#いけぽぐ #いけぽぐ12th 勝ち上がり馬ザックリ血統レビュー Pt.2
本投稿はいけぽんさん主催による「いけぽぐ」の全参加者の新馬戦・未勝利戦を勝ち上がった馬の簡単な血統レビューとなります。
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全参加者の指名馬及び現在順位はこちらから
今回は7月分の新馬・未勝利勝ち馬の血統レビューとなります。
原則血統のみを鑑みた今後の展望がベースとなりますが、新馬・未勝利戦のレース内容を多少含む場合があります。
また、時節柄勝ち上がり後続戦した馬に関しては当分の間に限りレース内容に触れる可能性があります。
よろしければどうぞお付き合いください。
1.ジュントネフ(ホットチャチャの2021)
父:モーリス 母:ホットチャチャ
栗東 清水 久嗣厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(4/29生)
6/4 第3回東京競馬2日目 6R メイクデビュー東京 3着
7/1 第3回中京競馬1日目 1R 2歳未勝利 1着
8/6 第2回新潟競馬4日目 8R ダリア賞 OP 6着
指名者:daisuke氏(5巡目)
母ホットチャチャは2009年米GⅠQEⅡチャレンジCを含む重賞4勝をはじめ芝で活躍、本馬の半兄に「最強の1勝馬」ことエタリオウがいる血統。
欧州的スプリントの血であるDanzigをクロスすることによってスピードと持続力にパワーをもたらした上でDamascusを更に投じることでより重厚な脚色をもたらそうとしている。
このモーリス×Damascusという組み合わせはジャックドールにも見受けられる要素である。
一方でホットチャチャの母父Broad BrushはTurn-Toを4×4で持つ他、Buckpasserといった溜めて弾ける要素を持ち合わせている上にLyphardの5×6によって同じ持続力でも軽くて機動力のある面を引き出している。
かなり様々な方向に血統のベクトルが向いている感が正直否めない為、スイートスポットを引き出すのに苦労しそうではあるがハマれば「忘れた頃にやってくる」というのを何度も起こしそうである。
2.ルージュスタニング(ボインビューティーの2021)
父:Into Mischief 母ボインビューティー
栗東 友道 康夫厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(2/27生)
7/2 第3回中京競馬2日目 5R メイクデビュー中京 1着
8/27 第3回新潟競馬6日目 11R 新潟2歳S GⅢ 9着
指名者:いけぽん氏(1頭目)
母ボインビューティーは2016年から翌2017春にかけて米GⅠトラヴァーズS・BCクラシック・ペガサスWC・ドバイWCと4連勝し当時「アメリカンダート最強」と目されていたカリフォルニアクロームを退けただけでなく獲得賞金世界一(当時)に輝いたArrogateの半妹にあたる。
父Into Mischefだけあって一見ダート馬に映るがHaloの5×6及びHail to Reasonの6・5×6にBrushing Groom-Red Godといった日本の芝に通づる瞬発力源があるのがポイント。
またStorm Catを有しながらも牝馬に出ている点は大きい。
Storm CatはStorm Birdのもたらす早熟性にSecretariatの柔軟性、Crimson Saint-Crimson Satan-Spy Songの軽さを持ち血統の組み合わせによってはスピード源・瞬発力源となるがやアメリカンダートマイル性のパワーもある為この血をクロスするとパワー過多となりダート馬に振れるケースがある。
その点牝馬に出ている為牝馬特有の柔軟さに磨きをかけると同時に非力さを解消するのに一役買っている状態と言えるだろう。
一方でこれといった適条件が思いつかないのが正直なところである。
阪神JF・桜花賞を目指すことになるとは思うが、それを考えると新潟2歳Sではもう少し走れてもよかったのではというのが感想。
