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アメリカのBIM活用事例-ウェスタン・ミシガン大学編-
ウェスタン・ミシガン大学ではキャンパスの効率的な建物管理を目的として、2008年にBIMプロジェクトが開始されました。
BIMを活用したことで、以下のような効果が得られたと報告されています。
● 作業指示書の完了にかかる時間を15%削減
●予防保守時間を6%から9%短縮
●労働効率が7%向上
本記事では、どのようにBIMを活用し、上記のような効果を生み出したかを紹介します。
ウェスタン・ミシガン大学の概要
![](https://assets.st-note.com/img/1730111713-wtWSPxgubrDpmvQq8kFzM5OE.jpg?width=1200)
(パブリックドメイン、ウィキメディア・コモンズより、引用元はこちら)
ウェスタン・ミシガン大学(Western Michigan University、以下WMU)は、航空学、ビジネス、看護、芸術などで特に秀でたプログラムを提供する公立大学です。2008年に土木工学部がカリキュラムにBIMプロセスとAutodesk Revitを導入し、その後すぐにキャンパスの効率的な建物管理のためのBIMプロジェクトが開始されました。
参照元:https://www.bdcnetwork.com/bim-software-helps-michigan-college-students-improve-building-performance
工学部の学生が建物をモデル化し、コストを削減
WMU施設のBIMは、新しい建設プロジェクトの納品物と、既存の建物の内部BIM開発を元に開発されました。既存の施設の状態は、工学応用科学部の学生が施設のレーザースキャンを実行して検証および更新されました。これにより、コストが削減されただけでなく、学生は貴重な経験を得ることができました。
WMUは、その年の5月から9月までの間で、キャンパスの800万平方フィートのうち2/3の範囲を学生によってBIMモデル化することを目標に掲げました。副施設長のStrazdas氏は、これらのモデルを使ったエネルギー解析を通じて、改修が必要な箇所を特定することを最終目標としていました。これを達成するために、WMUはAutodesk社の代理店であるKal-Blueに指導を依頼し、AIA E202の基準を用いて詳細度200レベルでモデル化を進めました。設計チームはWMUが大量に保管していた既存のAutoCAD DWGファイルに基づいてモデリング作業を行いました。
Revit Architectureの支援もあり、キャンパス内の80%にあたる115棟の建物を期間内にモデル化し、目標を上回る成果を収めました。
AIA E202とは?
アメリカ建築家協会(AIA)によって作成された、建築設計と施工プロジェクトにおけるBIMの標準ガイドライン。LODを100から500の5段階で定義しています。
参照元:https://www.bdcnetwork.com/bim-software-helps-michigan-college-students-improve-building-performance
クラウド・タブレットを活用し、大幅な業務効率化を実現
WMUは、施設情報が一元管理されておらず、情報源への容易にアクセスが困難なため、保守作業を効率的に行う際に膨大な時間と労力を要していることを特定しました。
WMUの既存施設向けにBIM を開発し、クラウド上にモデル情報を保存し、タブレットでアクセスできるようにしました。その結果、作業指示書を調査する時間が大幅に短縮されただけでなく、作業指示書の完了前にデータを収集するために必要な現場訪問のほとんどが不要になり、大幅な作業時間の削減と顧客満足度の向上にも繋がりました。
参照元:https://home.grbx.com/news/leveraging-bim/
生産性を向上し、年間8,000万円のコスト削減
このように、WMUではBIMを活用したことで、作業時間の削減や生産性の向上を実現しました。特に、生産性の向上は年間約524,000米ドルのコスト削減に繋がり、これは日本円で約8,000万円のコスト削減に相当します。
【BIMの活用により、得られた効果】
• 作業指示書の完了にかかる時間を15%削減
• 予防保守時間を6%から9%短縮
• 労働効率が7%向上
参照元:https://www.cfta.org/assets/webinars/2015/March_19_2015/bimforfacmgmt.pdf
https://nap.nationalacademies.org/read/25840/chapter/15
効果的、先進的な取り組みが評価され、APPAを受賞
熟練者がタブレットを通じてメンテナンスデータにアクセスできる環境を構築し、維持管理業務の効率化を実現した点や、学生との協力によってBIMデータ構築のコスト削減を実現した点が高く評価され、APPAの「効果的かつ革新的な実践賞(Effective and Innovative Practices Award)」を受賞しました。
APPAとは?
教育機関の施設管理プロフェッショナルのための米国の組織です。大学や学校などの施設管理に関するベストプラクティス、トレーニング、業界基準を提供し、持続可能な施設運営や効率的なエネルギー管理などを推進しています。APPAは、教育機関の施設管理をサポートし、業界標準を高める役割を果たしています。また、優れた施設管理プロジェクトや革新的な取り組みに対する表彰も行っています。
まとめと他の事例紹介
WMUでは、BIMを活用して既存施設の維持管理を効率化し、また学生の協力でBIMモデルを作成し、時間とコスト削減を実現しました。
タブレットで施設情報に即時にアクセス可能となったため、作業指示書の完了時間を短縮し、その結果、労働効率と顧客満足度が向上しました。
今回はWMUにおけるBIMの活用とその効果について紹介しましたが、以下の記事ではジョン・F・ケネディ国際空港におけるBIMの活用事例を紹介しています。
BIMデータを活用し、発注者の変更依頼数を30%削減に成功しました。
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