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【Arent調査】建設DX、実施企業の約5割が初期段階にとどまり、人材不足が最大の障壁に

建設DXを推進する株式会社Arent(東京都港区、代表取締役社長:鴨林広軌、以下Arent)は、2024年7月~2024年12月に当社が登壇したセミナーや展示会において、建設業界におけるDXの実態に関するアンケートを実施しました。

その結果、建設DXの推進において多くの企業が初期段階にあり、人材不足やデータ管理の課題が大きな障壁となっていることが明らかになりました。また、DXの実施目的として効率化を重視する一方で、革新を目指す動きが限定的であることも浮き彫りになっています。 

本調査では「DXについて」「アジャイル開発について」「BIMについて」「AIについて」という4つのセグメントに分けてアンケートを実施し、本記事では「DXについて」のセグメントを詳しく解説します。   

調査結果

■DXの実施状況

回答者の約56.5%が「実施中」と回答しており、全体の半数以上を占めました。一方、「実施済み」と回答した企業は2.7%に留まり、DX推進が進行中であることがうかがえます。「検討中・計画中」の回答は15.8%であり、今後DXの導入に向けた動きが進む可能性が高いことが示唆されます。

■DX実施の目的

DX実施の目的として、最も多かった回答は「コスト削減・業務効率化」で、全体の39.2%を占めました。「顧客や市場の変化への対応」は16.8%、「データ分析」は13.6%と続き、効率化が主要な目的であることが明確になっています。

比較: 前回調査では「コスト削減・業務効率化」が30%であり、約9.2ポイント上昇しました。一方、「顧客や市場の変化への対応」は前回19%から今回16.8%に減少しました。


■DX推進の内容について


最も多く実施されている取り組みは「BIM活用」で38.2%を占めました。次いで「新しいシステム/ツールの導入」が26.5%、「AI活用」が21.9%と続きます。一方、「老朽化した既存システムの切り替え」は9.4%、「外部への委託」は4.0%に留まりました。このことから、デジタルツールや技術の導入が進む一方で、外部リソースへの依存は比較的低いことがわかります。

比較: 前回調査では「BIM活用」が全体の31%であり、今回の調査では約7.2ポイント上昇しています。業界全体で引き続き注目される主要な取り組みとなっています。


■DX推進における障壁

DX推進の主な課題は「人材不足」で18.9%の回答がありました。この課題は引き続き最大の障壁となっています。「技術的な課題」が15.7%、「ノウハウがない」が14.3%と、技術と知識面での課題も挙げられています。「組織文化」は12.3%で、変革に対する内部抵抗が推進の妨げとなっていることがわかりました。


■社内で利用しているシステムへの課題感

社内システムの課題として最も多かったのは「データが整理されていない」で23.2%を占めました。「データ連携が困難」は21.6%、「技術や性能に限界がある」は12.8%でした。これらの結果から、データ管理と連携の改善が重要であることが示唆されます。

■DX人材について

「DX人材不足」と回答した企業は83.1%と非常に高い割合を占めています。一方で、社内に十分なDX人材がいると回答した企業は8.4%にとどまりました。また、外部から人材を採用している企業も同様に8.4%であり、内部育成と外部採用の両方で課題がある状況です。

比較: 前回調査では「DX人材不足」が77%とされており、問題の深刻さがさらに増している可能性が指摘されます。

考察結論

調査の結果、DX推進においては現場と組織全体の連携が不可欠であり、特に人材の育成と確保が成功の鍵を握ることが明らかになりました。また、データ連携や技術的課題の解決は、DXの効果を最大限に引き出すための重要な要素として浮き彫りになっています。さらに、社内システムの課題に関しては、データの管理や連携を改善することが業務効率化への出発点であることが示唆されます.。これらの課題に対処するため、企業全体で戦略的な取り組みが求められます。

調査概要

調査実施者: 株式会社Arent
調査方法: イベント現地でのアンケート
調査対象: 建設業界従事者
有効回答数: 299件
調査時期: 2024年7月~2024年12月


■前回調査


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