。
5代血統表内は父ハービンジャーによるNorthern Dancerの5・5と地味に映るが、仕掛けは中々に精巧でデインヒル及びLyphardは持続力・粘着力・底力といった点でNureyev及びポッセ-Forliに脈絡し、Sareef Dancerの母父Sir Ivorは瞬発力源としてサンデーサイレンスに接続、他にもLe FabuleuxがMr.Prospectorに対しパワー面で作用、イルドブルボン・Crepelloのスタミナ源が改めてSpecialを始めとした底力の部分に作用するといった具合で直接的なクロスは少なくても同じベクトルを向かせることで同等の効果を発揮させている。
個人的にはサンデーサイレンス抜きのダイワメジャーを配している様なイメージであり、課題としてはハービンジャーの弱点とも言える道中の追走力だろうか。
これさえクリアすれば新馬戦で僅差で敗れたボンドガールに太刀打ちできる他、阪神JF→チューリップ賞→桜花賞と続く阪神マイルの連戦にも対応は可能かつその先のオークスすら見えてくるだろう。
4.ガルザブランカ(シャトーブランシュの2021)
父:キズナ 母:シャトーブランシュ
美浦 木村 哲也厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(4/16生)
8/12 第3回新潟競馬1日目 5R メイクデビュー新潟 1着
指名者:ロイス氏(2巡目)
2022年皐月賞・ダービー2着の後、GⅠ天皇賞・秋、有馬記念を制しこの年の年度代表馬になり、本年もドバイSC、宝塚記念とGⅠ連勝記録を伸ばし更にはロンジンワールドベストホースランキングにて現在レーティング1位を誇るイクイノックスの半妹にあたる。
イクイノックスの存在が大きすぎるが故に陰に隠れがちだが、キングカメハメハ産駒ヴァイスメテオールは2021年GⅢラジオNIKKEI賞を制す等JRA4勝、初仔であるロードカナロア産駒ミスビアンカも3勝を挙げており、残念ながらデビュー前に無くなったジャスタウェイ産駒のシャトーブランシュの2020を除くと母の産駒はここまで全頭勝ち上がりと良繁殖っぷりを発揮している。
キズナ自身は「ディープインパクト×Storm Cat」配合の支配下にあり、瞬発力を有するものの、Pacific Princessがウインドインハーヘア-Burghclereに脈絡することでスタミナを形成している為、イメージ程キレる種牡馬という訳ではない。
そこでLyphardにDroneを持つダンシングブレーヴを父に持ちHalo・Sir Ivorと瞬発力源の塊のようなグッバイヘイローを母に持つキングヘイローを投入することで再度ディープインパクトの瞬発力を引き出している。
一方でシャトーブランシュの母ブランシェリーはトニービンにAlleged、Nureyevと続く為、どちらかというとスタミナや持続力、底力といった方向に触れる血である為、ある意味でディープインパクト及びキズナを延長した様に受け止めることが出来る。
血統的には2000~2400mくらいで、という気がするが割と「ディープインパクト×Storm Cat」+キングヘイローの瞬発力が牝馬特有の柔軟性含めてかなり出ている様でマイル戦でのスピード勝負にも対応は可能だろう。
5.ホウオウプロサンゲ(セルキスの2021)
父:キズナ 母:セルキス
栗東 矢作 芳人厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(3/6生)
7/30 第2回新潟競馬2日目 5R メイクデビュー新潟 4着
8/13 第3回小倉競馬2日目 1R 2歳未勝利 1着
指名者:ぐれこめ氏(1巡目)
POG集計期間中に若駒S・若葉Sとリステッドを2勝し、2019年皐月賞2着、ダービー・菊花賞3着となったジャスタウェイ産駒ヴェロックスの半弟にあたる。
キズナに対してドイツ血脈のセルキスというところでかなりスタミナに振ってるな、と思わせる一方で母セルキスの母父がGrand Lodgeになる為、SecretariatやHabitatといったところでキズナの瞬発力が弱まらない様になっている。
とは言ったもののやはりスタミナ面がかなり強くそこまで速い脚を使える訳では無いが逆にスタミナ由来のロングスパートが出来そうなのが魅力的に映る。
近年は瞬発力と主としたスピード配合に対してどこまでスタミナが付いてこられるかというのが血統のトレンドではあったが、この血統で矢作厩舎の管理馬になる為、調教とレースによる経験値をそのままものに出来れば底支えする重厚なスタミナの下圧倒的な能力を誇る名馬へと昇っていくことは不可能ではないだろう。
6.ウールデュボヌール(サンクボヌールの2021)
父:キタサンブラック 母:サンクボヌール
栗東 須貝 尚介厩舎
白老町 社台コーポレーション白老ファーム生産(1/14生)
8/20 第2回札幌競馬4日目 5R メイクデビュー札幌 1着
9/2 第2回札幌競馬7日目 11R 札幌2歳S GⅢ 9着
指名者:暇人氏(1巡目)
近々の活躍馬に目立った馬はいないが、牝系を遡っていくとHaloの母Coshah、延いてはAlmahmoudの牝系から続く1頭である。
キタサンブラック産駒の成功系の1つであるブラックタイドから続く持続力延長、というところでLyphardの5・5×5にハービンジャーを絡ませているのは王道の1つと言っていいだろう。
