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【Arent調査】DXの実施目的はコスト削減に留まり、DX人材の不足が7割越え。

建設DXを推進する株式会社Arent(東京都中央区、代表取締役社長:鴨林広軌、以下Arent)は、日本経済団体連合会の後援を受けて2024年4月17日に実施したハイブリットセミナー「世界でも類を見ない建設DXセミナー」において、建設業界におけるDXの実態に関するアンケートを実施しました。

この調査により、約7割の企業がDXを推進しているものの、その多くがコスト削減を主目的としており、経済産業省が推奨する新規事業創出や収益機会の増大を目的とする企業はわずか14%に留まっています。さらに、DX人材不足に直面している企業が77%にも上ることが判明し、これがDX推進の大きな障壁となっていることが明らかになりました。

本調査では「DXについて」「BIMについて」「AIについて」という三つのセグメントに分けてアンケートを実施し、本記事では「DXについて」のセグメントを詳しく解説します。

詳細分析・アンケート結果

■建設業界のDXの実施状況

DX推進状況に関するアンケート結果によると、多くの企業が現在DXを「実施中」(51%)であり、これが最も高い割合を示しています。また、「試用期間中」の回答も11%となっており、新たな技術やプロセスの評価が進んでいることが窺えます。一方で、「実施済み」は7%と少なく、多くの企業がDXの初期段階にあることが分かります。「戦略はあるが未実行」も同じく7%、「検討中・計画中」は17%と、これから実行に移す段階にある企業も少なくありません。関心はあるものの具体的な検討をしていない企業は合わせて7%となり、DXへの関心はあるが行動に移していない状況が見受けられます。これらの結果は、DXを取り巻く企業の現状と課題を浮き彫りにし、今後のDX推進における具体的な行動の必要性を示唆しています。

図1:DXの推進状況

■DX実施の目的

アンケート結果では、多くの企業がDXを「コスト削減・業務効率化」のために実施している一方で、新規ビジネス創出を目的にしているのは14%にとどまっています。経済産業省のDXレポートによれば、DXは新規事業の創出や収益機会の増大を目指すべきであり、日本企業はDXの真の価値を十分に活用していないと言えます。市場の変化に適応し、新しいビジネスモデルを創出するためには、企業がDXを戦略的に捉え、経営層が強い意志を持って全社的な取り組みを進めることが必要です。

図2:DXの目的

■自社のDXへの評価

自社のDX推進に関して、課題を認識できており、解決策もその手段も実行力もあると答えた企業は18%です。課題を認識し、解決策もあるが実行できていないと答えた企業は28%、課題は認識しているが解決策がわからないと答えた企業は36%で最も多く、課題を分析できていないと答えた企業は17%です。このデータは、多くの企業がDXの重要性を理解しているものの、具体的な行動に移すことが難しい現状を示しています。特に実行段階に移れていない企業が多く、戦略的なアプローチと実行力の不足が障壁となっていることが明らかです。

自社のDXの評価

■DX推進の内容について

アンケート結果によれば、建設業界に特化した技術であるBIMの利用したDXの推進が31%で最も高く、次に新しいシステムやツールの導入も29%で顕著です。これらには、クラウドやコラボレーションツールなどが含まれると考えられます。AI活用は18%です。一方、既存システムの老朽化に対処している企業は13%にとどまり、古いシステムに依存する企業も少なくありません。外部委託は8%であり、少数派ですが、専門知識が必要とされる分野でのリソース活用に有用です。これらの結果から、企業がDXを推進する上でのパターンが明らかになり、特にBIMや新技術の導入が建設業界の効率化と革新に不可欠であることが示唆されます。

図4:DXの内容

■DX推進における懸念点や障壁

DX推進における主要な懸念点として、人材不足が23%で最も多く、次に組織文化の問題が20%、技術的な課題が15%と続きます。このデータからは、DX推進の障壁として「人的リソース」および「組織的な準備」が重要な要因であることがうかがえます。特に人材不足は、DXに必要なスキルを持つ人材が社内に不足していることを示しており、DXを推進する上での大きな障壁となっています。一方で、組織文化に関する課題は、従来のやり方からの変革に抵抗がある場合や、新しい技術への適応が進んでいないことを指している可能性があります。
さらに、ノウハウの属人化(13%)やDXをリードする戦略や担当者の不在(12%)も、効果的なDX推進を妨げる要因として挙げられており、これらの問題を解決することが、企業のDX成功には不可欠です。

図5:DX推進における懸念点や障壁

■社内システムにおける課題感

社内システムの課題感についてのアンケート結果では、「データが整理されていない」が30%で最も高く、次いで「データ連携が困難」が26%となっています。これらの結果は、社内データの管理・活用に大きな課題があることを示しており、効率的な業務遂行を妨げる要因となっています。また、「技術や性能に限界がある」と「ブラックボックス化している」もそれぞれ14%で、システムの透明性と最新技術への対応が求められている状況が見て取れます。これらの課題は、日常業務における生産性の低下やミスの原因となり、最終的には企業の競争力を低下させる可能性があります。そのため、データの構造化、システムのアップデート、ユーザーフレンドリーな設計の導入が急務であると言えるでしょう。

図6:社内システムの課題

■DX人材について

DX人材の状況に関するアンケート結果からは、多くの企業がDX人材不足(77%)に直面していることが明らかになりました。これは、社内に十分なDXスキルを持つ人材が存在していると答えたのがわずか12%、外部からDX人材を招聘している企業も11%にとどまっているためです。この人材不足は、デジタル変革の進行を遅らせる大きな障壁となっており、企業のイノベーションと成長に影響を及ぼしています。企業は、社内外からのDX人材の確保だけでなく、既存産業においては企業の変革を共に推進するパートナーと組み、従業員に対する教育・研修を強化することで、このギャップを埋める取り組みが求められています。

図7:DX人材について

調査概要

今回のアンケートは2024年4月17日に開催した「世界でも類を見ない建設DXセミナー」に参加した152社、419名を対象に実施しました。
主な対象は以下のとおり

  • 設計事務所:総合設計事務所

  • 設計事務所:専門設計事務所

  • 施工会社:総合建設業

  • 施工会社:専門工事会社

  • 施工会社:ハウスメーカー

  • 維持管理会社

以上

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