距離短縮した場合スプリントのペースについていけるのかとは思うので距離を伸ばしたところを見てみたいが果たして…
3.レガレイラ(ロカの2021)
父:スワーヴリチャード 母:ロカ
美浦 木村 哲也厩舎
安平町 ノーザンファーム生産
7/9 第2回函館競馬4日目 5R メイクデビュー函館 1着
指名者:ヤワ坊氏(2巡目)
新種牡馬スワーヴリチャード産駒。
ディープインパクト&ブラックタイド・レイデオロ等でおなじみ名牝ウインドインハーヘアの牝系の出で昨年の菊花賞4着後6月に3勝クラスを快勝したドゥラメンテ産駒ドゥラドーレスの半妹にあたる。
ハーツクライ産駒の弱点であるトニービン由来の緩さを米血でもって補いつつSeattle Slewによって特徴である持続力を伸ばし、Unbridled's SongとRivermanで瞬発力を強化したスワーヴリチャード。
そこにハービンジャーとNijinsky、Lyphardクロスを絡めることでハーツクライからの持続力をより強化しつつサンデーサイレンスクロスで末脚の爆発力を強化している。
またスワーヴリチャードの母父Unbridled's SongがAlzaoに脈絡して末脚をより一層高めにかかっているのがポイントでもある。
詳しいことは今回省略させて頂くが簡単に言うと「ディープインパクト×Unbridled's Song」ニックス配合の延長ということ。
非常に血統的にも魅力を感じる1頭ではあるのだが、問題は1つ。
どうして牝馬なのか…
牡馬であればここから追走力に磨きをかけて来春のクラシックへ、となるのだが牝馬故に直近の最優先事項は阪神JF→チューリップ賞→桜花賞と続く阪神マイル戦ラッシュへの対応。
どの様にマイル戦仕様へシフトさせていくのか、はたまた桜花賞終了まで牡馬と混じって鎬を削るのか、陣営の手腕が試される1頭だと言えよう。
4.ステレンボッシュ(ブルークランズの2021)
父:エピファネイア 母:ブルークランズ
美浦 国枝 栄厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(2/12生)
7/23 第1回札幌競馬2日目 5R メイクデビュー札幌 1着
指名者:いけぽん氏(8頭目)
またも名牝ウインドインハーヘア牝系の出で前述のレガレイラと同じく母母がランズエッジであるがこちらは母ブルークランズがルーラーシップ産駒の半妹となっている。
無敗の三冠牝馬デアリングタクトを輩出した「エピファネイア×キンカメ×サンデー」の応用系とも言える形で「キンカメ」の部分がルーラーシップになっている分よりHyperion的スタミナが強まり、「サンデー」の部分もダンスインザダークとして絡む形になりやはりここでもスタミナ面の強化というところに繋がってると判断できる。
一方で全体的にHalo-Hail to ReasonとNorthern DancerでまとまっておりこれがかなりAlmahmoud-Mahmoud≒Sun Princessを感じさせられ、更にトニービン及びノーザンテーストのHyperion色にMr.ProspectorがNasrullah-Mumtaz Begum-Mumtaz Mahalに繋がるとはいえここでは異系のポジションに収まるというところからどこか全体を通して「サンデーサイレンス自身なのではないか」と感じさせるところがある。
流石に「俺がサンデーサイレンスだ」みたいな話は冗談として現実的なところとしてはTT型と目されるエピファネイア産駒だけにどれだけ中距離の追走力を備えられるか、或いはどれだけ道中我慢が効く様になるかが焦点となってくるだろう。
これまた陣営の手腕が問われそうな1頭だ。
5.インビジブルセルフ(アウェイクの2021)
父:エピファネイア 母:アウェイク
栗東 池江 泰寿厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(2/26生)
7/23 第2回福島競馬8日目 5R メイクデビュー福島 1着
指名者:ryota氏(1巡目)
