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【Revit】階段の作り方 -概要編-

今回はRevitの中でも構成が複雑なことで知られる階段作成の基本について解説します。設定項目が多く、何をどう編集すれば期待する結果が得られるのかがわかりにくいため、敬遠されている方も多いかもしれません。
慣れるまでは難しく感じるかもしれませんが、一度基本を押さえてしまえば非常に便利であるため、ぜひコツを覚えましょう。

※本解説はRevit 2025を使用しているため、バージョンによって項目の表記が異なる場合があります。


階段の概要

コマンド概要

階段は1つのコマンドとして用意されており、
[建築]タブ - [階段]パネル - [階段]コマンドから実行するシステムファミリで
す。

階段は基本的に平面図・天井伏図などの平面図系のビューでのみ実行することができます。


階段ファミリの構成要素

階層で表記すると以下のようになりますが、Revit内では階層とは無関係に表示されるため、慣れるまでは理解が少し難しいかもしれません。

【階段ファミリの階層】
● 階段 ファミリ(プレキャスト階段、現場打ち階段、鉄骨階段)
  ●階段経路 ファミリ(一体型の経路、非一体型の経路)
    ●踏み面
    ●蹴上げ
  ●桁ファミリ(中桁、側桁)
  ●踊り場ファミリ(一体型の踊り場、非一体型の踊り場)
    ●踏み面
  ●階段切断マーク
●手摺 ※階段作成時に自動で作成するか選択可能


Revit内での階段ファミリの構成要素の表記


「一体型」と「非一体型」の違い

簡単に言えば、コンクリート躯体があるかないかの違いです。プレキャスト階段と現場打ち階段を選んだ場合は「一体型」、鉄骨階段を選んだ場合は「非一体型」になります。余談ですが、プレキャスト階段と現場打ち階段は鉄筋をホストすることができます。

〇一体型
踏み面や蹴上げを指定しなくてもコンクリート躯体の階段のみで使用できるファミリです。踏み面や蹴上げを追加した場合は躯体の表面に貼りつく形になります。

〇非一体型
踏み面と蹴上げで構成されており、躯体がない鉄骨や木造で使用するタイプのファミリです。踏み面と蹴上げが含まれていなければ階段としては表示されません。


踊り場

1つの階段に対して階段経路を複数作成した場合は自動で踊り場が作成されます。桁は階段経路と同じ設定で自動で作成されますが、個別に削除することも可能です。踏み面は階段経路と同じ、もしくは別の設定を選択することができます。



作成方法

 細かいプロパティについては別の記事にて解説するので、今回はまず作ってみましょう。プロジェクトテンプレートはデフォルトの「建設テンプレート」を使用します。

平面図ビューの「レベル 1」が開始ビューなので、ここで作業しましょう。

⒈階段コマンドを実行する
⒈-①
[建築]タブ - [階段]パネル - [階段]をクリックします。

⒈-② 任意の場所で1回クリックし、マウスを右方向に動かすと 「○蹴上げが作成されました。○継続中」という文字がプレビューの近くに表示されます。 これは、マウス移動で今何段作成されているかと、指定高さに到達するまであと何段かを表しています。

⒈-③ ある程度マウス移動を行うと、「22蹴上げが作成されました」という表示から変化しなくなります。 最初に階段を作成するときには指定高さを超える段数の作成ができないようになっているので、この状態で再度クリックします。

⒈-④ 階段が作成されるので、 [修正│作成 階段]コンテキストタブ - [モード]パネル - [編集モードを終了]をクリックして階段作成を完了しましょう。 「UP」の文字、階段パス(矢印)、階段切断マークが表示された状態で階段ができあがります。

このように、数ステップで簡単に作成できます。
踊り場を作成する場合は、経路を複数回に分けて作成すれば、経路と経路の間に自動的に踊り場が作成されます。



⒉階段のパラメータを変更する
インスタンスパラメータ、タイプパラメータの設定により、階段の段数やサイズを調整することができます。また、パラメータは階段、階段経路、踊り場、桁に用意されているため、ここもそれぞれの理解が必要です。
ここでは代表的なパラメータとその挙動をご紹介します。

代表的なタイプパラメータ
今回は以下の3つを紹介紹介します。

●[計算規則]パラメータグループ
●[構成]グループ
●[桁]グループ

[計算規則]パラメータグループ
●蹴上げの最大高 =最大蹴上げ寸法
蹴上げの上限値を指定することができます。これにより、この値を超えず、かつなるべく値が最大になるような蹴上数が自動で計算されます。

●最小踏み面奥行き
踏み面奥行きの下限値を指定することができます。インスタンスパラメータ[現在の踏み面奥行き]をこの値より小さくした際に警告が表示されます。

●最小階段経路幅
階段経路幅の下限値を指定することができます。階段経路のインスタンスパラメータ[実際の経路幅]をこの値より小さくした際に警告が表示されます。
…………………………………………………………………………………………………………………………[構成]グループ
●階段経路のタイプ
一体型の階段経路または非一体型の階段経路ファミリのタイプを指定します。

●踊り場のタイプ
一体型の踊り場または非一体型の踊り場ファミリのタイプを指定します。
…………………………………………………………………………………………………………………………
[桁]グループ
●右側/左側の桁
側桁か中桁(ササラ桁)を選択します。

●右側/左側の桁のタイプ
側桁ファミリのタイプを指定します。

●中桁
側面ではなく、中央に桁を作成します。

●中桁のタイプ
中桁ファミリのタイプを指定します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー代表的なインスタンスパラメータ
今回は以下の2つを紹介します。

●[拘束]グループ
●[寸法]グループ

[拘束]グループ
●階段全高
基準レベルと上部レベルの間の高さです。蹴上寸法と蹴上数はこれもとに計算されます。
…………………………………………………………………………………………………………………………[寸法]グループ
●蹴上数
デフォルトでは[蹴上げの最大高 =最大蹴上げ寸法]と階段全高から計算された整数が入力されていますが、任意の値に変更することが可能です。その際、次の[現在の蹴上寸法]は自動で計算されます。

●現在の蹴上寸法
階段全高と蹴上数により自動計算されるため変更ができないパラメータです。

●現在の踏み面奥行
デフォルトでは[最小踏み面奥行き]で指定した値が入っていますが、任意の値に変更可能です。

上記の内、高さに関する3つのインスタンスパラメータの関係は以下となります。

現在の蹴上寸法 = 階段全高 / 蹴上数

まとめ

今回はざっくりとRevitの階段機能の概要について触れました。
階段ファミリや階段経路ファミリに関しては、以下のコンテンツで解説しているので併せてご覧ください。


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