一方でこのLyphardはバブルガムフェロー由来でサンデーサイレンスをクロスする形になっている。
また、LyphardはNorthern Dancer産駒、ハービンジャーもNorthern Dancerを多く持つ他5代目にもNijinskyを持つ為サンデーサイレンス-Haloを含めるとAlmahmoud-Mahmoudの塊とも言える状態に。
Lyphardの機動力粘着力等といった見た目の血統とは裏腹にかなり爆発的な脚を使うタイプなのかもしれない。
上記の通りかなり脚の引き出し方が難しそうなのは新馬戦と2戦目の札幌2歳Sを比較しても分かる通り。
ウールデュボヌール、先行して粘り強く走らせるか溜めて爆発的な脚を使わせるか。
7.アドマイヤベル(ベルアリュールⅡの2021)
父:スワーヴリチャード 母:ベルアリュールⅡ
美浦 加藤 征弘厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(3/1生)
8/20 第3回新潟競馬4日目 5R メイクデビュー新潟 1着
指名者:いけぽん氏(2頭目)
2017年GⅠヴィクトリアMを制したアドマイヤリードや2021-2022シーズンのPOGを賑わせたドゥラメンテ産駒ベルクレスタの半妹。
母Mare Aux Feesからは2011年愛GⅠセントレジャーを始めとしたGⅠ2勝を含む重賞7勝を挙げたJukebox JuryやThe Mask、Le Larron、Hurricane Higginsといった欧州重賞戦線で活躍した馬を多数輩出している。
本馬はアドマイヤリードからスワーヴリチャードに変わることでRivermanを5×5でクロスしており、Kenmare-Kalamoun-ゼターンがトニービンに脈略しているところからも米国チックなスワーヴリチャード産駒産駒に於いて欧州的な瞬発力を引き出している。
一瞬の加速からそのままバテ比べへ持ち込む欧州的な競馬が合いそうな雰囲気があり、距離も2000mくらいはあってこそという感じがする。
個人的には阪神マイル3連戦には脇目を振らずにオークスへ向けて中距離路線を邁進して欲しいところ。
8.エリカリーシャン(ガラアフェアーの2021)
父:エピファネイア 母:ガラアフェアー
美浦 国枝 栄厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(3/22生)
8/26 第3回新潟競馬5日目 5R メイクデビュー新潟 1着
指名者:ニケ氏(7巡目)
3代母Much Too Riskyからは2冠馬ヴィクトワールピサらを輩出したホワイトウォーターアフェアを輩出した他母母リッチアフェアーからプチノワール経由でローブティサージュらを輩出している名牝系からの1頭。
エピファネイア×ダイワメジャーにMachiavellianを介して更にHaloを絡めさせているのは先日のGⅡ紫苑Sを制したモリアーナと同じ配合パターン。
Almahmoud-Mahmoud≒Sun PrincessにSpy Songを絡めて爆発力・瞬発力を高めた配合系と言える。
Much Too Riskyの父Bustino等を考慮するとスタミナを活かしつつ脚を溜めて、といったところに落ち着きたいところであり、こちらも出来ることなら中距離で本領発揮を、と考えたい所である。
9.クイックバイオ(アニメイトバイオの2021)
父:ブリックスアンドモルタル 母:アニメイトバイオ
栗東 須貝 尚介厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(3/11生)
6/25 第3回阪神競馬8日目 5R メイクデビュー阪神 6着
8/27 第2回札幌競馬6日目 1R 2歳未勝利 1着
9/16 第4回阪神競馬3日目 9R ききょうS OP 1着
指名者:トリスタン氏(3巡目)
母アニメイトバイオはPOG期間中2009年GⅡ京王杯2歳S・GⅠ阪神JF、翌2010年OP競争のアネモネSを2着と好走、桜花賞、オークス出走に繋げ、そのオークスでは11番人気ながら4着と結果を残した。
その後GⅡローズSを制し重賞勝ち馬の仲間入り、古馬になってかも2011年GⅢ七夕賞・クイーンS・GⅡ府中牝馬Sと善戦を続けてきた。
また、2018年GⅠ天皇賞・春を制したレインボーラインはアニメイトバイオの半弟にあたる。
5代血統表内は父ブリックスアンドモルタルのStorm Birdの3×3を除くと特段大きな仕掛けは無く、強いて上げるとするとNorthern Dancerのクロスを全体を通して5・5×6・7で持つくらいではあるのだが、サンデーサイレンスを含めて逆に強すぎないAlmahmoud-Mahmoud≒Sun Princessというのが1つポイントと言えようか。
母アニメイトバイオもその半弟レインボーラインも短い距離から成長と共に距離延長をしていくことで結果を残していった。
そんな母アニメイトバイオに対して父ブリックスアンドモルタルはStorm Birdの早熟性とPrince Johnの柔軟性・スタミナ性といったところを兼ね備えており、母や従弟と同じ成長曲線を描かせるにはピッタリだろう。
いつどこまでどれだけ成長できるかが鍵にはなるが、桜花賞までの阪神マイル戦から一気の距離延長となるオークスで距離不安が囁かれる中あれよあれよ、なんて光景はあっても不思議ではない。