母母オールザウェイベイビーからは2007年GⅠ朝日杯FSを制したゴスホークケンを輩出しており、本馬の母アウェイクの全姉オーマイベイビーからは2020年GⅢサウジアラビアRC・2021年GⅡ神戸新聞杯と重賞2勝の他皐月賞・ダービー3着、菊花賞・有馬記念4着とGⅠで好走実績のあるステラヴェローチェを送り出している。
他のエピファネイア産駒であれば配合の仕組みをじっくりと考えるところではあるが、この「エピファネイア×ディープインパクト」に関しては言えることは1つ、どれだけ道中の追走力があるかだけである。
先程のステレンボッシュでも触れたが、エピファネイアはミオスタチン遺伝子がTT型と目されており、早い話長距離向きとされている。
また、ディープインパクトはTT型でありこれにCアレルを持たせることで追走スピードを上げるのに必要なパワーを補い早期の活躍に繋げてきた。
アウェイク自身のミオスタチン遺伝子の形がどうなっているかは分からないが少なくともTT型かCT型であるのは間違いない、寧ろオールザウェイベイビーの母父がKris S.である為TT型である可能性は尚更考えられる。
仮にCT型だったとしてもTT型×CT型では確率的に言えば3/4の確率でTT型、筋肉の抑制が強くスタミナ効率の良い馬体に出て長距離向きになると考えられる訳である。
こうした点から短い距離からの組とぶつかった時に追走力を求められ、必要以上に消耗してしまうことが懸念されるが、逆に言えばそういった場面を乗り越えることが出来れば名馬の1頭として名を連ねることができるだろう。
6.マテンロウゴールド(ルールブリタニアの2021)
父:レイデオロ 母:ルールブリタニア
栗東 中内田 充厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(2/2生)
7/23 第3回中京競馬8日目 5R メイクデビュー中京 1着
指名者:ホウオウ氏(1巡目)
母ルールブリタニアは2015年オークスと秋華賞を制した2冠牝馬ミッキークイーンの全妹にあたる。
また、レイデオロが種牡馬入りする時から注目されてきた「ウインドインハーヘアクロス」を持った1頭である。
ウインドインハーヘアは父AlzaoがLyphardにSir Ivorを有する為一見すると軽い血に映るが、Brghclere-Highclereの影響が強く非常に欧州の長距離的スタミナを有した血である。
その為レイデオロ×ディープインパクトの産駒は総じて小柄に出ているのだが、これを補っているのがMr.Prospectorの4・5×5である。
北米ダートに通づるパワーと欧州で活きる柔軟さを併せ持つこの血でもって小柄に出で非力になるところを改善しているのが本馬の注目箇所の1つ目。
2つ目は「ディープインパクト×キングカメハメハ」を支えるNureyevの5×5クロス。
ディープインパクトもキングカメハメハも両者共に種牡馬としてそれぞれ特徴があるものの肌馬の性質を割とダイレクトに表現してしまう万能性がある。
その為所謂「金子真人配合」とした結果悪い言い方をすると器用貧乏みたいなタイプに出ることが多いのだが、これを逆手に取ってNureyevクロスを活かして先行して粘り強く残る、といった具合にアクセントを持たせている訳である。
かなりバランスを意識された配合の上でNureyevクロスを持つ、とくるとやはり嫌でも思わされるのは中山といった小回りコースだろう。
ウインドインハーヘアクロス由来のスタミナと合わせて底力でもって3~4コーナーを立ち上がってくる姿をイメージしたいところだ。
7.レガーロデルシエロ(デアレガーロの2021)
父:ロードカナロア 母:デアレガーロ
美浦 栗田 徹厩舎
安平町 ノーザンファーム生産
6/18 第3回東京競馬6日目 メイクデビュー東京 3着
7/29 第1回札幌競馬3日目 2歳未勝利 1着
指名者:ホウオウ氏(3巡目)
2004年米GⅢランダルースSを制した他GⅠデルマーデピュタントS2着等がある母母スーヴェニアギフト。
その仔らの活躍も多く、シュプリームギフトは重賞で2着1回3着2回がある上に繁殖牝馬としてもGⅢアイビスサマーダッシュを2勝したオールアットワンスや2022年GⅢクイーンSを制したプレサージュリフトを輩出。
他にもベステゲシェンクやロワアブソリュー、そして本馬の母で2019年GⅢ京都牝馬Sを制したデアレガーロを出しており今勢いのある牝系の1つと言える。
ドイツ血脈を受け継ぐマンハッタンカフェにAllegedクロスがプラスされてスタミナ的側面が強まっているところにMiesque経由でNureyevをクロスさせることで底力を強化した形となっている。
ただスタミナと底力一辺倒になるのではなくMr.Prospectorの4×4によりパワーをもたらし、ロードカナロアの持つSecretariat=Syrian Seaを含めてスピードもキチンと強化されている。
ロードカナロアに短めの距離を使われてきたデアレガーロというところで1200~1600というイメージになりそうではあるが、かなりスタミナの下地がある為気性面に問題無ければ2400mくらいまで走れてもいいのではないかなというのが見解。
かなり万能性が高そうである。
8.ダノンキラウエア(レキシールーの2021)
父:ロードカナロア 母:レキシールー
栗東 中内田 充厩舎
新ひだか町 ケイアイファーム生産(2/16生)
7/29 第2回新潟競馬1日目 5R メイクデビュー新潟 1着
指名者:ロイス氏(4巡目)
昨年GⅠNHKマイルCを制したダノンスコーピオンの全弟。
母レキシールーは2014年カナダで牝馬二冠を制し牡馬三冠の1戦であるクイーンズプレート(現在の名称はキングズプレート)を制した他、同年の米GⅠハリウッドダービーでカリフォルニアクロームの2着等の実績がある。
5代血統表内で発生するクロスはNreyev≒Sadler's Wellsの3×5とStorm BirdとSadler's WellsによるNorthern Dancerの4×5くらいだが、母レキシールーがHail to Reasonの5×4、Northern Dancerの父であるNearcticを4×5、底力を伝える血で知られる名牝Specialの母であるThongとその全兄Ridanのクロスを5×5、そしてHalo・Norhern Dancerの牝祖とも言えるAlmahmoudクロスを5×5で有しており、6代・7代・8代と血統広げてみた時にNorthern Dancerを中心としたAlmahmoud-Mhmoud・Mumtaz Mahalの非常に重厚なクロスを生み出している。
ケイアイファームが「ロードカナロアの為に連れてきた」と語るのも頷ける配合だ。
Secretariat=Syrian SeaクロスにCaroが入る為、早い時期は兄同様マイルでとなるだろうが、成長につれてNorthern Dancer的パワーが増えて徐々に短距離へとシフトしていくことになると思われる。
9.カンティアーモ(リビアーモの2021)
父:エピファネイア 母リビアーモ
美浦 木村 哲也厩舎
安平町 ノーザンファーム生産(3/1生)
7/30 第2回新潟競馬2日目 5R メイクデビュー新潟 1着
指名者:このとも氏(3巡目)
クリアアンバーの牝系で母母ラトヴィアータは言わずと知れた名スプリンターサクラバクシンオーの全妹にあたる。
2011年にGⅠ朝日杯FSを制し、その後重賞戦線で活躍したアルフレードと本馬カンティアーモは同じ母母である。
サンデーサイレンス及びRobertoによるHail to Reasonの5・6×5プラスHabitatとNorthern Dancerの7・5×5・5によるAlmahmoud-Mahmoud≒Sun Princessを軸とした爆発力を求めた配合馬。
ただ爆発力を求めただけでなくPrincequillo・Seattle Slew・Princely Giftを織り込むことによって持続力やしなやかさといった所も+αされているのが見どころ。
似たような配合で先日GⅢ紫苑Sを制したモリアーナが似た構成になっていると言え、よく言えば血統通りの爆発力が見込めるが悪く言うとかなりピーキーで脚の引き出し方が難しい1頭になり得る。
乗り手の手腕が試される1頭になりそうだ。